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前編
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その日、私と婚約者ウェールストンは、異国発祥の食べ物『餅』を食べながら、食事の時間を楽しんでいた。
だがその最中。
彼は急に真面目な顔で声をかけてくる。
「んちゃ、んちゃ……あのさ。ちょっと……んちゃ、んちょ、んちゅ……ちょっといいか?」
「えぇ、構わないわよ」
咀嚼しながら喋るのは不快なのでやめてほしいのだが……。
「婚約、破棄したいんだ。……ちゅ、んちゃ、んちゃ」
「え?」
「ちゃんと聞いてくれよ、んちゃ、んちゅ、んちゅ……、婚約破棄するって決めた、って言っているんだよ」
「婚約破棄……本気で言っているの?」
餅を食べている時にそんな重要なことを言ってくるなんてどうかしている。
私を殺す気でいるのか。
驚いた際に一歩間違って吸ってしまったりしたら、喉に詰まって大惨事になるというのに。
「もちろん、くちゅ、んちゅ……当然……んちゃ、本気だよ」
「そう……残念ね」
「いいだろ? べつにきみもそこまで興味ないだろ?」
「まぁそうね」
餅を食べる口を止めることはできないのか……?
「ということで、婚約は破棄な」
「分かったわ」
ごちそうさま、と言って、立ち上がる。
だがその最中。
彼は急に真面目な顔で声をかけてくる。
「んちゃ、んちゃ……あのさ。ちょっと……んちゃ、んちょ、んちゅ……ちょっといいか?」
「えぇ、構わないわよ」
咀嚼しながら喋るのは不快なのでやめてほしいのだが……。
「婚約、破棄したいんだ。……ちゅ、んちゃ、んちゃ」
「え?」
「ちゃんと聞いてくれよ、んちゃ、んちゅ、んちゅ……、婚約破棄するって決めた、って言っているんだよ」
「婚約破棄……本気で言っているの?」
餅を食べている時にそんな重要なことを言ってくるなんてどうかしている。
私を殺す気でいるのか。
驚いた際に一歩間違って吸ってしまったりしたら、喉に詰まって大惨事になるというのに。
「もちろん、くちゅ、んちゅ……当然……んちゃ、本気だよ」
「そう……残念ね」
「いいだろ? べつにきみもそこまで興味ないだろ?」
「まぁそうね」
餅を食べる口を止めることはできないのか……?
「ということで、婚約は破棄な」
「分かったわ」
ごちそうさま、と言って、立ち上がる。
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