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フェンネルとナツメグの恐怖
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先ほどに続き、またしても二対二での戦いということになりました。
こちらからはフルガイアの民でディミトリさんの側近である、フォックスと、レジェスの旅のお供をしている、魔法使いジャクリンさんの急造コンビです。
ですが悪くない組み合わせです。
なんせジャクリンさんはフォックスに恋心を抱いていますからね。
今回も期待大です。
「それでは参りましょうか、ジャクリンさん。」
先に動いたのは、フォックスとジャクリンさんでした。
フォックスは両腕の先に五本ずつ鋭く長い爪を持っています。
その爪で先にフェンネルへと仕掛けていきました。
対するフェンネルは普通の剣を抜き応戦する準備を整えます。
もう一人の敵、美しき魔物ナツメグはまだ動きません。
こちらのだいたいの能力は相手は確認しているはずですが、こちらは相手の能力を何も知りません。
最初は様子見から入ったほうが良策といえるでしょう。
「は、早い!」
フェンネルはフォックスとの間合いを一気に詰めていきます。
そして二人が激突しようとした瞬間、フェンネルは突然進行方向を変えました。
そして、そのままのスピードで今度はジャクリンさんへと襲いかかりました。
虚をつかれたジャクリンさんを、すぐにフォックスがフォローへ回ろうとした、その時でした。
突然、フォックスを何かが斬りつけました。
一瞬にして、フォックスの体がズタズタに切られていき、血を噴き出しました。
「な、なんだ今のは。」
「ふふ、あなたは動いちゃだめよ。」
どうやら、ナツメグがフォックスに何かしらの攻撃を加えたようです。
「フォックス様!」
ジャクリンさんは、フォックスを心配して声をあげました。
「おっと、私のことを忘れてはいまいか、小娘。」
ジャクリンさんの目前にはフェンネルが迫っています。
これは、まずいですよ。
「ウィンドウウォール!」
ジャクリンさんは冷静に風を下から吹き上げて壁を作り防御します。
「それでは私は止められんよ。風斬り!」
なんと、ジャクリンさんの魔法壁が切り裂かれてしまったではありませんか。
しかも、その一振りはジャクリンさんにまで届きそうです。
「死ね!」
ジャクリンさんはフェンネルの一撃をもろに喰らったように見えました。
「――ほう。なかなかやるな小娘。」
ジャクリンさんは後方へと大きく飛ばされました。
いや、正確には自ら飛んだようにも見えましたが。
「風の魔法で私の一撃が届く寸前に自分を後ろへと吹き飛ばしたか。だが――。」
完全に避けたようにみえたジャクリンさんでしたが、どうやら傷を負ってしまったようです。
右の肩付近からは、おびただしい出血が見てとれます。
「ち、ちょっと判断が遅れましたわ。」
これは、危なかったですね。
何とか難を逃れたとはいえ、二人とも負傷してしまいました。
いや、それよりも何よりも先ほどのフェンネルの一撃、あれは魔法剣です。
ナツメグが魔法使いでフェンネルが魔法剣士ということなのでしょうか?
それならば、非常に不利な展開と言わざるをえません。
その理由としては、彼らにはまだ魔物としての特殊な能力があるということ。
さっきの技が特殊な能力ならばよいですが。
しかしあれは、れっきとした魔法剣と魔法でした。
「ジャクリンさん、大丈夫ですか。」
「ええ、すぐに治療したので全く問題ありません。」
あれほどの傷を瞬く間に治癒魔法で完治させるとは、やはり優秀な魔法使いですね、ジャクリンさんは。
「これは、なかなか厄介な魔道士だ。どうするナツメグ、本気でやるか。」
「そうね、この人間――一部人間じゃないのもいるけど、舐めてかかると危険だわ。全力で叩き潰しましょう、フェンネル。」
本気ということは、きっと魔物の特殊な能力を使ってくるのでしょう。
ですが、これは好機かもしれません。
相手に全てを出させてもなお、乗り切れればチャンス到来でしょう。
「見せてやろう!我が力を!」
フェンネルが力を込めると、なんと背中の肩甲骨あたりから新たに二本の腕が出現しました。
なんとも気持ち悪い感じですが、単純に腕が四本あれば剣を四本持つことができます。
これはフォックスが戦うには不利な状況かもしれません。
「私も特別に見せてあげるわ。」
今度はナツメグが変化を始めました。
彼女の下半身がまるで獣のように四つ足へと変わりました。
これには、僕も愕然とするほかありません。
あんなにも美しかったのに、これではもはや化け物としか言いようがないではないですか。
「魔法剣、マルチクローン!」
フェンネルの剣が四本に増え、各腕に持たれました。
「空を舞え、ヴァニティレーション!」
ナツメグは魔法を唱え、空中を自在に動き回り始めました。
「手始めに素敵な貴方から、やらせてもらおうかしら。」
ナツメグの標的は、どうやらフォックスのようでした。
フォックスの頭上まで移動すると、彼女はピタリと止まったまま空中で停止しました。
「串刺しにおなりなさい、モイスチャースピア!」
半透明な無数の槍状の雨をフォックスへと降り注がせました。
「ふ、防ぎきれない。」
フォックスも懸命に防御しますが、追いつきません。
結局、大きなダメージを負うことになってしまいました。
そのフォックスを容赦なくフェンネルが、とどめを刺そうと襲いかかりますが、そこはジャクリンさんが、すかさず魔法で牽制して足止めさせました。
これは、なかなか白熱した戦いになってきましたね。
正直、フォックスとジャクリンさんコンビが不利な状況です。
相手は巧く立ち回っていますからね。
何かしらの策が必要かもしれません。
「そんなものかね、君たちの実力は。」
フェンネルは勝ち誇ったように言いました。
「そろそろ決着をつけて差し上げましょう。」
ナツメグも勝利を確信しているような態度です。
「フォックス様、私を信じることができますか?」
突然、ジャクリンさんはフォックスへ、そう問いかけました。
「な、なんです突然。」
「いいから、答えてくださたい。」
「勿論です。私は貴女を信じていますよ、ジャクリンさん。」
ジャクリンさんは、満足そうに頷きました。
「では、ここから反撃しましょう、フォックス様。」
こちらからはフルガイアの民でディミトリさんの側近である、フォックスと、レジェスの旅のお供をしている、魔法使いジャクリンさんの急造コンビです。
ですが悪くない組み合わせです。
なんせジャクリンさんはフォックスに恋心を抱いていますからね。
今回も期待大です。
「それでは参りましょうか、ジャクリンさん。」
先に動いたのは、フォックスとジャクリンさんでした。
フォックスは両腕の先に五本ずつ鋭く長い爪を持っています。
その爪で先にフェンネルへと仕掛けていきました。
対するフェンネルは普通の剣を抜き応戦する準備を整えます。
もう一人の敵、美しき魔物ナツメグはまだ動きません。
こちらのだいたいの能力は相手は確認しているはずですが、こちらは相手の能力を何も知りません。
最初は様子見から入ったほうが良策といえるでしょう。
「は、早い!」
フェンネルはフォックスとの間合いを一気に詰めていきます。
そして二人が激突しようとした瞬間、フェンネルは突然進行方向を変えました。
そして、そのままのスピードで今度はジャクリンさんへと襲いかかりました。
虚をつかれたジャクリンさんを、すぐにフォックスがフォローへ回ろうとした、その時でした。
突然、フォックスを何かが斬りつけました。
一瞬にして、フォックスの体がズタズタに切られていき、血を噴き出しました。
「な、なんだ今のは。」
「ふふ、あなたは動いちゃだめよ。」
どうやら、ナツメグがフォックスに何かしらの攻撃を加えたようです。
「フォックス様!」
ジャクリンさんは、フォックスを心配して声をあげました。
「おっと、私のことを忘れてはいまいか、小娘。」
ジャクリンさんの目前にはフェンネルが迫っています。
これは、まずいですよ。
「ウィンドウウォール!」
ジャクリンさんは冷静に風を下から吹き上げて壁を作り防御します。
「それでは私は止められんよ。風斬り!」
なんと、ジャクリンさんの魔法壁が切り裂かれてしまったではありませんか。
しかも、その一振りはジャクリンさんにまで届きそうです。
「死ね!」
ジャクリンさんはフェンネルの一撃をもろに喰らったように見えました。
「――ほう。なかなかやるな小娘。」
ジャクリンさんは後方へと大きく飛ばされました。
いや、正確には自ら飛んだようにも見えましたが。
「風の魔法で私の一撃が届く寸前に自分を後ろへと吹き飛ばしたか。だが――。」
完全に避けたようにみえたジャクリンさんでしたが、どうやら傷を負ってしまったようです。
右の肩付近からは、おびただしい出血が見てとれます。
「ち、ちょっと判断が遅れましたわ。」
これは、危なかったですね。
何とか難を逃れたとはいえ、二人とも負傷してしまいました。
いや、それよりも何よりも先ほどのフェンネルの一撃、あれは魔法剣です。
ナツメグが魔法使いでフェンネルが魔法剣士ということなのでしょうか?
それならば、非常に不利な展開と言わざるをえません。
その理由としては、彼らにはまだ魔物としての特殊な能力があるということ。
さっきの技が特殊な能力ならばよいですが。
しかしあれは、れっきとした魔法剣と魔法でした。
「ジャクリンさん、大丈夫ですか。」
「ええ、すぐに治療したので全く問題ありません。」
あれほどの傷を瞬く間に治癒魔法で完治させるとは、やはり優秀な魔法使いですね、ジャクリンさんは。
「これは、なかなか厄介な魔道士だ。どうするナツメグ、本気でやるか。」
「そうね、この人間――一部人間じゃないのもいるけど、舐めてかかると危険だわ。全力で叩き潰しましょう、フェンネル。」
本気ということは、きっと魔物の特殊な能力を使ってくるのでしょう。
ですが、これは好機かもしれません。
相手に全てを出させてもなお、乗り切れればチャンス到来でしょう。
「見せてやろう!我が力を!」
フェンネルが力を込めると、なんと背中の肩甲骨あたりから新たに二本の腕が出現しました。
なんとも気持ち悪い感じですが、単純に腕が四本あれば剣を四本持つことができます。
これはフォックスが戦うには不利な状況かもしれません。
「私も特別に見せてあげるわ。」
今度はナツメグが変化を始めました。
彼女の下半身がまるで獣のように四つ足へと変わりました。
これには、僕も愕然とするほかありません。
あんなにも美しかったのに、これではもはや化け物としか言いようがないではないですか。
「魔法剣、マルチクローン!」
フェンネルの剣が四本に増え、各腕に持たれました。
「空を舞え、ヴァニティレーション!」
ナツメグは魔法を唱え、空中を自在に動き回り始めました。
「手始めに素敵な貴方から、やらせてもらおうかしら。」
ナツメグの標的は、どうやらフォックスのようでした。
フォックスの頭上まで移動すると、彼女はピタリと止まったまま空中で停止しました。
「串刺しにおなりなさい、モイスチャースピア!」
半透明な無数の槍状の雨をフォックスへと降り注がせました。
「ふ、防ぎきれない。」
フォックスも懸命に防御しますが、追いつきません。
結局、大きなダメージを負うことになってしまいました。
そのフォックスを容赦なくフェンネルが、とどめを刺そうと襲いかかりますが、そこはジャクリンさんが、すかさず魔法で牽制して足止めさせました。
これは、なかなか白熱した戦いになってきましたね。
正直、フォックスとジャクリンさんコンビが不利な状況です。
相手は巧く立ち回っていますからね。
何かしらの策が必要かもしれません。
「そんなものかね、君たちの実力は。」
フェンネルは勝ち誇ったように言いました。
「そろそろ決着をつけて差し上げましょう。」
ナツメグも勝利を確信しているような態度です。
「フォックス様、私を信じることができますか?」
突然、ジャクリンさんはフォックスへ、そう問いかけました。
「な、なんです突然。」
「いいから、答えてくださたい。」
「勿論です。私は貴女を信じていますよ、ジャクリンさん。」
ジャクリンさんは、満足そうに頷きました。
「では、ここから反撃しましょう、フォックス様。」
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