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私が欲しいのは彼との道だけ、それ以外なんて求めようとは思いません。
しおりを挟む先日婚約者に捨てられた。
その理由はもっと良い人に出会えたからなどというかなりざっくりしたものであった。
きっと彼はもうとうに冷めていたのだろう。私のことなんてどうでも良くなっていて。それゆえ、ちょうどいい頃合いだったのだろう。
でもそんな彼のおかげで私は幸せを手に入れることができた。
というのも、婚約破棄された数日後に良き出会いがあったのだ。
悲しい終焉に少々落ち込んでしまっていた私だが、家から少し離れたところにある地面に座っている時に声をかけてきてくれた人がいて――それが未来で夫となった人だった。
そういう意味では元婚約者の彼にも感謝はしている。
彼が私を捨ててくれたからこそ今の幸せを手に入れられたのだ、そう考えると感謝しかないというものだろう。
ちなみに元婚約者の彼はというと、あの後仲良くしていた恋人に関する件で親と大喧嘩になり、やがて勘当されるに至ってしまったそうだ。
何でも、親が女性を気に入らなかったとか何とかで。
しかしそれでも幸せにはなれない。
そこまでして、すべてを捨てて女性を選んだ彼だったのだが、それから一年も経たず女性から捨てられてしまったそうだ。
もっと良い人に出会えたから。
それが女性からの別れを告げる言葉だったそうだ。
自分がやったことが見事なまでにそのまま返ってきたのである。
まぁ世の常か。
やったことはいずれ返ってくるものだ。
でも、今はもう、彼のことなんてどうでもいい。
だって私には愛する夫がいる。
彼と歩める道。
私が欲しいのはそれだけ、それ以外なんて求めない。
今私の心は光に満たされている。
◆終わり◆
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