怪しいと思っていましたが、やはりそうでしたか。

四季

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後編

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 たとえ心の底からの関係ではないとしても、それでも、私はそれなりに上手くやっていこうと努力してきたのです。共に歩もうと決意し、ここまで来たのです。

 それを『真実の愛』などという安っぽい言葉で叩き潰すのですか?
 自分の人生に私など必要なかったと、平気で言うのですか?

「……もうやってはいけませんね、私たち」
「待ってくれ! このくらいのこと、今どきどこの夫婦もやっている!」

 私は近くの棚から簡易カメラを取り出し、生まれたままの姿の二人を撮影する。

「寂しいですが……さようなら。すべて説明し、お別れです」
「や、やめっ……!」

 私は簡易カメラだけを手にして部屋から出ていきます。背後からは何やら声が聞こえましたが、それらはすべて無視しました。もはや関係のないことだからです。

 実は私、以前から疑ってはいたのです。

 夫婦の部屋のベッド下にある隙間から見慣れない色の毛が出てきた時。洗面台に夫のものとは思えぬ甘い香りが残っていた時。明らかに不自然であり、私の知らないところで何かが起きていると察したのです。もっとも、いきなり喧嘩をふっかけることはしませんでしたが。


 その後、第一王子の浮気話は、世に伝わりました。

 王子とその愛人の女は国民の暇潰しともいえる激しい叩きに合ったそうです。女性の多くが第一王子の悪口を叫び、それ以外の者たちも未来の王の情けなさに溜め息をつくしかなくて。結果、第一王子に王位を継がせて良いのかという騒動にまでなったそうです。

 あの日々は何だったのだろう、と、思うことは今でもあります。

 けれども、幸せに暮らせているので、結果的には良かったような気もします。


◆終わり◆
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