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前編
しおりを挟む「お前とはもうやっていけねぇ。ってことで、婚約は破棄する」
その日はいきなりやって来た。
――そう、婚約者同士という関係が終わる日のことだ。
いや、厳密には、強制的に終わらされる日――そう表現する方が相応しいかもしれないが。
なんにせよ、関わりが終わる日がついに訪れてしまったみたいだ。
「本気で言ってるの?」
万が一冗談だったらいけないと思ってそう確認してみたけれど。
「当たり前だろ」
婚約者の彼オーセットは冷めきったような表情でそう返してきた。
冗談で言った、という線はなさそうだ。
ということはやはり実際にそうしたくて言っているということ。
そうか、もうその時が来てしまったのか。
いつかはそうなるだろう。
何となく想像はしていた。
あまり好かれていないようだったし元々冷ためだったので、そんな日が来てもおかしくないとは思っていた。
とはいえさすがにこんな近い日にそれが起こるとは……。
「そう……でも信じられないわ急過ぎて」
「お前が馬鹿だからそこまで想像してなかっただけだろ」
「え。何てこと言うのよ……」
「何てこと、って、事実だろ? お前が馬鹿なのは事実じゃないか、それを言っただけだろ何が悪いっていうんだ」
オーセットはいつもこんな感じ、ことあるごとに私を見下してくる。
そして、どうしてそんなことを言えるの? と思ってしまうような言葉を平然と並べてくるのだ。
彼には優しさというものがない。
そう、本当に、もう一切。
「酷いわね、相変わらず」
「酷い、だって? 馬鹿だろ。俺は酷いことなんて言ってない、事実を言ってるだけだ」
「そう……もういいわ。じゃあ、終わりにしましょう」
「ああそうだな、俺も馬鹿とはさっさと終わりにして離れたい」
……最後の最後まで、そんなことを言うのね。
胸の内だけで呟いた。
誰にも届かない言葉を。
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