アイネと黄金の龍

四季

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エピローグ

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 ある満月の夜、私は湖へと散歩しに行った。夜道は暗いが月明かりが足下を微かに照らしてくれるから困りはしない。
 湖畔は今日も静かだった。ここを訪れるのは物凄く久しぶりだが、風景はあの頃と何も変わっていない。
 澄んだ水。湖の周囲を取り囲んでいる大岩たちも大きな変化はない。多少苔がむしていることから、相変わらず人は訪れていないのだろうということだけが分かる程度だ。
 私は湖のほとりにそっと座り込む。そこはソラと別れた場所だ。あの時私はこうして座ったまま消えてゆく彼を見送った。もう十年以上経ったのか、と懐かしい思い出に耽る。

「喧嘩でもしたのかい」

 背後から聞こえた懐かしい声に、私は振り返った。
「……ソラ?」
 思わず呟く。
 そこに立っていた青年が彼に瓜二つだったからだ。金色の美しい髪、全身を包む華やかな黄金の衣装。そして青緑色をした瞳。
「……ソラなの?」
 その青年は片側の口角を持ち上げ笑みを浮かべる。
「また会えたね。アイネ」
「……本当にソラ?」
 私はまだ目を疑っていた。
「そうだよ」
 冷たい風になびく金髪が幻想的な雰囲気を漂わせる。
「どうしてここにいるの?永遠に闇の中なんじゃ……」
 彼は私の横を通り過ぎると、優雅な動作で大岩に乗り、身体をこちらに向けた。
「今から話すよ。時間はもうたっぷりあるんだからさ、慌てる必要はないんじゃない?」
 私は頷いてから笑う。
「そうね。その通りよ」
 彼に手を借り大岩の上へ座った。見るたびに切なくなった満月の月明かりが、今は何とも心地よい。
「私もね、貴方に聞いてほしいことがいっぱいあるの」
「僕を退屈させない?」
 私は彼とそっと手を繋ぎ、満月の輝く夜空を眺めた。
「えぇ。退屈なんてしないわ。貴方のお陰で手に入れられた、十年間の旅の記憶よ」
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