最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

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グローブとオレガノ

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こちらからは、フォックスとジャクリンさんの登場です。


「フォックス様、共に頑張りましょうね。」


「ええ、絶対に勝利を掴みましょう、ジャクリンさん。」


二人は見つめ合いながら勝利することを誓いました。

なんか、浮わついていませんか、この二人。


「よし、出てこい、オレガノ。」


呼ばれて出てきた敵のもう一人は、体格のよい戦士のような男でした。

鎧を纏い、剣と盾を装備しています。


「どうでもいいけど、足を引っ張るなよ、クローブ。」


「ふん、逆だ。いつも足を引っ張っているのは、お前だ。俺はいつもお前の尻拭いばかりやってるんだぞ。」


「なんだと、てめえ!ふざけんなよ。」


これは勝機があるかもしれません。

どう考えても、この二人が息を合わせることなんて無理でしょう。

こちらの二人は、ラブラブカップルです。

あんな気が合わない二人に負けるはずがありません。


「さて、と。じゃあそろそろ始めるとするか。」


「ああ、出遅れるなよ、オレガノ。」


「うるせえ、いつも出遅れるのは、お前だろうが。」


やっぱり凸凹コンビのようです。

ただ、僕は少しの不安を感じていました。

この二人が強いのは間違いありません。

強さの度合いは分かりかねますが、これまでの相手と同等かそれ以上の強さと見ておくべきでしょう。

個々で動いてくれさえすれば、フォックスとジャクリンさんのコンビには絶対に敵わないはず。

ですが、だいたいこういう二人は、いざ戦いとなると信じられないくらいに息を合わせてきます。

この戦いはコンビネーションが勝敗を左右します。

僕は息をのんで、戦いを見ることに集中しました。


「まずは俺からだ!喰らえ!」


まずはクローブが動きました。

その長い髪を振ると、まるで針のように変化していきました。

これがクローブの特殊な能力なのでしょう。


「そんなもの通じんぞ!」


フォックスも爪を鋭い刃に変化させ、クローブの髪を切り裂いていきます。

そして、その攻防が数分間続いた時、突然終わりを向かえることとなりました。

なんと!クローブの髪が全て抜け落ちてしまっているではありませんか。


「お、おのれ俺の大事な髪を!許さん!」


クローブは怒りに身を任せ、フォックスへと突撃を仕掛けました。

何か他に奥の手を持っているはずです。

フォックス気をつけてください。


「うおぉぉお!」


丸坊主で突っ込んでくるクローブ。

その手には何も武器の類いは持っていません。

何か他に能力を持っているかもしれません。

または、陽動の可能性もあります。

仲間のオレガノの動向をジャクリンさんが、きっちり見ています。さすがですね。


「フォックスクロウ!」


フォックスの爪がクローブを切り裂きました。

クローブは力なく、その場に倒れてしまいました。

……いったい何だったのでしょう、あの突撃は。


「クローブの奴、情けねえ。俺が二人とも殺してやる。」


オレガノは剣を抜き、またしてもフォックスへと斬りかかりました。


「あなたは行かせません。ヒーティングファイア!」


ジャクリンさんの魔法がオレガノに直撃します。

おや?しかし、オレガノは無傷です。

ジャクリンさんの魔法は効いていないのでしょうか。

しかし、次の瞬間でした。


「な、なんだか体が熱いぞ!?」


「早くその鎧、脱いだほうがよろいですわよ。さもないと――。」


「な、なんだこれは!熱い!」


突然、オレガノの鎧が真っ赤に染まり、溶けだしました。

そして一瞬にしてオレガノの体は燃えあがり、灰となってしまいました。


「だから言ったのに。」


なんと、あっという間に二人を倒してしまったではありませんか。

これは予想外に圧勝だったのではないでしょうか。

それにしても、ジャクリンさんは、なかなか恐ろしい方ですね。

あのレジェスのお供をしているのですから、当然といえば当然かもしれませんけれどね。


これで、あと二人倒せば、この場の大将ゼインを残すのみです。


「まったくあいつらときたら。まあ、はまれば強いのだが、はまらなければ、雑魚もいいとこだな。」


続いて黒装束を脱ぎ、出てきたのは眼鏡をかけた知的そうな人物でした。

魔物でも眼鏡をかけるのですね。

僕は、そんなことを思いながら彼の眼鏡を見つめていました。


「これは、俺流のお洒落だ!」


いや、僕は何も言っていないのですが。

しかしこの男、神経質っぽいですね。

僕は、この手の奴は苦手なのです。


「我が名はフェンネル。スパイク盗賊団、最強の男だ。」


「――ちょっと待ちなさいよ。誰が最強ですって?聞捨てならないわね。」


残る一人の黒装束が前に出てきて、姿を現しました。

これは――!?

その姿に僕の時間がストップしてしまいました。

スパイク盗賊団、最後の一人は女性だったのです。

しかも、普通の女性ではありませんよ。

少し紫がかった長い髪。

すらりと伸びた白い手足、露出多めのサディスティックな顔つきでありつつ、小悪魔ぽい感じですが、どこか幼さも残っているような、僕にとっては完璧な女性でした。


「最強は私だ、ナツメグ。なんならこいつらの前に貴様から片付けてやろうか。」


「あんた、やっぱり馬鹿だね。確かにあんたは強いけど、見た目とは裏腹に意外に頭悪いわよね。」


「な、なんだと!やはり貴様には私の強さを思い知らせなければならぬようだな。」


おっと!急に仲間割れが始まりそうな雰囲気になってますね。

こちらとしては、ラッキー以外のなんでもありません。

是非、潰しあっていただきたい。

そして叶うことなら、ナツメグさんが勝ち残り、僕がとどめをさしたいですね。


「うぬら、たいがいにしておけ。さっさと奴らをやってこい。」


二人の後方から、お腹の芯に響くような、ドスの効いた低い声が聞こえてきました。


「ゼ、ゼイン様。ちっ、仕方ない。やるぞナツメグ。」


「そ、そうね。貴殿方に提案するわ。今回も二対二の戦いでどうかしら。そちらの二人は、さっきの戦いでは無傷でしょうし。不利にはならないと思うのだけれど。」


これは受けるべきですね。

ナツメグが言ったように、フォックスもジャクリンさんも殆んど力を使っていません。

ベストの状態で臨めるはずです。

しかも今回も勝ってしまえば、残るはゼインのみ。

さっきみたいに、楽勝で勝てればフォックスとジャクリンさんが残ります。

その二人がゼインを倒してくれれば、晴れて僕の出番はなく終われそうです。


「どうします、フォックス様。」


「むろん、受けてたちましょう、ジャクリンさん。」


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