101 / 148
第101話 第八感
しおりを挟む
カルイ副司令官は顔を真っ青にしながら震え始めた。
「カルイ副司令。一体何が来たと言うのだ」
「……………………」
カルイ副司令官は何も答えない。そして、何かを恐れるようにその場から離れて行った。
その瞬間、背筋が凍りつき、身の毛がよだつ思いだった。否応なしに僕の第八感が警報を告げる。
第八感とは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感に加えて、第6感の直感、第七感の霊感。その先にある第八感とは……
究極の災厄『毒母』。
まさかと思い、僕は徐々に近付いて来る謎の建造物の一団を凝視する。
あの建造物に10人ほどの人間が乗っている。しかも最悪な事に大勢の子供達にその建造物を引っ張らせているだと!? 頭には花笠を被らせ、みんな同じ青い法被を着させている。それは恰かも古代エジプトでピラミッドの巨大な石を引っ張っている人達を想像させる。大の大人ならまだわかるが、いたいけな子供達を虐げるとは…… 児童虐待じゃないか!
さらに太鼓と笛の音が大きくなって行く。微かに子供達の掛け声が聞こえてくる。
『殺ッマレ 殺ッマレ 殺ッマレ 殺ッマレ』
――えっ!? 殺ッマレ 殺ッマレだと? なんて物騒な掛け声なんだ! んっ!? 殺ッテマレ? どこかで聞いた、このフレーズ。
お、思い出したぞ! 前世で青森県五所川○市の立佞○多を見に行った時の立佞武○の掛け声じゃねぇか!
その掛け声に気が付くと、子供達の声がもの凄く、元気で楽しそうに聞こえる。まるでお祭りを楽しむように。
「あ、あれは!?」
暫くすると、建造物の全容が明らかになった。
「山車だ! ユネスコ無形文化遺産に登録され、日本一豪華絢爛な山車と言われている。青森県八○市で行われている三社大○の山車じゃねぇかよ! どこでその山車を制作したんだ? しかも山車の上に武者とか、歌舞伎とか、昔ばなしのキャラの人形が乗っているはずなのに、なぜ人間が乗っている? まさか、おい〇せ町の下〇まつりか?」
僕が驚きマジマジと山車を眺めていると、ある人物の姿を確認した。
「母上? どうして主役と呼ばれる人形の位置に母上が居るんだ? それに母上だけじゃない。サンペータ、ルブラン、マリック、ドールの母親まで山車に乗っているぞ? 顔馴染みの貴婦人から記憶に無い婦人まで人形の代わりに山車に乗っているだと」
説明しよう。三社大祭での山車の掟として、最上段中央に存在感をバリバリ主張し、鎮座する人形の事を主役という。
――どうして神聖で、もっとも人々から崇拝されている主役の位置に、精巧に作られた白馬の人形に跨り、これでもかと金箔が施された豪華な当世具足に身を包み、左手には手綱、右手には生首を高らかに突き上げていた。人形の生首だとは思うが、本物の生首であったなら、ドン引きレベルで頭が狂かしい。なぜ、その様なキメポーズをキメて鎮座されているのか理解できない。
母上の存在を確認した直後、山車の題材が掛かれた木札を見ると、『島津家久と耳川の戦い』と書かれていた。
――家久といえば、島津四兄弟の四男で、『妖怪首おいてけ』の島津豊久の実父じゃないか⁉
しかも趣味が戦とか頭がイカれたご趣味の持ち主だったはず……
子供達の掛け声と太鼓、笛の音色が変わる。
『ヨ―イ、ヨーイ、ヨイサーヨイサ、ヨイサーノセー、ア殺ーレ、殺レ殺レ殺レー、もう1つおまけに、殺レ殺レ殺レ殺レー!』
――三社大○の山車の掛け声じゃないか! 狂ってる。完全に狂ってる。ヤベェとかのレベルじゃねぇぞ! 先ほどの立○武多の掛け声より、より一層、物騒になっているじゃないか! なんだよ、この殺伐した掛け声は! 子供達に言わせる掛け声じゃねぇだろ! どんだけ毒母なんだ。
そして、ようやく僕の目の前で山車が止まった。
「カルイ副司令。一体何が来たと言うのだ」
「……………………」
カルイ副司令官は何も答えない。そして、何かを恐れるようにその場から離れて行った。
その瞬間、背筋が凍りつき、身の毛がよだつ思いだった。否応なしに僕の第八感が警報を告げる。
第八感とは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感に加えて、第6感の直感、第七感の霊感。その先にある第八感とは……
究極の災厄『毒母』。
まさかと思い、僕は徐々に近付いて来る謎の建造物の一団を凝視する。
あの建造物に10人ほどの人間が乗っている。しかも最悪な事に大勢の子供達にその建造物を引っ張らせているだと!? 頭には花笠を被らせ、みんな同じ青い法被を着させている。それは恰かも古代エジプトでピラミッドの巨大な石を引っ張っている人達を想像させる。大の大人ならまだわかるが、いたいけな子供達を虐げるとは…… 児童虐待じゃないか!
さらに太鼓と笛の音が大きくなって行く。微かに子供達の掛け声が聞こえてくる。
『殺ッマレ 殺ッマレ 殺ッマレ 殺ッマレ』
――えっ!? 殺ッマレ 殺ッマレだと? なんて物騒な掛け声なんだ! んっ!? 殺ッテマレ? どこかで聞いた、このフレーズ。
お、思い出したぞ! 前世で青森県五所川○市の立佞○多を見に行った時の立佞武○の掛け声じゃねぇか!
その掛け声に気が付くと、子供達の声がもの凄く、元気で楽しそうに聞こえる。まるでお祭りを楽しむように。
「あ、あれは!?」
暫くすると、建造物の全容が明らかになった。
「山車だ! ユネスコ無形文化遺産に登録され、日本一豪華絢爛な山車と言われている。青森県八○市で行われている三社大○の山車じゃねぇかよ! どこでその山車を制作したんだ? しかも山車の上に武者とか、歌舞伎とか、昔ばなしのキャラの人形が乗っているはずなのに、なぜ人間が乗っている? まさか、おい〇せ町の下〇まつりか?」
僕が驚きマジマジと山車を眺めていると、ある人物の姿を確認した。
「母上? どうして主役と呼ばれる人形の位置に母上が居るんだ? それに母上だけじゃない。サンペータ、ルブラン、マリック、ドールの母親まで山車に乗っているぞ? 顔馴染みの貴婦人から記憶に無い婦人まで人形の代わりに山車に乗っているだと」
説明しよう。三社大祭での山車の掟として、最上段中央に存在感をバリバリ主張し、鎮座する人形の事を主役という。
――どうして神聖で、もっとも人々から崇拝されている主役の位置に、精巧に作られた白馬の人形に跨り、これでもかと金箔が施された豪華な当世具足に身を包み、左手には手綱、右手には生首を高らかに突き上げていた。人形の生首だとは思うが、本物の生首であったなら、ドン引きレベルで頭が狂かしい。なぜ、その様なキメポーズをキメて鎮座されているのか理解できない。
母上の存在を確認した直後、山車の題材が掛かれた木札を見ると、『島津家久と耳川の戦い』と書かれていた。
――家久といえば、島津四兄弟の四男で、『妖怪首おいてけ』の島津豊久の実父じゃないか⁉
しかも趣味が戦とか頭がイカれたご趣味の持ち主だったはず……
子供達の掛け声と太鼓、笛の音色が変わる。
『ヨ―イ、ヨーイ、ヨイサーヨイサ、ヨイサーノセー、ア殺ーレ、殺レ殺レ殺レー、もう1つおまけに、殺レ殺レ殺レ殺レー!』
――三社大○の山車の掛け声じゃないか! 狂ってる。完全に狂ってる。ヤベェとかのレベルじゃねぇぞ! 先ほどの立○武多の掛け声より、より一層、物騒になっているじゃないか! なんだよ、この殺伐した掛け声は! 子供達に言わせる掛け声じゃねぇだろ! どんだけ毒母なんだ。
そして、ようやく僕の目の前で山車が止まった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる