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第102話 二つ名は……
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最上段から母上が華麗に飛び降りる。つかつかと僕の目の前まで近付くと、
『ドスッ』
おもいっきり気合いの入った腹パンを喰らった…… 僕はその場で崩れ落ちる。
「これくらいの事で城を落とせないとは、なんとも情けない愚息だこと。恥を知りなさい恥を!」
鬼の形相で睨みつける母上をセンターに、そして山車に乗っていたご婦人たちが横並びに並んでいた。
「まあまあ会長。ここは落ち着いて。情けない男共には、この戦場は任せておけないわ。ここは私達が男共に真の正義とは何かを知らしめてやりましょう」
ドールの母親ゼニース伯爵夫人まで狂気じみた事を言い始めた。
「そうね。真の正義とは何かを伝授するのには、ちょうど良い機会ね。では副会長。口上を頼むわよ」
ベルガーさんはマルコス。メルヘン子爵夫人はミレーユの母君だ。ハナーウェさんとユーミィさんは王都でも超有名な天才ど
「はい。会長」
どこからどう見ても貴族とは思えない見知らぬ婦人が会長でもある母上に返事をしていた。
「母上。良いところを邪魔するようで申し訳ありませんが、副会長さんにはこれまでお会いしたことがないのですが?」
恐る恐る母上に聞いてみた。
「副会長のバッキー・ハーネストさんね。平民の出だけど相当強いわよ。二つ名は『地獄の暴走ケルベロス』よ」
「副会長のバッキー・ハーネストです。お目にかかり光栄です。アレク様にはいつも娘のマリアがお世話になっております」
「はぁい? マリアって、もしかしてマリア・ハーネスト嬢のことですか?」
「マリア・ハーネストは私の娘にございます」
マリアの母親であるバッキ―さんがエレガントなカーテシーで答えた。
「こ、こちらこそ、マリア嬢にはお世話になっております」
顔を硬直させながら返事を返した。
――マジかよ? マリアの母親が狂乱鬼婦人会の副会長で、二つ名が地獄の暴走ケルベロス? 母娘で暴走かよ!
「しかたがないわね。アレク、お前のようなゴミクズに狂乱鬼婦人会のメンバーを二つ名と共に紹介してあげるわ」
「は、はい」
「先ずは、ユーリッペ・オオモーノ・ツリタカッター侯爵夫人『魔界の暴君』。マフィン・ケーキ・ホスピカス侯爵夫人『死神の宰相』。ツータン・カメーン・ライダー侯爵夫人『煉獄の手品師』。ルピー・ルピア・ゼニース伯爵夫人『修羅界の銭ゲバ』。ストーカート・カバード・フォクスト公爵夫人『暗黒街の暗殺者』。シャンリン・コーンディショナ・シャンブー侯爵夫人『異世界の悪魔的豊満肉体』。ベンガル・ベルガーさん『丘の上の黒い十字架』。モォーリ・ハナーウェさん『惨殺のデザイナー』。カッツラー・ユーミィさん『終末のインフルエンサー』。ここにはいないけど、ファンシ・ドーリム・メルヘン子爵夫人『空気を凍りつかせる者』」
「……………………」
――何なんだ? 二つ名のオンパレードは? 因みに、ツリタカッター侯爵夫人はサンペータ。ホスピカス侯爵夫人はルブラン。ライダー侯爵夫人はマリック。ゼニース伯爵夫人はドール。フォクスト公爵夫人はルナール。シャンブー侯爵夫人はフローラ。ベルガーさんはマルコス。メルヘン子爵夫人はミレーユの母君であり、ハナーウェさんとユーミィさんは王都でも超有名なカリスマ天才ドレスデザイナーだ。
「最後にワールグッチ・バットゥ・ジェーンスター伯爵夫人『毒舌の邪神』。ジェーンスター伯爵夫人は素晴らしい武力をお持ちになっているけれど、それ以上に口のみで相手を屠るという武器|《スキル》を持っているわ」
「口だけで屠るって?」
「じゃあ、ジェーンスター伯爵夫人。このゴミクズに軽くあいさつしてもらえるかしら?」
「はい。激烈ワンパン会長」
ジェーンスター伯爵夫人は会長である母上に恐れることなく毒舌を吐きながら返事をし、僕の目の前に立った。
「ごきげんは如何でしょうか? ポンコツヘタレ大王魔王殿下」
「えっ!?」
「えっ!?って、それだけですか? さすが顔だけポンコツヘタレ大王魔王殿下だけのことはあるわ。娘から聞いてたけど、どこまでおゲスなおマヌケな残念王子様なんでしょう。とりあえず死ねッ!!」
「娘さんって、まさか…」
この時点で僕は涙目になっていた。
「ああ、私の娘ですね。メアリー・アン・ジェーンスターですわ。この腐れボケカスクズ顔だけポンコツヘタレ大王魔王殿下。早く死ねッ!」
ついに僕の涙腺が崩壊した。
――!? や、やはり、メアリーの母親だったのか! どおりでキレッキレの毒舌なわけだ。
「何? 泣いてんの? こんなことだけで泣くの? 泣けば止めてくれると思ってるの? まるで赤ん坊と同じね。でも、お前にかける慈悲は無い。無慈悲に死ねッ!」
「うわわわわわわわわわーん!! 死ねって三回も言われたー! 無慈悲に死ねってなんだよぉー!」
この一言で、僕の涙腺はついに大決壊をおこしてしまった。俗にいうガチ泣きである。
「まあまあ、大の大人がガチ泣きなんて滑稽ね。まあジェーンスター伯爵夫人からすれば他愛もない出来損ないのザコモブキャラってところかしら。まあ、ジェーンスター伯爵夫人もその辺で止めていいわよ」
「ウィ ムッシュ。地獄のミセス暴君」
『ピキッ』
母上は満面の微笑みを絶さずに、こめかみに青筋を立てていた。
「ジェーンスター伯爵夫人。あなただけよ。私のことを二つ名で呼ぶのは」
「ふふふ。私と血みどろの残虐女王陛下との間柄ですから」
『ピキ ピキッ』
母上のこめかみに二本目の青筋が立っていた。
「まあ、あなたとは同級生で大親友だけど…… そろそろ普通に私|《わたくし》の名前を呼んでもらえるかしら?」
「さすがにバキバキの脳筋王女のお願いでも、これだけは私|《わたくし》の矜持だから無理。ごめんね。地上最狂のメスゴリラ」
『ピキ ピキ ピキッ』
母上のこめかみに三本目の青筋が立った。
「ふぅ~ 相変わらず鋭利な刃物みたいな毒舌ね。まあ、良いわ。ホントあなたは昔から変わらないのね。どうしてこんなのが親友なのか謎だわ」
「フフフ。これも腐れ縁ってやつかしら。ねぇ、異次元の雌豚ファ〇ク」
ジェーンスター伯爵夫人は涼し気な顔で中指を立てていた。
『ピキ ピキ ピキ ピキッ』
ついに母上のこめかみに四本目の青筋が立ってしまった。
「ふぅ~ それ私の二つ名じゃないわよ。ワールグッチ」
母上はジェーンスター伯爵夫人を見ながら、呆れ顔で本日二回目の大きなため息をついた。
――こ、怖すぎる……
『ドスッ』
おもいっきり気合いの入った腹パンを喰らった…… 僕はその場で崩れ落ちる。
「これくらいの事で城を落とせないとは、なんとも情けない愚息だこと。恥を知りなさい恥を!」
鬼の形相で睨みつける母上をセンターに、そして山車に乗っていたご婦人たちが横並びに並んでいた。
「まあまあ会長。ここは落ち着いて。情けない男共には、この戦場は任せておけないわ。ここは私達が男共に真の正義とは何かを知らしめてやりましょう」
ドールの母親ゼニース伯爵夫人まで狂気じみた事を言い始めた。
「そうね。真の正義とは何かを伝授するのには、ちょうど良い機会ね。では副会長。口上を頼むわよ」
ベルガーさんはマルコス。メルヘン子爵夫人はミレーユの母君だ。ハナーウェさんとユーミィさんは王都でも超有名な天才ど
「はい。会長」
どこからどう見ても貴族とは思えない見知らぬ婦人が会長でもある母上に返事をしていた。
「母上。良いところを邪魔するようで申し訳ありませんが、副会長さんにはこれまでお会いしたことがないのですが?」
恐る恐る母上に聞いてみた。
「副会長のバッキー・ハーネストさんね。平民の出だけど相当強いわよ。二つ名は『地獄の暴走ケルベロス』よ」
「副会長のバッキー・ハーネストです。お目にかかり光栄です。アレク様にはいつも娘のマリアがお世話になっております」
「はぁい? マリアって、もしかしてマリア・ハーネスト嬢のことですか?」
「マリア・ハーネストは私の娘にございます」
マリアの母親であるバッキ―さんがエレガントなカーテシーで答えた。
「こ、こちらこそ、マリア嬢にはお世話になっております」
顔を硬直させながら返事を返した。
――マジかよ? マリアの母親が狂乱鬼婦人会の副会長で、二つ名が地獄の暴走ケルベロス? 母娘で暴走かよ!
「しかたがないわね。アレク、お前のようなゴミクズに狂乱鬼婦人会のメンバーを二つ名と共に紹介してあげるわ」
「は、はい」
「先ずは、ユーリッペ・オオモーノ・ツリタカッター侯爵夫人『魔界の暴君』。マフィン・ケーキ・ホスピカス侯爵夫人『死神の宰相』。ツータン・カメーン・ライダー侯爵夫人『煉獄の手品師』。ルピー・ルピア・ゼニース伯爵夫人『修羅界の銭ゲバ』。ストーカート・カバード・フォクスト公爵夫人『暗黒街の暗殺者』。シャンリン・コーンディショナ・シャンブー侯爵夫人『異世界の悪魔的豊満肉体』。ベンガル・ベルガーさん『丘の上の黒い十字架』。モォーリ・ハナーウェさん『惨殺のデザイナー』。カッツラー・ユーミィさん『終末のインフルエンサー』。ここにはいないけど、ファンシ・ドーリム・メルヘン子爵夫人『空気を凍りつかせる者』」
「……………………」
――何なんだ? 二つ名のオンパレードは? 因みに、ツリタカッター侯爵夫人はサンペータ。ホスピカス侯爵夫人はルブラン。ライダー侯爵夫人はマリック。ゼニース伯爵夫人はドール。フォクスト公爵夫人はルナール。シャンブー侯爵夫人はフローラ。ベルガーさんはマルコス。メルヘン子爵夫人はミレーユの母君であり、ハナーウェさんとユーミィさんは王都でも超有名なカリスマ天才ドレスデザイナーだ。
「最後にワールグッチ・バットゥ・ジェーンスター伯爵夫人『毒舌の邪神』。ジェーンスター伯爵夫人は素晴らしい武力をお持ちになっているけれど、それ以上に口のみで相手を屠るという武器|《スキル》を持っているわ」
「口だけで屠るって?」
「じゃあ、ジェーンスター伯爵夫人。このゴミクズに軽くあいさつしてもらえるかしら?」
「はい。激烈ワンパン会長」
ジェーンスター伯爵夫人は会長である母上に恐れることなく毒舌を吐きながら返事をし、僕の目の前に立った。
「ごきげんは如何でしょうか? ポンコツヘタレ大王魔王殿下」
「えっ!?」
「えっ!?って、それだけですか? さすが顔だけポンコツヘタレ大王魔王殿下だけのことはあるわ。娘から聞いてたけど、どこまでおゲスなおマヌケな残念王子様なんでしょう。とりあえず死ねッ!!」
「娘さんって、まさか…」
この時点で僕は涙目になっていた。
「ああ、私の娘ですね。メアリー・アン・ジェーンスターですわ。この腐れボケカスクズ顔だけポンコツヘタレ大王魔王殿下。早く死ねッ!」
ついに僕の涙腺が崩壊した。
――!? や、やはり、メアリーの母親だったのか! どおりでキレッキレの毒舌なわけだ。
「何? 泣いてんの? こんなことだけで泣くの? 泣けば止めてくれると思ってるの? まるで赤ん坊と同じね。でも、お前にかける慈悲は無い。無慈悲に死ねッ!」
「うわわわわわわわわわーん!! 死ねって三回も言われたー! 無慈悲に死ねってなんだよぉー!」
この一言で、僕の涙腺はついに大決壊をおこしてしまった。俗にいうガチ泣きである。
「まあまあ、大の大人がガチ泣きなんて滑稽ね。まあジェーンスター伯爵夫人からすれば他愛もない出来損ないのザコモブキャラってところかしら。まあ、ジェーンスター伯爵夫人もその辺で止めていいわよ」
「ウィ ムッシュ。地獄のミセス暴君」
『ピキッ』
母上は満面の微笑みを絶さずに、こめかみに青筋を立てていた。
「ジェーンスター伯爵夫人。あなただけよ。私のことを二つ名で呼ぶのは」
「ふふふ。私と血みどろの残虐女王陛下との間柄ですから」
『ピキ ピキッ』
母上のこめかみに二本目の青筋が立っていた。
「まあ、あなたとは同級生で大親友だけど…… そろそろ普通に私|《わたくし》の名前を呼んでもらえるかしら?」
「さすがにバキバキの脳筋王女のお願いでも、これだけは私|《わたくし》の矜持だから無理。ごめんね。地上最狂のメスゴリラ」
『ピキ ピキ ピキッ』
母上のこめかみに三本目の青筋が立った。
「ふぅ~ 相変わらず鋭利な刃物みたいな毒舌ね。まあ、良いわ。ホントあなたは昔から変わらないのね。どうしてこんなのが親友なのか謎だわ」
「フフフ。これも腐れ縁ってやつかしら。ねぇ、異次元の雌豚ファ〇ク」
ジェーンスター伯爵夫人は涼し気な顔で中指を立てていた。
『ピキ ピキ ピキ ピキッ』
ついに母上のこめかみに四本目の青筋が立ってしまった。
「ふぅ~ それ私の二つ名じゃないわよ。ワールグッチ」
母上はジェーンスター伯爵夫人を見ながら、呆れ顔で本日二回目の大きなため息をついた。
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