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前編
しおりを挟むどうしてこんなことになってしまったんだろう。
僕、エーギリスは、婚約者であった女性マロリネから婚約の破棄を告げられてしまった。
彼女は僕の自己主張がないところが嫌いだったのだそうだ。
……確かにそうかもしれない。
僕はあまりあれこれ主張はしないタイプだ。昔から空気とか地味とかよく言われていた。マロリネが言っているのも多分それと似たような意味なのだろう。特別な才能はなく、抜きんでて容姿が良いわけでもない。そんな僕と一緒にいるときっと皆退屈なんだ。
……何となく分かる気はする。
けれどもそれでも胸が痛くて。
器用な人間ではない。でも僕は彼女を愛していた。確かに、そうだった。僕の心にはいつだって彼女がいたし、影が薄いことは変えられないにしても僕は僕なりに彼女を大切にしているつもりだったのだ。
でもこうなってしまった。
どこで何を間違えてしまったのかな……。
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