深説 桶狭間の戦い

日野照歩

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本編

後日譚

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 ― 後日譚 ―

 時は流れ、1582年。桶狭間の戦いから22年後。

 すでに、政綱、そして広正までもこの世を去っていた。
 残された簗田弥次右衛門は、1人、十所神社で佇んでいた。当時の戦や、若き日の政綱、広正の姿を思い出していた。

 あれから、信長は破竹の勢で、一気に天下を収めるかと思われた。しかし、今年に入り、京都本能寺で、明智光秀の謀反により信長が討たれたのである。戦国の世は、また混沌として来ていた。尾張もこの先、どうなるか分からない。その前に、弥次右衛門はずっと気がかりだったことをやっておきたかった。

 23年前、政綱の名で、社を改築した時は、とにかく急いでいた。突貫工事だったため、今ではぼろも出始めている。もう一度、きちんと改築し、鳥居も作っておきたかったのである。

 弥次右衛門は、すっかり曲がった腰で、ゆっくりと大工の棟梁の家へ向かって歩き出した。



 そして、現代。

 愛知県北名古屋市に今も残る、十所神社の棟札には

「永禄二年(1559年)簗田出羽守(政綱)社殿を造営、
 天正十年(1582年)簗田弥冶右衛門社殿を寄進」

 と刻まれている。
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