乗り換えるのですね? 分かりました。ではお好きなようにどうぞ。~後から戻ってきても遅いのですよ、精々孤独に生きていってください~

四季

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1話

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 私アイリスと村長の息子フィーダスは婚約者同士だった。

 共に未来を見据えて歩いてゆく。
 それが当然のことなのだとそう思っていた。

 しかし、ある夏の日、私は彼から告げられてしまう。

「悪いな、婚約破棄させてくれ」

 きょとんとしてしまう私とは対照的に、彼は深い夜の海のような静かな目をしていた。

「え……あの、それは一体、どういう……」
「つまり終わりにしたいということだ」
「ほ、本気なのですか……?」
「ああそうだ。俺はいつだって本当のことしか言わない。本気だよ。本気で君との関係を終わりにしたいんだ」

 一体何が起きたのか、すぐには分からなくて。

「俺は君よりも愛しい人を見つけたんだ」

 でも、捨てられるのだということだけは分かった。

「だから俺は乗り換えることにした」
「婚約破棄してまで、ですか」
「ああそうだ。俺は自分に正直に生きてゆく。これまでもそうだったし、これからもそのつもりだ。だからこその選択なんだ、これも」

 フィーダスが言うには、村の外れに住む美しい女性に惚れたのだそう。で、どうしても彼女と生きたいと思い、私との関係をおしまいにすることにしたのだそうだ。

 まぁ、順序としては合っているのだろうけど……。
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