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前編
しおりを挟む「お前なんて魔法使えるところくらいしか取り柄のない地味女だろ! 要らねえよ! もう二度と俺の前に現れんな、婚約は破棄だ!」
婚約者レッフェートはそう言って私との関係を終わらせた。
最初から分かっていた、きっといつかはこうなってしまうだろうと。だって彼は派手な女性が好きだから。私のような地味な焦げ茶髪にぐるぐる眼鏡をかけているような女は彼の恋愛対象ではない。
でも、もしかしたら、そう思ってここまできたのだ。
いつかは分かってくれるかもしれない。
いつかは理解しようとしてもらえる日が来るかもしれない。
……そんな風に。
けれどもそれは叶わず、関係解消にまで至ってしまった。
残念なことだ。
でも仕方ない。
他人の異性の好みを変えるなんていうのは誰にもできないことだ。
◆
婚約破棄された次の日の夜。
「ぎゃぶええええええ! たっけてえええぇぇぇぇぇぇ!」
突如一人の青年が駆け込んできた。
どうやら魔物に襲われているよう。
金持ちそうな身形なのだが、青年は青白い顔をしている。
「どうしました?」
「魔物おおおおお!」
「え、襲われたとかですか」
「そう! それ! それ、く、来るうううううう!」
仕方ない、魔物は対峙するとしようか。
持っていた杖にエネルギーを集め、それを一気に放つ!
――すべての魔物を一撃で仕留めることに成功した。
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