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「我々はお前が幸せになることを何よりも望んでいるよ」
権力者ではあるが一般的な想像上の印象とは大きく違って心優しい父は、幼い頃からいつも私に対してそう言ってくれていた。
「そうよ、タニィ。貴女は誰よりも幸せになってね。そのためになら協力するから」
高貴な家の出で、しかしながら気さくなところもある、親しみやすい母――彼女もいつも私を大事にしてくれていた。
ただし、やらかして怒るられてしまった時にはとても怖かったけれど。
私は幸運だったと思う。
良き父と母に巡り会えた。
良い環境で成長できた。
こんな幸せがいつまでも続くだろうと思っていた――年の近い一人の青年と婚約するまでは。
私の婚約者となったその人ダルティは私より一つ年上だ。
けれども家柄としてはこちらの方が上である。
とはいえ、こちらが上だからとどうということはなく、私は彼を大切に想っていたし共に生きてゆこうと思っていた。
でも彼は私と同じ気持ちではなかったようだ……。
結婚直前になって、彼が他の女性と深い関わりを持っていることが判明。それにより家と家を巻き込むような大騒ぎになってしまった。幸せになれると信じていた私を待っていたのは、婚約した頃には欠片ほども想像もしなかったような展開だった。
特にこちらの親戚はその多くが彼の裏切りに激怒していて。もう結婚なんてやめろ、という意見も多く。
でも、その意見に少しは救われた部分もあったことは、まぎれもない事実だ。
もし誰も私の味方をしてくれなかったとしたら、きっと、心が壊れていただろう。けれども現実にはそうではなく。何ならこちらの味方をしてくれる人の方が多くて。
だから辛くても耐えられた。
それでも――もし彼がこの件について謝罪するのなら、少しは考えようと思っていたし、関係を続けていく可能性も脳内には置いていた。
でも、ダルティは、謝罪一つさえ発することをしなかった。
「浮気? はぁ? エリーザの方が可愛いから仕方ないだろ」
「……本気で言っているのですか」
「本気、だってぇ? 当たり前だろうが! あんたみたいなきっちりきっちりしてる女、一緒にいても楽しくねぇんだよ」
それどころか、親しくなっていた女性エリーザのことを称賛するようなことばかり言い、さらには逆に私が悪いかのような言い方をし始めた。
権力者ではあるが一般的な想像上の印象とは大きく違って心優しい父は、幼い頃からいつも私に対してそう言ってくれていた。
「そうよ、タニィ。貴女は誰よりも幸せになってね。そのためになら協力するから」
高貴な家の出で、しかしながら気さくなところもある、親しみやすい母――彼女もいつも私を大事にしてくれていた。
ただし、やらかして怒るられてしまった時にはとても怖かったけれど。
私は幸運だったと思う。
良き父と母に巡り会えた。
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とはいえ、こちらが上だからとどうということはなく、私は彼を大切に想っていたし共に生きてゆこうと思っていた。
でも彼は私と同じ気持ちではなかったようだ……。
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でも、その意見に少しは救われた部分もあったことは、まぎれもない事実だ。
もし誰も私の味方をしてくれなかったとしたら、きっと、心が壊れていただろう。けれども現実にはそうではなく。何ならこちらの味方をしてくれる人の方が多くて。
だから辛くても耐えられた。
それでも――もし彼がこの件について謝罪するのなら、少しは考えようと思っていたし、関係を続けていく可能性も脳内には置いていた。
でも、ダルティは、謝罪一つさえ発することをしなかった。
「浮気? はぁ? エリーザの方が可愛いから仕方ないだろ」
「……本気で言っているのですか」
「本気、だってぇ? 当たり前だろうが! あんたみたいなきっちりきっちりしてる女、一緒にいても楽しくねぇんだよ」
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