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前編
しおりを挟む妹に婚約者ができた。
だがその婚約者は元々私の婚約者であったオルフェという青年で。
そう、彼女は、私の婚約者を勝手にもぎ取っていったのである。
そんな事情があるから、どうしても、彼女の婚約を真っ直ぐに祝福はできなかった。
『悪いが、君との婚約は破棄する』
今でも思い出す。
オルフェからそう告げられた日のことを。
『お姉さまみたいな人、一人でいればいいのよっ。いいじゃない? 家はあるんだし。素敵な殿方なんて要らないでしょ? 精々親の介護でもしてれば?』
驚く私に、妹はこんなことを言ってきたのだ。
さらにオルフェも。
『僕は妹さんに惚れ惹かれている。姉妹だからと君で納得することはできない。だから、さよなら。君とはここまでにして、これからは、妹さんと生きてゆく。彼女との出会いを作ってくれたことだけは感謝するよ』
こちらの気持ちなんて一切考えずにそう言った。
酷いものだ。
二人して、言われる側の私の心なんて考えもせず。
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