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前編
しおりを挟む「あんたがノレニーヌ様の婚約者?」
「はい、そうですけど」
姉にはノレニーヌという婚約者がいるのだが、今、そのノレニーヌの浮気相手と思われる女性がうちへやって来てとんでもない空気になってしまっている。
「まさかあんたみたいな地味な女だとは思わなかったわ」
「何でしょうかいきなり」
「じゃあ早速本題に入るけれど――あんた、ノレニーヌ様から離れてくれる?」
その女性は高圧的だった。
それこそ、妹である私から見ても不快なくらい。
少し遠い関係である私から見ても不快に思う態度だ、当事者である姉からすればもっと不愉快だっただろう。
「それはできません。といいますか、なぜいきなりそのようなことを言われなくてはならないのですか」
「わざわざ聞く?」
「はい。分かりませんので」
姉は落ち着いて対応している。
そのあたりはさすがだ。
「ま、いいわ。なら教えてあげる。ノレニーヌ様はね! あたしを一番愛しているの!」
「はぁ……」
「だからあんたはノレニーヌ様の前から消えるべきよ!」
なんて身勝手な理論……。
「なぜですか?」
「ノレニーヌ様はあんたから離れたいと思っていらっしゃるのよ! でも言えないでいるの! お優しいお方だから!」
「……それは事実ですか?」
「ええそうよ! だってノレニーヌ様は誰よりもあたしを愛してくださっている――あんたみたいなのと一緒にいたいわけがないわ!」
女性は長い金髪を振り乱しながら訴える。
――私こそが選ばれるべき人間なのだ、と。
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