1 / 4
1話
「ルシエラ王女! 君に話がある!」
ある日の晩餐会、婚約者であるオリバー王子から突然声をかけられた。
婚約者同士なのだからこうして話すのは何らおかしな話ではない——そう思われるかもしれない。いや、普通であればそうなのだろう。そう思う人も間違ってはいないのだ。だが、私たちに限っては、例外である。
だって、私たちの関係は、既に冷えきっているのだから。
今だって彼の隣にいるのは私ではない。
本来婚約者がいるべきその場所にいるのは、栗色の髪の少女だ。
「何でしょうか」
「ルシエラ王女、君は、ネネを虐めているそうだな」
「……意味が分かりませんが」
ちなみに、ネネというのが栗色の髪の少女のことである。
私は王女、彼は王子、けれどもネネは王族ではない。が、彼女はオリバーに誰より気に入られている。彼女はいつもオリバーの後ろに隠れていて、一見慎ましいようにも見えるのだが、身分が異なるオリバーに取り入ることができるあたり慎ましくはないのだろう。
「ネネから聞いたぞ。飲み物に雑巾の汁を入れたり、ドレスを破いたり、嫌がらせばかりしているそうだな。君にはがっかりだ」
なぜ勝手に話を進める?
私はまだ認めていないというのに。
「あ、あの、オリバー様……」
「大丈夫だネネ! 心配するな! もう嫌がらせはさせない」
「わたしが……悪いんです。その、身分が下なのに……こんな……」
「身分なんて関係ない! 本当に大切なのは心の美しさだ。君は何も悪くない」
見せつけているのか? 二人していちゃついて。人がいるところで必要以上に仲良くして恥ずかしくないのか?
ある日の晩餐会、婚約者であるオリバー王子から突然声をかけられた。
婚約者同士なのだからこうして話すのは何らおかしな話ではない——そう思われるかもしれない。いや、普通であればそうなのだろう。そう思う人も間違ってはいないのだ。だが、私たちに限っては、例外である。
だって、私たちの関係は、既に冷えきっているのだから。
今だって彼の隣にいるのは私ではない。
本来婚約者がいるべきその場所にいるのは、栗色の髪の少女だ。
「何でしょうか」
「ルシエラ王女、君は、ネネを虐めているそうだな」
「……意味が分かりませんが」
ちなみに、ネネというのが栗色の髪の少女のことである。
私は王女、彼は王子、けれどもネネは王族ではない。が、彼女はオリバーに誰より気に入られている。彼女はいつもオリバーの後ろに隠れていて、一見慎ましいようにも見えるのだが、身分が異なるオリバーに取り入ることができるあたり慎ましくはないのだろう。
「ネネから聞いたぞ。飲み物に雑巾の汁を入れたり、ドレスを破いたり、嫌がらせばかりしているそうだな。君にはがっかりだ」
なぜ勝手に話を進める?
私はまだ認めていないというのに。
「あ、あの、オリバー様……」
「大丈夫だネネ! 心配するな! もう嫌がらせはさせない」
「わたしが……悪いんです。その、身分が下なのに……こんな……」
「身分なんて関係ない! 本当に大切なのは心の美しさだ。君は何も悪くない」
見せつけているのか? 二人していちゃついて。人がいるところで必要以上に仲良くして恥ずかしくないのか?
あなたにおすすめの小説
あなたに何されたって驚かない
こもろう
恋愛
相手の方が爵位が下で、幼馴染で、気心が知れている。
そりゃあ、愛のない結婚相手には申し分ないわよね。
そんな訳で、私ことサラ・リーンシー男爵令嬢はブレンダン・カモローノ伯爵子息の婚約者になった。
もう、振り回されるのは終わりです!
こもろう
恋愛
新しい恋人のフランシスを連れた婚約者のエルドレッド王子から、婚約破棄を大々的に告げられる侯爵令嬢のアリシア。
「もう、振り回されるのはうんざりです!」
そう叫んでしまったアリシアの真実とその後の話。
凍てついた心を持つ王子は、捨てられた令嬢の涙を許さない。
ナギ
恋愛
「私なんて、何の価値もない身代わりの出来損ないですから……」
実家で虐げられ、美しい姉の身代わりとして生きてきた伯爵令嬢のエルナ。
ある夜、婚約者から大勢の前で婚約破棄を突きつけられ、雨の中に放り出されてしまう。
絶望して泥にまみれる彼女を拾い上げたのは、「氷の処刑王子」と恐れられる隣国の第一王子・フェリクスだった。
「ようやく見つけた。お前を二度と離さない」
冷酷なはずの彼は、なぜかエルナを甘やかし、24時間、執着心剥き出しで愛を注ぎ始める。
自分を「無能」だと信じ込むエルナと、彼女を「宝物」として閉じ込めたい王子。
余裕のない王子の溺愛に、臆病な令嬢の心は甘く溶かされていき――。