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3話
しおりを挟むパルプは殺されたのだ。
何でも彼は一人の女性と親しくしていたそうなのだが、その女性は既婚者だったそうだ。で、関係が深くなり過ぎたために女性の夫に呼び出され、お叱りを受けることとなってしまったのである。そんな中でパルプと女性の夫は喧嘩になってしまい、殴り合いにまで発展して。しまいに女性の夫が包丁を取り出してパルプを何度も刺し、殺めた、ということだったようである。
「――だって、そんな感じだったみたい」
私はその情報をすぐにフレアへ伝えた。
本当は言わない方が良かったのかもしれない、なんて思いながら。
「そう……」
話を聞いた彼女は少し俯いていた。
「ごめんね、こんなこと伝えて。でもフレアには一応言っとかないとって思って」
「ありがとう姉さん」
「不快にさせちゃったらごめんなさい」
「ううん、いいの……大丈夫、不快じゃないから。教えてくれてありがとう、ありがたいわ」
◆
あれから一年半。
「おはよう、姉さん」
「ええおはようフレア。今日は結婚式ね、楽しみね」
妹フレアは今日式を挙げる。
彼女の夫となるのは当たり前だがパルプではない。
ただとても高貴な家の出の男性だ。
姉から見てもフレアに相応しい人だと思う。
「ちょっと寂しくなるけど……でも、姉として、ずっと愛しているから」
「ありがとう姉さん」
「だからね、また、たまには元気な顔見せに来てちょうだいね?」
「ええ、それはもちろん。わたしだって姉さんに会いたいもの、絶対またたまにはここへ戻ってくるわ」
妹の幸せ、それは私が何より望んでいるものだ。
「ずっとありがとう、姉さん」
フレアはそう言って私の手をそっと握ってくる。
「こちらこそありがとう。愛しているわフレア。きっと、きっと……ううん、絶対……幸せになってね!」
◆終わり◆
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