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5話「我が家に呼びつける日が来ました」
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それからも私はセインの浮気の写真を撮影することを続けた。
繰り返されるミレニアとの二人きりの外出。それを止めることができない不甲斐なさを感じることもあったが、心を殺し、ただひたすらに証拠を集め続ける。セインが脳内お花畑で私の行動に気づかなかったことは幸運だった。
ただ、証拠を集めていくうちに、この二人はなぜこんなにも脳が緩いのだろうと疑問に思えてきた。
人通りのある屋外でも平然といちゃつく。身を寄せ合ったり、腕を絡め合ったり、そのくらいは日常茶飯事。また、少し人通りの少ないところへ行けば、抱き締め合ったり唇を重ねたり、そういうことも平然と行う。
セインとミレニアは、恥じらいというものがかなり欠落しているのかもしれない。
あるいは、互いが想い合っているということに浮かれ過ぎて、周りが見えなくなっているのか。
だがいずれにせよ結婚前に判明して良かった。本当に結婚してしまってからセインのこんなところが明らかになったら、離婚うんぬんに進むにしても面倒臭い。それを避けられたという意味では、礼を言うべきかもしれない。
やがてその日が来た。
私の両親がセインを我が家に呼びつける。
「よく来てくれた、セインくん」
「招いていただきありがとうございます」
直前まで全力で怒っていた父親だが、何とか落ち着いているように見せることができている。だが、今も、心の中は沸騰していることだろう。爆発しないか若干心配になってくる。
「まずはこれを見てほしい」
父親は手にしていたたくさんの写真をセインの目前に置いた。
私がこっそり撮影してきた写真たち。
「っ……!」
電撃が走りでもしたかのような顔になるセイン。
そんなセインを父親は睨む。
「これは一体何だ? この女性は誰だ? 娘ではないだろう」
「か……彼女、は……」
「誰だ、と聞いている。はっきり答えないか」
「ミレニアという、友人のような……」
セインの顔面がみるみるうちに青白くなっていく。健康な人間の顔色ではない、というような顔色になり、情けないぐらい身を縮めている。
やらかしている自覚は多少あったのかもしれない。
だが、やらかしている罪悪感があったなら、敢えてあそこまで堂々といちゃつくだろうか?
もしかしたら、純粋に、まったく気づかれていないと考えていたのかもしれない。脳内お花畑なセインのことだ、そういう可能性もゼロということはない。
「友人? 友人と宿泊施設に入るのか?」
「ち、違います! それは勘違いですっ。その時はミレニアが急に体調を崩して……!」
セインはオロオロしながらも何とか言葉を返す。
が、突っ込みどころが多過ぎる。
「女性は満面の笑みだが?」
「……そう、でしょうか」
「体調を崩した人間の表情ではないと思うが?」
「す……すみません。し、しかし! 恋愛感情はないことは事実です! それだけは誓いますっ!」
急に声を大きくするセイン。
大きな声を出せば責められないとでも考えているのだろうか? だとしたら馬鹿げている。声の大きさなんて関係ない。大声で主張すれば通ると考えているなら、さすがに私たちを甘く見過ぎではないだろうか?
繰り返されるミレニアとの二人きりの外出。それを止めることができない不甲斐なさを感じることもあったが、心を殺し、ただひたすらに証拠を集め続ける。セインが脳内お花畑で私の行動に気づかなかったことは幸運だった。
ただ、証拠を集めていくうちに、この二人はなぜこんなにも脳が緩いのだろうと疑問に思えてきた。
人通りのある屋外でも平然といちゃつく。身を寄せ合ったり、腕を絡め合ったり、そのくらいは日常茶飯事。また、少し人通りの少ないところへ行けば、抱き締め合ったり唇を重ねたり、そういうことも平然と行う。
セインとミレニアは、恥じらいというものがかなり欠落しているのかもしれない。
あるいは、互いが想い合っているということに浮かれ過ぎて、周りが見えなくなっているのか。
だがいずれにせよ結婚前に判明して良かった。本当に結婚してしまってからセインのこんなところが明らかになったら、離婚うんぬんに進むにしても面倒臭い。それを避けられたという意味では、礼を言うべきかもしれない。
やがてその日が来た。
私の両親がセインを我が家に呼びつける。
「よく来てくれた、セインくん」
「招いていただきありがとうございます」
直前まで全力で怒っていた父親だが、何とか落ち着いているように見せることができている。だが、今も、心の中は沸騰していることだろう。爆発しないか若干心配になってくる。
「まずはこれを見てほしい」
父親は手にしていたたくさんの写真をセインの目前に置いた。
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「っ……!」
電撃が走りでもしたかのような顔になるセイン。
そんなセインを父親は睨む。
「これは一体何だ? この女性は誰だ? 娘ではないだろう」
「か……彼女、は……」
「誰だ、と聞いている。はっきり答えないか」
「ミレニアという、友人のような……」
セインの顔面がみるみるうちに青白くなっていく。健康な人間の顔色ではない、というような顔色になり、情けないぐらい身を縮めている。
やらかしている自覚は多少あったのかもしれない。
だが、やらかしている罪悪感があったなら、敢えてあそこまで堂々といちゃつくだろうか?
もしかしたら、純粋に、まったく気づかれていないと考えていたのかもしれない。脳内お花畑なセインのことだ、そういう可能性もゼロということはない。
「友人? 友人と宿泊施設に入るのか?」
「ち、違います! それは勘違いですっ。その時はミレニアが急に体調を崩して……!」
セインはオロオロしながらも何とか言葉を返す。
が、突っ込みどころが多過ぎる。
「女性は満面の笑みだが?」
「……そう、でしょうか」
「体調を崩した人間の表情ではないと思うが?」
「す……すみません。し、しかし! 恋愛感情はないことは事実です! それだけは誓いますっ!」
急に声を大きくするセイン。
大きな声を出せば責められないとでも考えているのだろうか? だとしたら馬鹿げている。声の大きさなんて関係ない。大声で主張すれば通ると考えているなら、さすがに私たちを甘く見過ぎではないだろうか?
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