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呼び出されたと思ったら婚約破棄を告げられました。しかも軽い感じでです。……何なのでしょうか、これは。
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ある雨降りの日、婚約者であるオリガに「ちょっと会いたくって」と言われたので、雨だから嫌だなと思いつつも彼のところへ行った。
すると彼はいきなり白い粉をかけてきた。
「いえーい! びっくりした?」
何事かと思っていると。
「実はさ、婚約破棄することにしたんだ」
彼は笑顔でそんなことを言う。
「君との婚約、破棄だから! ……最後にサプライズしようと思って。それで、こういう企画を考えたんだ。あ、大丈夫だよ、その粉変なものじゃないから」
婚約破棄?
サプライズ?
粉?
……なんだそれは。
「じゃあね! さよなら!」
彼は無邪気に笑って手を振ってくる。
こちらはまだきちんと受け入れてもないのに。
「待って、話を――」
「話? もう終わったよ。これ以上話すことなんてないから」
「意味が分からないわ、こんな」
「何? まだ何かあるの?」
「おかしいわよ! こんな急な!」
「はい? 人のことをおかしいとか言うとかどうかしてるよ。じゃあね!」
こうして私とオリガの縁は切れた。
◆
翌日、私は、オリガが死んだことを知った。
昨夜彼はどこかへ出ていったきり戻らず、朝になって親が探したところ、亡骸となって山道で見つかったそうだ。
その胸もとには虫が二匹置かれていたらしい。
なぜ亡くなってしまったのかは謎のままだ。
誰かに殺された?
自ら死を選んだ?
その辺は謎のままだった。
◆
あれから五年、私は結婚し子も二人も得られた。
あの頃はまだただの娘さんだった私も、今では二児の母となり、少しは強くなったように思う。
今は四人家族で楽しく生きている。
今年もまた春が来る。
美しい季節。
具体的な理由なんてないけれど、私は春が好きだ。
◆終わり◆
すると彼はいきなり白い粉をかけてきた。
「いえーい! びっくりした?」
何事かと思っていると。
「実はさ、婚約破棄することにしたんだ」
彼は笑顔でそんなことを言う。
「君との婚約、破棄だから! ……最後にサプライズしようと思って。それで、こういう企画を考えたんだ。あ、大丈夫だよ、その粉変なものじゃないから」
婚約破棄?
サプライズ?
粉?
……なんだそれは。
「じゃあね! さよなら!」
彼は無邪気に笑って手を振ってくる。
こちらはまだきちんと受け入れてもないのに。
「待って、話を――」
「話? もう終わったよ。これ以上話すことなんてないから」
「意味が分からないわ、こんな」
「何? まだ何かあるの?」
「おかしいわよ! こんな急な!」
「はい? 人のことをおかしいとか言うとかどうかしてるよ。じゃあね!」
こうして私とオリガの縁は切れた。
◆
翌日、私は、オリガが死んだことを知った。
昨夜彼はどこかへ出ていったきり戻らず、朝になって親が探したところ、亡骸となって山道で見つかったそうだ。
その胸もとには虫が二匹置かれていたらしい。
なぜ亡くなってしまったのかは謎のままだ。
誰かに殺された?
自ら死を選んだ?
その辺は謎のままだった。
◆
あれから五年、私は結婚し子も二人も得られた。
あの頃はまだただの娘さんだった私も、今では二児の母となり、少しは強くなったように思う。
今は四人家族で楽しく生きている。
今年もまた春が来る。
美しい季節。
具体的な理由なんてないけれど、私は春が好きだ。
◆終わり◆
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