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しおりを挟む不治の病を癒すが少々くせのある体臭を生まれ持った私は、そのこの世のものとは思えぬ能力をもってしても多くの人からは愛されず育った。
すべてはこの体臭のせいだ。
これがすべてを狂わせた。
愛されない道へと私を誘ったのはこれである。
私だって色々対策はしてきた。少しでも迷惑にならないように、と考えて。でも、何をしても改善はされず、どうしても少々生魚のような不思議な匂いがしてしまうのだ。
ただ、そんな私にも婚約者はいて。
「リリアナ、ちょっといいか?」
ある快晴の日、彼アドフストリが珍しく声をかけてきた。
「あ、はい」
彼から声をかけてくれるのはあまりないことだ。
もし私が普通の娘だったら、もっと仲良くできたのだろうか……。
「実は伝えたいことがあってな」
「何でしょうか」
「お前との婚約だが、破棄とすることにした」
「えっ――」
珍しく声をかけてもらえたと思ったらこれだ。
やはり私は愛されない運命なのか。
そう思うと悲しくなって涙が溢れそうになってしまって、でも同情を誘っていると思われても嫌なので何とか堪える。
「その匂いが嫌でさ、他の女を選ぶことにした。それでまずは婚約を破棄しようと思ってな」
「そ、そうですか……そうですよね、私、臭いですし……」
「よく分かっているじゃないか」
「はい……自覚はあります……」
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