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3話「魔王との対面、与えられた部屋」
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彼はこほんと音をこぼして。
「そ、その……ローレニアさん、初めまして」
もっと高圧的に来るものかと思ったが案外そうではなかった。初めまして、と言うだけなのに、まるで恋する乙女であるかのような初々しさ。緊張している雰囲気が伝わってくる。挨拶をするだけなのに。
「初めまして、ローレニア・ハーモニアと申します」
「え、えと……えととととととと……」
……大丈夫か?
何やら慌てているようだが大丈夫なのだろうか、見ていて少々不安になる。
「ま……マオン、です……」
やがて彼はそう言った。
非常に恥ずかしそうにしながら。
「貴方が魔王という存在なのですか?」
「……はいそうです」
「そうなのですね。で、私をどうするつもりなのでしょうか? 妻候補とか何とか聞きましたが、私を奴隷にでもなさるおつもりでしょうか」
尋ねてみたが、彼は恥ずかしそうにうじうじするばかり。
これではまともな答えを貰えそうにないな、と思っていたら、近くにいるヴァッファリーナが「妻候補の女性に対してはいつもこうなのです、緊張して上手く話せなくなるようで」と小声で教えてくれた。
「魔王様、一旦落ち着かれては」
「どういうことだ? ヴァッファリーナ」
いや、そっちとは喋れるのかーい。
内心そんな風に突っ込みを入れてしまった。
「ローレニア様を例の部屋へお連れします」
「あ、ああ。そうだ。そうしてくれ」
例の部屋って!? ……おかしな部屋でないと良いけれど。
「では、すみませんが、ローレニア様は一度こちらへ」
「え。あ、はい。承知しました」
軽く礼をして魔王マオンの前から去る。
それにしても……魔王であるにも関わらずあのような初々しい様子だとは思わなかったので少々驚いた。しかも、ヴァッファリーナと話す時は魔王らしい雰囲気だから、なおさら不思議だ。なぜ特定の人と喋る時だけ変わるのか、と、どうしても思ってしまう。
ちなみに、その後私が案内されたのは、恐ろしいところではなかった。
それどころか過ごしやすそうな部屋だった。
宿泊施設の一室のような部屋、そこにはベッドと椅子とテーブルがある。
「あの、ここは?」
「ローレニア様にはしばらくここで過ごしていただくことになります」
「ここにいれば良いということですか?」
「はい」
そこそこ綺麗な部屋だ、どうやら私を囚人のように扱う気はないらしい。
こうして自室のような部屋を得られた私だったが、だからといってそこまでゆったりはできず。まだ慣れないのでどことなく疲労感がある。けれども、部屋があるだけでもありがたい良い、と思うようにして。ひとまずは、今あるものに感謝して生きてゆくことにした。
ただ、それでも、これからどうなるのだろうという不安がないわけではなかった。
「そ、その……ローレニアさん、初めまして」
もっと高圧的に来るものかと思ったが案外そうではなかった。初めまして、と言うだけなのに、まるで恋する乙女であるかのような初々しさ。緊張している雰囲気が伝わってくる。挨拶をするだけなのに。
「初めまして、ローレニア・ハーモニアと申します」
「え、えと……えととととととと……」
……大丈夫か?
何やら慌てているようだが大丈夫なのだろうか、見ていて少々不安になる。
「ま……マオン、です……」
やがて彼はそう言った。
非常に恥ずかしそうにしながら。
「貴方が魔王という存在なのですか?」
「……はいそうです」
「そうなのですね。で、私をどうするつもりなのでしょうか? 妻候補とか何とか聞きましたが、私を奴隷にでもなさるおつもりでしょうか」
尋ねてみたが、彼は恥ずかしそうにうじうじするばかり。
これではまともな答えを貰えそうにないな、と思っていたら、近くにいるヴァッファリーナが「妻候補の女性に対してはいつもこうなのです、緊張して上手く話せなくなるようで」と小声で教えてくれた。
「魔王様、一旦落ち着かれては」
「どういうことだ? ヴァッファリーナ」
いや、そっちとは喋れるのかーい。
内心そんな風に突っ込みを入れてしまった。
「ローレニア様を例の部屋へお連れします」
「あ、ああ。そうだ。そうしてくれ」
例の部屋って!? ……おかしな部屋でないと良いけれど。
「では、すみませんが、ローレニア様は一度こちらへ」
「え。あ、はい。承知しました」
軽く礼をして魔王マオンの前から去る。
それにしても……魔王であるにも関わらずあのような初々しい様子だとは思わなかったので少々驚いた。しかも、ヴァッファリーナと話す時は魔王らしい雰囲気だから、なおさら不思議だ。なぜ特定の人と喋る時だけ変わるのか、と、どうしても思ってしまう。
ちなみに、その後私が案内されたのは、恐ろしいところではなかった。
それどころか過ごしやすそうな部屋だった。
宿泊施設の一室のような部屋、そこにはベッドと椅子とテーブルがある。
「あの、ここは?」
「ローレニア様にはしばらくここで過ごしていただくことになります」
「ここにいれば良いということですか?」
「はい」
そこそこ綺麗な部屋だ、どうやら私を囚人のように扱う気はないらしい。
こうして自室のような部屋を得られた私だったが、だからといってそこまでゆったりはできず。まだ慣れないのでどことなく疲労感がある。けれども、部屋があるだけでもありがたい良い、と思うようにして。ひとまずは、今あるものに感謝して生きてゆくことにした。
ただ、それでも、これからどうなるのだろうという不安がないわけではなかった。
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