両親は姉ばかり可愛がってきたのに、私が王子に見初められると急に手のひら返ししてきました。~その手には乗りません、縁を切ります~

四季

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前編

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 姉ルシアは皆から愛されていた。

 私とは違う可愛らしい容姿を持って生まれた彼女はいつだって多くの人たちから愛され、また、両親の心さえも虜にしていた。

 そして私はいつも一人だった。

「ルシアは本当に素直で可愛いよなぁ。それに比べて、お前は」
「もっと可愛らしく見えるようお姉ちゃんを見習えば?」

 父も、母も、いつも姉の味方をして。

 私のことなんて悪くしか言わない。

 少し大人しいだけなのに。
 少し本が好きなだけなのに。

 それなのに私はいつもクズ女みたいな扱いで。

「お前は相変わらずぱっとしないよなぁ。女なのに本なんか読んで、父親として恥ずかしい」
「もっと容姿を磨きさないよ。一応女なんだから。ほら、お姉ちゃんを見習って」

 父からも、母からも、嫌みばかり言われた。

 ――しかし、二十歳の時、状況は一変する。

 私はこの国の王子であるローレフに見初められ彼と結ばれることになった。一方ルシアはというとその時婚約していた資産家の男性から婚約破棄され実家へ戻った。

 この辺りから、両親は急に私に媚を売るようになったのであった。

「王子様を射止めるなんて凄いわねぇ。本当はずっと思っていたのよ? 貴女はとっても賢い子だって」
「本もたくさん読んでいたしなぁ」
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