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3話
しおりを挟むその後五十代くらいの女性から聞いた話によると、レイツェルはベッツェが若い女メメルを可愛がり熱心に気にかけていることにいつも苛立っていたそうだ。
こんな美しい女性でも恋に悩む乙女だったのか……。
でも!
この世界にはきっともっと素晴らしい縁があるはず!
だから、私は頑張って、きっと彼女を幸せにしてみせる。
――そう決意した。
◆
あの後色々あったけれど、私は、良い人に巡り会えた。
その人との出会いはレイツェルの母の友人の結婚式。
参加者同士として出会い、数回顔を合わせ、そのうちにどんどん親しくなっていって……最終的には結ばれた。
「レイツェルさんって、本当はお優しい方だったんですね」
「以前のことは覚えていませんけど……」
「そっか。記憶喪失。それで人格が変わった、とかですかね? 何だか不思議だなぁ」
ちなみに、ベッツェとメメルは、あの後周りの反対を無視して式もせず無理矢理結婚したらしいが。いざ結ばれてみると小さなすれ違いが多発し、夫婦喧嘩の日々となってしまったそうで。一年ももたず二人は離婚することとなったそうだ。
その後メメルは周囲から「男に捨てられた無能女」とか「男を奪っておいてすぐ捨てられてるゴミ」とか言われるようになり、同性の友人もほぼいなくなって、やがて心を病んでいったらしい。
一方ベッツェはというと、それからもいろんな女をとっかえひっかえしていたようだがある時急に奇病に見舞われて、死への道を歩み出すこととなっていってしまったらしい。
「私、以前はそんなに優しくない人でしたか?」
レイツェルはこんな結婚は嫌だっただろうか?
でも私はこういう幸せも良いものだと思うのだ。
彼女も納得してくれていれば良いのだけれど。
「あ、いや、僕はあまり知らなくって……でも、噂で聞いていたのは、凄く気の強い女性だとか何とか……すみません、噂を信じてしまって」
「いえいいんです」
「でも僕、今、貴女のことを何よりも愛しています!」
「ありがとう嬉しいです」
「貴女は僕のこと……好きじゃないですか?」
「ええっ、そんなわけないじゃないですか。好きですよ。一緒にいたら楽しいですし」
「ふふ、なら良かったぁ」
◆終わり◆
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