1 / 2
前編
しおりを挟む
姉ルシアは皆から愛されていた。
私とは違う可愛らしい容姿を持って生まれた彼女はいつだって多くの人たちから愛され、また、両親の心さえも虜にしていた。
そして私はいつも一人だった。
「ルシアは本当に素直で可愛いよなぁ。それに比べて、お前は」
「もっと可愛らしく見えるようお姉ちゃんを見習えば?」
父も、母も、いつも姉の味方をして。
私のことなんて悪くしか言わない。
少し大人しいだけなのに。
少し本が好きなだけなのに。
それなのに私はいつもクズ女みたいな扱いで。
「お前は相変わらずぱっとしないよなぁ。女なのに本なんか読んで、父親として恥ずかしい」
「もっと容姿を磨きさないよ。一応女なんだから。ほら、お姉ちゃんを見習って」
父からも、母からも、嫌みばかり言われた。
――しかし、二十歳の時、状況は一変する。
私はこの国の王子であるローレフに見初められ彼と結ばれることになった。一方ルシアはというとその時婚約していた資産家の男性から婚約破棄され実家へ戻った。
この辺りから、両親は急に私に媚を売るようになったのであった。
「王子様を射止めるなんて凄いわねぇ。本当はずっと思っていたのよ? 貴女はとっても賢い子だって」
「本もたくさん読んでいたしなぁ」
私とは違う可愛らしい容姿を持って生まれた彼女はいつだって多くの人たちから愛され、また、両親の心さえも虜にしていた。
そして私はいつも一人だった。
「ルシアは本当に素直で可愛いよなぁ。それに比べて、お前は」
「もっと可愛らしく見えるようお姉ちゃんを見習えば?」
父も、母も、いつも姉の味方をして。
私のことなんて悪くしか言わない。
少し大人しいだけなのに。
少し本が好きなだけなのに。
それなのに私はいつもクズ女みたいな扱いで。
「お前は相変わらずぱっとしないよなぁ。女なのに本なんか読んで、父親として恥ずかしい」
「もっと容姿を磨きさないよ。一応女なんだから。ほら、お姉ちゃんを見習って」
父からも、母からも、嫌みばかり言われた。
――しかし、二十歳の時、状況は一変する。
私はこの国の王子であるローレフに見初められ彼と結ばれることになった。一方ルシアはというとその時婚約していた資産家の男性から婚約破棄され実家へ戻った。
この辺りから、両親は急に私に媚を売るようになったのであった。
「王子様を射止めるなんて凄いわねぇ。本当はずっと思っていたのよ? 貴女はとっても賢い子だって」
「本もたくさん読んでいたしなぁ」
0
あなたにおすすめの小説
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
姉が私の振りして婚約者に会ってたので、罠に嵌めました。
coco
恋愛
姉は私の振りをして、婚約者を奪うつもりらしい。
以前から、私の婚約者とデートを繰り返していた姉。
今まで色んな物をあなたに奪われた…もう我慢の限界だわ!
私は姉を罠に嵌め、陥れることにした。
闇から立ち上がった私の、復讐劇が始まる─。
妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。
(完結)妹の婚約者である醜草騎士を押し付けられました。
ちゃむふー
恋愛
この国の全ての女性を虜にする程の美貌を備えた『華の騎士』との愛称を持つ、
アイロワニー伯爵令息のラウル様に一目惚れした私の妹ジュリーは両親に頼み込み、ラウル様の婚約者となった。
しかしその後程なくして、何者かに狙われた皇子を護り、ラウル様が大怪我をおってしまった。
一命は取り留めたものの顔に傷を受けてしまい、その上武器に毒を塗っていたのか、顔の半分が変色してしまい、大きな傷跡が残ってしまった。
今まで華の騎士とラウル様を讃えていた女性達も掌を返したようにラウル様を悪く言った。
"醜草の騎士"と…。
その女性の中には、婚約者であるはずの妹も含まれていた…。
そして妹は言うのだった。
「やっぱりあんな醜い恐ろしい奴の元へ嫁ぐのは嫌よ!代わりにお姉様が嫁げば良いわ!!」
※醜草とは、華との対照に使った言葉であり深い意味はありません。
※ご都合主義、あるかもしれません。
※ゆるふわ設定、お許しください。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
寵愛していた侍女と駆け落ちした王太子殿下が今更戻ってきた所で、受け入れられるとお思いですか?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるユーリアは、王国の王太子と婚約していた。
しかしある時彼は、ユーリアの侍女だった女性とともに失踪する。彼らは複雑な事情がある王国を捨てて、他国へと渡ったのだ。
そこユーリアは、第二王子であるリオレスと婚約することになった。
兄と違い王子としての使命に燃える彼とともに、ユーリアは王国を導いていくことになったのだ。
それからしばらくして、王太子が国へと戻ってきた。
他国で上手くいかなかった彼は、自国に戻ることを選んだのだ。
そんな彼に対して、ユーリアとリオレスは言い渡す。最早この国に、王太子の居場所などないと。
双子の姉に聴覚を奪われました。
浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』
双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。
さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。
三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる