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前編
しおりを挟む王子オルレインと婚約していた――隣国の姫だった私シェリーは、オルレインに女ができたために切り捨てられた。
「シェリー、君との関係はもう終わらせることにした!」
今、彼の隣にいるのは、本来そこにいるべき婚約者である私ではない。
そう、後から出てきたにも関わらず彼の心を奪ってしまった彼女ルーナだ。
確かにルーナは可愛らしい女性だ。
どことなく小動物のようで、弱そうで、慎ましい。
けれども彼女は王子と結ばれるに相応しい家柄の出ではないはず。
「ルーナさんを選ぶのですか?」
「ああそうだ。ま、分かっているのなら話は早いな」
「では私とはおしまいに?」
「ああ、君との婚約は破棄する」
しかし、オルレインからすれば、家柄などどうでもいいという気持ちなのだろう。
彼は国の繁栄より愛を優先するのだ、恐らく。
「本当に……その気なのですね? オルレイン様」
「当然だ」
「しかし、ルーナさんは新興貴族の娘さんです。王子の妻となるに相応しい身分ではありません」
「そんなことはどうでもいい!」
「家柄を悪く言う気はありませんが……」
「うるさい! 黙れ! そんなことは分かっている! だが、俺は彼女を愛してしまった。こんな気持ちは初めてなのだ」
オルレインは隣のルーナを見つめる。
そうすればルーナもまたオルレインを見つめ返した。
二人の心は視線で繋がっている。
「だから、誰が何と言おうと、俺は彼女を選ぶんだ」
こうして私は婚約破棄された。
ソーダアイスみたいな色の空が爽やかな日のことだった。
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