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第三章 炎天下の暴露と、逃げ水のような距離
第21話 生存戦略と、タクシーの中の本性
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晴瑠が来てから数日。
医局の空気は、彼女の存在によって華やかに、そして少しだけ不穏に色づいていた。
「わー!美雲先生、そのアイシャドウ超可愛いですねっ!どこのブランドですか?」
「え、ほんと?ありがとう!新しいシリーズなんだけどね……」
晴瑠は、持ち前の愛嬌で美雲の懐にすんなり入っていた。
仕事も早く、要領が良い。
「可愛い後輩が来てくれた」と純粋に喜ぶ美雲の横で、皐月は少しだけ複雑な気持ちでいた。
あの日、雪村を論破した時の冷たい目。
あれは私の見間違いだったのだろうか。
普段の彼女はこんなにも人懐っこいのに。
「皐月先生!この処置の手順、教えてもらっていいですか?」
「うん、いいよ。ここはね……」
(……まあ、悪い子じゃないよね。雪村の言い方も酷かったし)
皐月は自分に言い聞かせ、彼女を受け入れることにした。
*
「よし!じゃあ今日は晴瑠ちゃんの歓迎会だよ!」
美雲の号令で、その日の夜、若手医師たちによる飲み会が開催された。 メンバーは晴瑠を筆頭に、皐月、美雲、霜田、小林。そして……。
「……なんで俺まで」
一番端の席で、雪村が不満げにウーロン茶を飲んでいる。
「当たり前でしょ!同じチームなんだから!あんたが一番年近いんだし、仲良くしなさいよ」
「痛い……。暴力反対です」
霜田に叩かれ、雪村は渋々席につく。
*
会が盛り上がってきた頃。
ビールですっかり出来上がった霜田が、晴瑠に身を乗り出した。
「ねえねえ、立花先生って彼氏いるの?」
定番の質問だ。
晴瑠は、少し恥ずかしそうに首を振った。
「いえ、いないです。私、今まで彼氏いたことなくて……」
「えー!?うっそだー!こんなに可愛いのに!?」
場がどよめく。晴瑠は頬を染め、もじもじしながら言った。
「私、小中高一貫の女子校出身で……奥手なんです。それに、大学に入ってからずっと片思いしてる人がいて」
「えっ!」
「誰!?どんな人!?」
霜田の目がギラリと光る。晴瑠は人差し指を唇に当てて、可愛らしく微笑んだ。
「あはは……それは秘密です」
その一途な様子に、皆が「青春だねぇ」と盛り上がる。
ただ一人、雪村だけは興味なさそうにスマホをいじっていた。
その時だった。
ピピピピピ……!
皐月のバッグの中で、PHSが鳴り響いた。オンコールだ。
画面を見る。『病棟看護師』。
「……はい、皮膚科オンコール天野です」
『夜分にすみません!入院中の加藤さんの術後創部から出血がありまして……!』
「わかりました。すぐ行きます」
皐月は電話を切り、皆に頭を下げた。
「ごめんなさい!呼ばれちゃったので、お先に失礼します!」
「えー、また?皐月ちゃん、最近当たり強くない?」
同情されながら、皐月は慌ただしく店を飛び出した。
*
病院に戻り、患者の止血処置を終えた頃には、21時を過ぎていた。
幸い、圧迫と数針の縫合で止まった。
「ふぅ……疲れた」
重い足取りで医局に戻る。
電気は消えていると思ったが、奥のデスクに明かりがついていた。
「……雨宮先生?」
そこにいたのは、雨宮だった。
眼鏡を外し、眉間を揉みながらモニターを見つめている。
「……天野か」
彼は皐月に気づくと、眼鏡をかけ直した。
「こんな時間まで何してるんですか?」
「論文の査読だ。……お前こそ、今日は新人歓迎会をやると聞いているが。何をやってる」
「あ、えっと、オンコールで呼ばれたので……」
皐月が答えると、雨宮の眉間に深い皺が刻まれた。 彼はゆっくりと椅子を回転させ、皐月を睨みつけた。
「……なぜ、私に連絡しなかった」
「えっ?いえ、自分で対応できる範囲だったので! それに、先生もお忙しいと思って……」
「先日も言ったはずだ」
雨宮の声が低くなり、皐月はビクリと震えた。
五十嵐と対応した壊死性筋膜炎。
「自分一人で背負えると思うな」と怒られた記憶が蘇る。
「自分の判断に自信を持つのはいい。だが、それは慢心と紙一重だと言っただろう。術後の出血なら、万が一の再手術の可能性も考慮して、上級医の耳に入れておくのが筋だ。……お前はまだ、何も学んでいないのか」
厳しい口調。
皐月は唇を噛み締め、俯いた。
「……申し訳、ありません」
反論できない。
配慮のつもりでも、報告を怠ったのは事実だ。
沈黙が痛い。
雨宮は呆れたように大きなため息をつくと、立ち上がって自販機の方へ向かった。
戻ってきた彼の手には、二つの缶コーヒーがあった。
一つを、皐月のデスクに置く。
「……飲め。カフェインレスだ」
「えっ?」
驚いて顔を上げると、雨宮はもう自分の席に戻り、背中を向けていた。
「顔色が悪い。……歓迎会でろくに食べていないんだろう」
「あ、ありがとうございます……」
受け取ると、温かい。
厳しく叱られた直後の、不器用な優しさ。
その温度差に、皐月の胸が締め付けられる。
「……次は必ず、連絡します」
「ああ。……お疲れ様」
ぶっきらぼうな労いの言葉。
皐月は缶コーヒーを両手で包み込み、「はい」と小さく答えた。
厳しいけれど、ちゃんと見ていてくれる。
その安心感が、疲れた体に染み渡っていくようだった。
*
一方その頃。晴瑠の歓迎会も終わりを迎えていた。
「じゃあ、私はこっちだから」
「お疲れ様でしたー!」
各々が帰路に着く。
「……タクシー拾うか」
雪村が通りに出ようとすると、晴瑠が後ろからついてきた。
「雪村先生!お家、どの辺ですか?」
「……〇〇町だが」
「えっ、奇遇!私も〇〇町なんです!相乗りさせてください!」
晴瑠は満面の笑みで提案した。
「……はぁ?なんで俺が」
「いいじゃないですかぁ、タクシー代浮きますし!エコですよ、エコ!」
結局、雪村は押し切られる形で、彼女と共にタクシーに乗り込んだ。
*
車内。流れる街灯。
晴瑠は「雪村先生ってぇ、普段どんな音楽聴くんですかぁ?」と、相変わらずの猫撫で声で話しかけてくる。
雪村は窓の外を見ながら、限界に達したように冷ややかに言った。
「……おい。いい加減にしろよ」
「え?」
「俺に取り入ろうとしてるのか知らんが、無駄だぞ。お前のその『良い子ちゃん』演技、見てて反吐が出る」
雪村の言葉に、車内の空気が凍りついた。
晴瑠の動きが止まる。
数秒の沈黙。
やがて、彼女は「はぁー」と長く、深く、重い溜め息をついた。
「……バレちゃいましたか」
声のトーンが、一段下がった。
さっきまでの甘ったるい響きは跡形もなく消え失せている。
彼女はシートに深く背を預け、気怠げに足を組んだ。その横顔からは、愛嬌など欠片も感じられない。
「ま、雪村先生みたいな陰険な人には、どう思われてもいいですけどね」
「……なんだと?」
「別に『取り入ろう』なんてしてませんよ。……ただ、皆に愛されたい……敵を作りたくないだけです」
「愛されたい……?」
「そうですよ。雪村先生だって、どうせ一緒に働くなら『可愛くて優秀な研修医』の方がいいですよね?せっかく完璧に演じてあげようとしてたのに、『反吐が出る』なんて……」
晴瑠は雪村を睨みつけた。
その目には、「必死に作り上げた完璧さ」を否定された怒りが滲んでいた。
雪村は呆気にとられた。
「お前……それが本性か」
「本性っていうか、生存戦略です。……大人なら当たり前でしょ?」
タクシーが赤信号で止まる。
赤いテールランプの光が、晴瑠の顔を照らし出した。
窓ガラスに映る彼女の瞳は、底知れぬほど冷たく、濁っていた。
「ま、雪村先生が何言っても無駄ですよ。今の医局、私の方を信じる人の方が多そうですし」
彼女はニコッと笑った。
その笑顔は、歓迎会で見せていた「恋する乙女」の表情とは似ても似つかない、どこか悲痛なものだった。
目的地に着き、ドアが開く。
晴瑠は瞬時に表情を切り替え、「じゃ、ご馳走様でしたー!おやすみなさーい!」と、再び猫を被って降りていった。
残された雪村は、遠ざかる彼女の背中を見送った。
背筋に、冷たいものが走る。
(……とんでもない女だ)
ただの「ぶりっ子」ではない。
この女は、必ず医局に嵐を呼ぶ。
雪村の予感は、確信へと変わっていた。
医局の空気は、彼女の存在によって華やかに、そして少しだけ不穏に色づいていた。
「わー!美雲先生、そのアイシャドウ超可愛いですねっ!どこのブランドですか?」
「え、ほんと?ありがとう!新しいシリーズなんだけどね……」
晴瑠は、持ち前の愛嬌で美雲の懐にすんなり入っていた。
仕事も早く、要領が良い。
「可愛い後輩が来てくれた」と純粋に喜ぶ美雲の横で、皐月は少しだけ複雑な気持ちでいた。
あの日、雪村を論破した時の冷たい目。
あれは私の見間違いだったのだろうか。
普段の彼女はこんなにも人懐っこいのに。
「皐月先生!この処置の手順、教えてもらっていいですか?」
「うん、いいよ。ここはね……」
(……まあ、悪い子じゃないよね。雪村の言い方も酷かったし)
皐月は自分に言い聞かせ、彼女を受け入れることにした。
*
「よし!じゃあ今日は晴瑠ちゃんの歓迎会だよ!」
美雲の号令で、その日の夜、若手医師たちによる飲み会が開催された。 メンバーは晴瑠を筆頭に、皐月、美雲、霜田、小林。そして……。
「……なんで俺まで」
一番端の席で、雪村が不満げにウーロン茶を飲んでいる。
「当たり前でしょ!同じチームなんだから!あんたが一番年近いんだし、仲良くしなさいよ」
「痛い……。暴力反対です」
霜田に叩かれ、雪村は渋々席につく。
*
会が盛り上がってきた頃。
ビールですっかり出来上がった霜田が、晴瑠に身を乗り出した。
「ねえねえ、立花先生って彼氏いるの?」
定番の質問だ。
晴瑠は、少し恥ずかしそうに首を振った。
「いえ、いないです。私、今まで彼氏いたことなくて……」
「えー!?うっそだー!こんなに可愛いのに!?」
場がどよめく。晴瑠は頬を染め、もじもじしながら言った。
「私、小中高一貫の女子校出身で……奥手なんです。それに、大学に入ってからずっと片思いしてる人がいて」
「えっ!」
「誰!?どんな人!?」
霜田の目がギラリと光る。晴瑠は人差し指を唇に当てて、可愛らしく微笑んだ。
「あはは……それは秘密です」
その一途な様子に、皆が「青春だねぇ」と盛り上がる。
ただ一人、雪村だけは興味なさそうにスマホをいじっていた。
その時だった。
ピピピピピ……!
皐月のバッグの中で、PHSが鳴り響いた。オンコールだ。
画面を見る。『病棟看護師』。
「……はい、皮膚科オンコール天野です」
『夜分にすみません!入院中の加藤さんの術後創部から出血がありまして……!』
「わかりました。すぐ行きます」
皐月は電話を切り、皆に頭を下げた。
「ごめんなさい!呼ばれちゃったので、お先に失礼します!」
「えー、また?皐月ちゃん、最近当たり強くない?」
同情されながら、皐月は慌ただしく店を飛び出した。
*
病院に戻り、患者の止血処置を終えた頃には、21時を過ぎていた。
幸い、圧迫と数針の縫合で止まった。
「ふぅ……疲れた」
重い足取りで医局に戻る。
電気は消えていると思ったが、奥のデスクに明かりがついていた。
「……雨宮先生?」
そこにいたのは、雨宮だった。
眼鏡を外し、眉間を揉みながらモニターを見つめている。
「……天野か」
彼は皐月に気づくと、眼鏡をかけ直した。
「こんな時間まで何してるんですか?」
「論文の査読だ。……お前こそ、今日は新人歓迎会をやると聞いているが。何をやってる」
「あ、えっと、オンコールで呼ばれたので……」
皐月が答えると、雨宮の眉間に深い皺が刻まれた。 彼はゆっくりと椅子を回転させ、皐月を睨みつけた。
「……なぜ、私に連絡しなかった」
「えっ?いえ、自分で対応できる範囲だったので! それに、先生もお忙しいと思って……」
「先日も言ったはずだ」
雨宮の声が低くなり、皐月はビクリと震えた。
五十嵐と対応した壊死性筋膜炎。
「自分一人で背負えると思うな」と怒られた記憶が蘇る。
「自分の判断に自信を持つのはいい。だが、それは慢心と紙一重だと言っただろう。術後の出血なら、万が一の再手術の可能性も考慮して、上級医の耳に入れておくのが筋だ。……お前はまだ、何も学んでいないのか」
厳しい口調。
皐月は唇を噛み締め、俯いた。
「……申し訳、ありません」
反論できない。
配慮のつもりでも、報告を怠ったのは事実だ。
沈黙が痛い。
雨宮は呆れたように大きなため息をつくと、立ち上がって自販機の方へ向かった。
戻ってきた彼の手には、二つの缶コーヒーがあった。
一つを、皐月のデスクに置く。
「……飲め。カフェインレスだ」
「えっ?」
驚いて顔を上げると、雨宮はもう自分の席に戻り、背中を向けていた。
「顔色が悪い。……歓迎会でろくに食べていないんだろう」
「あ、ありがとうございます……」
受け取ると、温かい。
厳しく叱られた直後の、不器用な優しさ。
その温度差に、皐月の胸が締め付けられる。
「……次は必ず、連絡します」
「ああ。……お疲れ様」
ぶっきらぼうな労いの言葉。
皐月は缶コーヒーを両手で包み込み、「はい」と小さく答えた。
厳しいけれど、ちゃんと見ていてくれる。
その安心感が、疲れた体に染み渡っていくようだった。
*
一方その頃。晴瑠の歓迎会も終わりを迎えていた。
「じゃあ、私はこっちだから」
「お疲れ様でしたー!」
各々が帰路に着く。
「……タクシー拾うか」
雪村が通りに出ようとすると、晴瑠が後ろからついてきた。
「雪村先生!お家、どの辺ですか?」
「……〇〇町だが」
「えっ、奇遇!私も〇〇町なんです!相乗りさせてください!」
晴瑠は満面の笑みで提案した。
「……はぁ?なんで俺が」
「いいじゃないですかぁ、タクシー代浮きますし!エコですよ、エコ!」
結局、雪村は押し切られる形で、彼女と共にタクシーに乗り込んだ。
*
車内。流れる街灯。
晴瑠は「雪村先生ってぇ、普段どんな音楽聴くんですかぁ?」と、相変わらずの猫撫で声で話しかけてくる。
雪村は窓の外を見ながら、限界に達したように冷ややかに言った。
「……おい。いい加減にしろよ」
「え?」
「俺に取り入ろうとしてるのか知らんが、無駄だぞ。お前のその『良い子ちゃん』演技、見てて反吐が出る」
雪村の言葉に、車内の空気が凍りついた。
晴瑠の動きが止まる。
数秒の沈黙。
やがて、彼女は「はぁー」と長く、深く、重い溜め息をついた。
「……バレちゃいましたか」
声のトーンが、一段下がった。
さっきまでの甘ったるい響きは跡形もなく消え失せている。
彼女はシートに深く背を預け、気怠げに足を組んだ。その横顔からは、愛嬌など欠片も感じられない。
「ま、雪村先生みたいな陰険な人には、どう思われてもいいですけどね」
「……なんだと?」
「別に『取り入ろう』なんてしてませんよ。……ただ、皆に愛されたい……敵を作りたくないだけです」
「愛されたい……?」
「そうですよ。雪村先生だって、どうせ一緒に働くなら『可愛くて優秀な研修医』の方がいいですよね?せっかく完璧に演じてあげようとしてたのに、『反吐が出る』なんて……」
晴瑠は雪村を睨みつけた。
その目には、「必死に作り上げた完璧さ」を否定された怒りが滲んでいた。
雪村は呆気にとられた。
「お前……それが本性か」
「本性っていうか、生存戦略です。……大人なら当たり前でしょ?」
タクシーが赤信号で止まる。
赤いテールランプの光が、晴瑠の顔を照らし出した。
窓ガラスに映る彼女の瞳は、底知れぬほど冷たく、濁っていた。
「ま、雪村先生が何言っても無駄ですよ。今の医局、私の方を信じる人の方が多そうですし」
彼女はニコッと笑った。
その笑顔は、歓迎会で見せていた「恋する乙女」の表情とは似ても似つかない、どこか悲痛なものだった。
目的地に着き、ドアが開く。
晴瑠は瞬時に表情を切り替え、「じゃ、ご馳走様でしたー!おやすみなさーい!」と、再び猫を被って降りていった。
残された雪村は、遠ざかる彼女の背中を見送った。
背筋に、冷たいものが走る。
(……とんでもない女だ)
ただの「ぶりっ子」ではない。
この女は、必ず医局に嵐を呼ぶ。
雪村の予感は、確信へと変わっていた。
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