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第82話 第三王子は確かめに行く!

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あぶない投網に拘束され、周りの心優しい方々から哀れみの目で見つめられる『シュウ』です。 そんなに見つめられたら勘違いしちゃうじゃない! 


まさか、最後のオチが自分とは予想もつかなかった…… 
それと、レイニーに関わると僕に不幸の女神が囁くことも身をもって知った。邪悪の根源レイニー恐るべし! 当のレイニーといえば、被害者である僕に謝罪もなく、何事も無かったような振る舞い、二号生のみんなと反省会という名のお茶会で、お気に入りのケーキを片手にお茶を楽しんでいる…… ヤツは必ずや地獄の豆腐5丁目へ送ってやる! 豆腐5丁目は最後の最後までよくわからなかった……

僕は君の主人で、第三王子の王太子なんだけど…… いくらドMだったとしてもこれは、ひどいと思う。いつかお前レイニーの悪行を母上に言い付けてやる! 父上は役に立ちそうもないのでスルーの一択!


マリーと愉快な仲間たちのサイドチェスト祭も終わり、今後の計画のこともありエリスに相談してみた。


「エリス、マリーの新作はどうなったの?」

「マリーの新作の話ね。若い娘を中心に凄い売れ行きなの、重版も決定したわ」

「魔法のことも書いてあったんだよね? それで、みんなの反応はどうだったの?」

「主人公がラスボス戦の最後の最後でヒロインを助ける為に仲間にも秘密にしていた不思議な力まほうを使って、ヒロインのピンチを救って、ラスボスを倒すのよ! 感動するわよ。 それで、エピローグでは、ラスボスは倒したけど、まだ、絶望している人たちに向かって主人公とヒロイン希望の聖火まほうを掲げて、人々に希望と勇気を与えるの、主人公とヒロインは結ばれ、人々から祝福されて大団円でおしまいよ! すごいでしょ?」


――!? まさか、主人公は僕なのか? それともヒロイン


「あの~ 読者の反応は?」

「ごめんなさい。私ったら、つい嬉しくって興奮しちゃったわ。みんなの反応は、魔法を主人公だけが持っている不思議な力という設定にしてあるから以外にも読者から受け入れてもらっているみたいよ」

「敵って魔物さんたち?」

「違うわよ。そんなことしたら恐怖の対象になっちゃうから悪い人間にしたわよ。魔物さんたちは主人公パーティーを助けたりして協力する感じで書かれているわ」

「そうなの?」

「出来るだけ魔法も魔物さんたちも悪い印象を与えないようにしたの。私も挿絵を書いたけど、魔物さんたちは可愛い感じにしてみたわ」

「そんなに新作の売れてるの?」

「ものすごい売れ行きで、作者は誰だ? 作者を探せ!ってなっているみたいでマリーも喜んでるわよ」

「マリーだって、わかったら大変なことになるんじゃないのか?」

「その辺は公爵家の力が動いているみたいよ。エスケープゴーストを何人も準備して特定されないようにしているみたい。貴族って凄いわね」


――あの~、エリスさん。目の前にいるのが、その貴族の頂点に立つ王族の一人なんですよ…… 僕の肩書き忘れていませんか? 


「じゃあ、概ね読者から受け入れてもらっているでいいんだね?」

「ええ、その認識で良いと思うわ」

「エリス、ありがとう」

「シュウ君、今から本屋さんに行ってみない? 話だけじゃなく、自分の目で確かめることも大事よ」

「そうか…… じゃ、エリス、本屋さんに行ってみようか?」

「それじゃ、行きましょうか!」


エリスと二人きりの本屋さんデートになった。 だか、安心してはいけない! 必ずヤツがついてくるはず僕は周りを注意しながらエリスと本屋さんに向かった。





本屋さんに着いたが若い女性を中心に行列が出来ていた……

店員さんが、

「本日、入荷しました。マッチョムラ マチョコ先生の新作、『異世界転生モブ第三王子はホソマッチョの、マッチョチョによる、ゴリマッチョのための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~シュウの愛は異世界を越えて~』は特設コーナーにございます。他のお客様にご迷惑がかかりますので一列にお並びいただきましてお待ち下さい!」

列の最後尾には『最後尾はこちら』と書かれた看板を持った店員さんが、

「最後尾はこちらになります! 横入り等がございませんようお願いします!」


――店員さんも大変だなぁ……  しかし、マリーのペンネームが『マッチョムラ マチョコ』って、かなり攻めてる感じがする。


ものすごく混雑している店内で、僕はエリスとはぐれてしまった。ここ一番でエリスの手を握りしめ離れないようにするべきだったと後悔した……


冒頭の店員さんが、

「みなさまお喜び下さい! ただいま、作者の『マッチョムラ マチョコ先生』がサプライズで当店にお見えになりました! 『異世界転生モブ第三王子はホソマッチョの、マッチョチョによる、ゴリマッチョのための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~シュウの愛は異世界を越えて~』お買い上げいただいたお客様とのサイン会開催の申し出がございました!」

「きゃーっ! ホントにマチョコ先生が!」
「マチョコ先生って、公の場って始めてじゃない?」
「私、観賞用と保存用と読書用に3冊買うわ!」

新作を求めるお客さんからどよめきが起こる!


――マリー、本当に来るのか? 正体がばれたら大変な事がおこるぞ! 


店員さんたちがテーブルと椅子などを準備を始めてた。テーブルには一輪の花を差した花瓶とペンが置かれ、マリーの登場を待った。

「ただいま、マッチョムラムラ マチョコ先生の準備が終わりましたので、これよりサイン会を開催させていただきます! マッチョムラ マチョコ先生! どうぞ!」


本当にマリーは来るのか?……

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