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死の上へ。ー踊るワルツに劇場の者達は咲う。ー
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何者かは、着いた途端に胸を抑える。
そうしていると、咳をし始めた。
その合間に喋る何者か。
あ。ここ、ですか?
『おやおや、お嬢さん。』
『怖気付いちまったのか?』
『それはそれで「うまい」から、助かるぜ。』
『ご苦労さん。』
彼らにしか、聞こえない音が幽かに鳴る。
それを合図にしたかのように、連れてきた人物の一人。
その一人が、流暢に語り始める。
『可哀想な『人の仔』さんよぉ、それで……「どうするって」?』
『まあそれはそれとしてそこの家で疲れを癒していきな、さて。』
『秘密の話をしようか、名家はひた隠しにしているがな。』
『あそこの家を所有しているのさ。』
破顔一笑するような笑い声がするが、話を一区切りして。
そこから一転し、身体を屈め何者かの視線に合わせる。
いたずらっぽく、こそこそと耳元で囁いてくる。
それと重なるように、青い花が一輪花開きました。
何者かは知っている。
あそこの名家は悪魔を崇拝している、との「噂」を。
『自らがしでかしたことの、重大さを自らに問え』
『そこまで責めてやるな、之より重い罰が下るだろう』
『それならば、少しは溜飲が下がる』
『ああ』
もうその『悪魔』はこの家に居ないだろうが、何らかの理由があったと。
『結果』が通達されて、今ここにいる訳だ。
かつては人だったというのだけど、宮廷魔導師という。
美味しい役職を捨ててまで、得たいものがあったんだろうね。
きっとその末路は悲惨なものに違いない!
『さあ、お嬢さん。』
『この手を取ってくれや。』
その代わり、言った通りに。
疲れを癒す処まで、案内すっからよ。
咳はなかなか収まらず、吐血に至るのだが。
血にまみれた手を、拭いもせず。
否。
拭えもせず、縋るように。
その手を、取った『何者か』なのだった。
すると『何者か』の上から、何かを囁くような声が。
僅かに聞こえたが、その声量が。
あまりにも、小さく聞き取れなかった。
何と言いました?
『ん?何のことだ??』
本当に不思議そうに、当の本人はそう言った訳なのだが。
なにもしらなくて、よかったのにな。
今度は、“横”から聞こえた。
誰の仕業かは判らないが、何者かは。
はっきりと、その声音を捉えた。
さて、お嬢さん。
我らの掌で、踊り狂う準備はいいかい?
『まさかこんなことになるなんて、思いもしなかったかい?』
『でもね、それは君のせいであり「君たち」のせいなんだよ。』
『ふむぅ、そうだね……。』
『それじゃこうしようか、君にヒントをあげよう。』
そうしていると、咳をし始めた。
その合間に喋る何者か。
あ。ここ、ですか?
『おやおや、お嬢さん。』
『怖気付いちまったのか?』
『それはそれで「うまい」から、助かるぜ。』
『ご苦労さん。』
彼らにしか、聞こえない音が幽かに鳴る。
それを合図にしたかのように、連れてきた人物の一人。
その一人が、流暢に語り始める。
『可哀想な『人の仔』さんよぉ、それで……「どうするって」?』
『まあそれはそれとしてそこの家で疲れを癒していきな、さて。』
『秘密の話をしようか、名家はひた隠しにしているがな。』
『あそこの家を所有しているのさ。』
破顔一笑するような笑い声がするが、話を一区切りして。
そこから一転し、身体を屈め何者かの視線に合わせる。
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『そこまで責めてやるな、之より重い罰が下るだろう』
『それならば、少しは溜飲が下がる』
『ああ』
もうその『悪魔』はこの家に居ないだろうが、何らかの理由があったと。
『結果』が通達されて、今ここにいる訳だ。
かつては人だったというのだけど、宮廷魔導師という。
美味しい役職を捨ててまで、得たいものがあったんだろうね。
きっとその末路は悲惨なものに違いない!
『さあ、お嬢さん。』
『この手を取ってくれや。』
その代わり、言った通りに。
疲れを癒す処まで、案内すっからよ。
咳はなかなか収まらず、吐血に至るのだが。
血にまみれた手を、拭いもせず。
否。
拭えもせず、縋るように。
その手を、取った『何者か』なのだった。
すると『何者か』の上から、何かを囁くような声が。
僅かに聞こえたが、その声量が。
あまりにも、小さく聞き取れなかった。
何と言いました?
『ん?何のことだ??』
本当に不思議そうに、当の本人はそう言った訳なのだが。
なにもしらなくて、よかったのにな。
今度は、“横”から聞こえた。
誰の仕業かは判らないが、何者かは。
はっきりと、その声音を捉えた。
さて、お嬢さん。
我らの掌で、踊り狂う準備はいいかい?
『まさかこんなことになるなんて、思いもしなかったかい?』
『でもね、それは君のせいであり「君たち」のせいなんだよ。』
『ふむぅ、そうだね……。』
『それじゃこうしようか、君にヒントをあげよう。』
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