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前編
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その令嬢、マルリー・オッフォードは、精霊使いである。
人とは思えぬような美しい青寄りの銀の髪、整った目鼻立ち、水晶のような透き通った瞳……彼女は一般人とは異なる容姿の持ち主だ。
その容姿に惹かれて近寄る男も少なくはなく。
マルリーの婚約者となったカボスもまた、その容姿に惹かれた者のうちの一人であった。
だが、いざ婚約してみると色々気に食わないことが出てきたらしく。
「マルリー・オッフォード! 貴様との婚約は破棄とする!」
その日、彼は、大きな声でそう宣言した。
しかしマルリーは冷静。
唇にうっすらと笑みを滲ませて。
「承知しました」
それだけ言った。
というのも、マルリーはカボスが自分を良く思わなくなってきていることを知っていたのだ。
カボスはここしばらく、女友達に対して、マルリーの愚痴を言ってばかり。
そのことも知っている。
彼女は精霊使い。
人の心を覗くくらい簡単にできる。
それゆえ、驚きはなかった。
「では、これにて、失礼いたします」
マルリーは笑みを浮かべたまま去っていく。
カボスはおかしなものを見たような顔のまま固まっていた。
人とは思えぬような美しい青寄りの銀の髪、整った目鼻立ち、水晶のような透き通った瞳……彼女は一般人とは異なる容姿の持ち主だ。
その容姿に惹かれて近寄る男も少なくはなく。
マルリーの婚約者となったカボスもまた、その容姿に惹かれた者のうちの一人であった。
だが、いざ婚約してみると色々気に食わないことが出てきたらしく。
「マルリー・オッフォード! 貴様との婚約は破棄とする!」
その日、彼は、大きな声でそう宣言した。
しかしマルリーは冷静。
唇にうっすらと笑みを滲ませて。
「承知しました」
それだけ言った。
というのも、マルリーはカボスが自分を良く思わなくなってきていることを知っていたのだ。
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