ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

文字の大きさ
129 / 148

第129話 クリス・アン・チャンスキー男爵令嬢

しおりを挟む
プシューデントの悲劇と後世に受け繋がれて行く出来事から一夜明け、

――翌日

学園の寮からの王宮へ引っ越しとなったクリスを迎えに行く者として、母上自ら名乗りを上げ、意気揚々と学園へと出掛けて行った。

母上曰く、

「クリスちゃんの魔性の魔眼の魅力に気が付かないなんてチャンスキー男爵夫妻の力量にも底が知れてるわ。それだから没落していく運命なのね」

チャンスキー男爵家は、母上の一言で没落が決定したようなものだ。ちなみにクリスが王宮へ住む条件として、眼帯と包帯を外す事が条件の一つとなっている。母上がクリスを全面的にサポートしているのは、チャンスキー男爵夫妻からのネグレクトも一因でもあるが、一番の要因はクリスの可愛らしさとオッドアイの魅力が母上の心にドンピシャに突き刺さってしまった。とのことだった。





母上とクリスが王宮に帰ってきた。父上から執務室に来るよう命じられ、執務室に入ると、そこには……

青ざめている父上とニコニコと上機嫌な母上。下を向き、こわばった顔で母上の膝の上に抱っこされているクリスの姿があった。

「アレク来たわね。ちょっと話があるの」

父上とクリスの表情とは真逆の屈託のない笑顔を振り撒く母上《毒母》。

「ぼ、僕に話とは……」

僕はこのカオスな状況を理解出来ないまま返答をすると、

「今日からクリスちゃんはウチの子になるから」

「――!? い、今…… クリスがウチの子になるとか聞こえましたが?」

母上の突然すぎる爆弾発言に動揺していると

「アレク、あなたとクリスちゃんは義兄妹になるの。これで私にも可愛い娘が出来るわ。本当にチャンスキー男爵夫妻には感謝しなきゃいけないわね。あとでたっぷりとお礼制裁しなきゃいけないわね」


母上のあとでたっぷりとお礼制裁しなきゃの言葉に背筋が凍りそうになりながらも父上に聞いてみた。

「父上はクリスが養女になることは賛成なのですか?」

「……………………」

父上は僕と母上からの目線を反らし下を向いた。

「――!?」

父上の態度を見た瞬間、膝が独りでに震えだした。恐る恐る母上を見ると顔は笑っているが、目がヤベェ事になっていた。

「あら、アレクはクリスちゃんが義妹になるのは反対なのかしら?」

「い、いえ。そのような事は断じてありません。むしろクリスが義妹になってくれることに感謝致します!」

この世には、どんなことがあっても逆らってはいけない部類ヤベェの人間が要ることを、僕は骨の髄まで知ることが出来た。母上に感謝を!

「分かってくれて良かったわ。もし反対でもされていたら、どう解決制裁しようかと考えていたところよ。五体満足で良かったわねアレク。クリスちゃんもアレクがお兄様になってくれるって、ホントに良かったわね」

「はい…… お義母様」

クリスは緊張なのか恐怖から来るものか分からないが、震える声で返事をしていた。

「それにしてもクリス・アン・チャンスキーねぇ~、名前にセンスを感じさせないわ。ここは思い切って、名前を変えてもいいわね。クリスちゃんも折角、ここのお家の子になるんだから新しいお名前が良いわよね? ねぇクリスちゃん?」

「はい…… お義母様」

母上は日本でいう所の名字にあたるチャンスキーの家名を変えるだけじゃなく、名すら変えようとしている。恐るべし、毒母オカンパワー!

「お前、何もそこまでしなくても…… なぁ、アレク?」

この国の最高権力者でもある。国王の父上が一応は母上を諫めるが、その同意を僕に求めるのはやめて!

「ハァ? アレク、私に文句でもあるの? あったらるわよ?」

「無いです! あるはずがありません! 母上の提案に僕は大賛成です!」

父上が僕に何か言いたげな目で睨んでいたが、僕だって命は惜しい。ここは父上をガン無視する方向で、母上のビックウェーブに乗ろう。

「じゃあ、クリスちゃんの新しい名前は…… クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターが良いと思うの」

「は、母上! その名前だけは許して下さい! その名前はヤバ過ぎます! 僕だったら恥ずかしくて表に出れません!」 

母上の下ネタ級の名前に断固反対する。父上とクリスも見てはいけない物でも見るかのように遠い目で母上を見ていた。マジで僕の目が黒いうちは下ネタは許さねぇ! 実際には僕の目は碧眼だけど……

「えぇ~ 別に良いじゃない」


――毒母オカンだ! マジで毒母オカンだ! 子供の将来のことも何一つ考えず、自分の欲望だけでDQNネームを付ける毒親と同じじゃねぇーか!


「母上! ク、クリスの要望も聞くべきかと意見具申させていただきます」

僕は毒母オカンの暴走を止めるべく迅速に動く。

「そうね~。でもクリスちゃんもクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターで良いわよね? クリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターって、可愛い名前だと思うけど? それにクリスちゃんにピッタリなんだけどなぁ~」


――は、母上。それはクリスをロリビッチだと言ってるようなもんですよ。しかも、クリスの前で何度もクリト・リスキーロォリィーヴィツィ・フラスターと下ネタを言うのは止めて下さい。


「お義母様、新しい名前には不満は無いのですが…… もう少し可愛さを入れても良いかと思います。私はクリスチャン・ピョン・フラスターが良いです……」

「そぉかなぁ~」

「ええ、そうです! それが良いです!」 

「仕方ないわね。クリスちゃんの希望を聞くことも優秀な良妻賢母の務めよね」


「「「…………………………」」」


その場に居た一同は言葉を失った。


――さすがクリス! 毒母オカンを説得するとは。やはり飛び級で学園に入学した才媛さいえんだけのことはある。あるのだが…… さすがにクリスチャンとピョンはねぇーだろ! クリスチャンとピョンは! クリスの名前を呼ぶ時、クリスチャンちゃんになるだろうが! チャンちゃんとか新しいパンダの来日かと勘違いするヤツが出てくる可能性大じゃないか!


「クリス…… クリスティーヌとかなら良いと思うけど、さすがにチャンとピョンはアウトだろ」

僕はクリスの為だと思い口を挟んだ。

「アレク。あんた、さっきから何かにつけて、私達に反対ばかりにしてるじゃない。そんなに死に急ぎたいの? ねぇ、三回くらい死んじゃう? クリスちゃんがいるから別にお前をしちゃっても良いのよ?」

「母上! 僕はそんなつもりで言ったのではありません! クリスの将来の事を考えて、もう少し慎重に決めた方が良いと言ったまでです!」

「それもそうねぇ~。 じゃあ、クリスちゃんの名前は後日、家族会議で決めるということで良いかしら?」

「はい。それで結構です」

僕は安堵の表情を浮かべ、快く答えた。





――後日談

後日、クリスの改名について家族会議が開かれたが、その場に僕が呼ばれることは無かった…… なんでだろ?(ガチ泣き)


おわかりいただけただろうか。これが王宮において僕の立ち位置が底辺中の底辺であることを……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

【完結】勇者に折られた魔王のツノは、幼児の庇護者になりました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
旧タイトル:膨大な魔力と知識ありのチートだけど、転生先がツノはないよね? 異世界転生、胸躍らせる夢の展開のはず。しかし目の前で繰り広げられる勇者vs魔王の激戦に、僕は飽きていた。だって王の頭上で、魔力を供給するだけのツノが僕だ。魔王が強いからツノがあるのではなく、ツノである僕がいるから彼が最強だった。 ずっと動けない。声は誰にも聞こえない。膨大な魔力も知識チートも披露できぬまま、魔王の頭上で朽ちるのか。諦めかけていた。 勇者の聖剣が僕を折るまでは……!  動けなかったツノは、折れたことで新たな仲間と出会う。チート無双はできないが、ツノなりに幸せを掴めるのか!? いつか自力で動ける日を夢見て、僕は彼と手を組んだ。 ※基本ほのぼの、時々残酷表現あり(予告なし) 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2021/11/17 完結

転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~

志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。 自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。 しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。 身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。 しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた! 第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。 側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。 厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。 後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

処理中です...