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「ありがとう、愛してるわ」あの時貴方に出会えたから、こうして幸せに生きている今があるのです。
しおりを挟む「綺麗だね」
隣にいる彼がそう感想を述べる。
――今日は愛する人と海を見にやって来た。
「そうね、とても」
「海が好きなんだっけ」
「ええ……好きよ」
私はかつて裏切られたうえ婚約破棄されるという辛い思いをした。
自分で言うのも何だがあの時あの頃はかなり辛くて、涙が止まらない日も少なくはなかった。
でもその果てに彼に出会って。
それで、今隣にいる彼と結ばれることができた。
「初めて会ったのも海だったわね」
「うん」
「綺麗だった――あの日の海は、キラキラしてて」
「確かにそうだったね」
こうして夫となった彼とまた海を見られるなんて、言葉にならないくらい幸せだ。
広大な海、太陽の光を照り返す水面、それは巨大な鏡のようでありまた舞台のようでもある。
「ねぇ、私たち、一緒にいる限りずっとこの海を隣で見ましょうね」
過去はもう過ぎ去ったもの。
だから縛られはしない。
それよりも見つめていたのは現在、そして未来。
「そうだね」
「……貴方っていつも返事が短いわね」
「ごめん」
「いいのよ、そういうところも好きなの。……多くを語りはしないけれど、そっと寄り添っていてくれるところとか」
何度だって彼と共にここへ来たい。
そして海を眺める。
そうすればきっと、どれだけ時が過ぎても、始まりの日を思い出せる気がする。
「ありがとう、愛してるわ」
何度だって言う。
恥ずかしくても、照れてしまいそうでも、心を隠すことはしない。
◆終わり◆
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