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2話

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 どうしてこんなものを持って生まれてしまったのだろう。
 こんなものさえなければ私は幸せになれたのに。

「じゃあなリリアナ、バイバイ」

 結局アドフストリとも終わってしまったのだった。


 ◆


 ある雨の日、私は、山道にて倒れている人を発見する。

 彼の名はルラーといった。
 これまで見たことがないくらい美男子だった。

 私は一時的に彼を保護、気がつくまで様子を見守ることにした。

「貴女が……僕を助けてくださったのですか?」
「倒れていらっしゃったので。……すみません、勝手なことを」
「いえ、いいのです。それよりもお礼を言わせてください。助けてくださってありがとうございました」

 ルラーは私の匂いに気づいていないのか?

 今のところ不快そうな顔はしていない。

「よければ今度お礼させてください」
「え、いいですよそんなの。これは私が勝手にしたことですから」
「そんな。何も返さないわけには参りません」
「いいんです本当に……私、お礼なんて求めていません」
「なぜ?」
「……お礼を言ってもらえるような人間ではないのです、私は」
「どういうことです?」
「だって私、臭いですし」
「臭い?」
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