『お零れ話』

影狼

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番外編

とある女性の縁盲禄ー夢と哀訴の末に堕ちるは何処か。ー

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さあ、『皆様方』見てらっしゃい寄ってらっしゃいー。
さあさ、仔らは布団にくるまってよくよくお聞き。
これから始まるはとある【演劇】の合間に役者さんが見るすぐに忘れてしまうような儚く脆い『夢』の一欠片だよー。
………準備はいいね?
うん、いい子達だ。

広い地下室にいた、そこは仕切りもない。ただ、女性がなにかから逃げていた。

…………そういえば、わたし。いつからここにいるんだっけ?
分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、わからない、分からない、わからない、わからない、分からない、わからない、ワカラナイ分からない、わからない、ワカラナイ、わからない、分からない、ワカラナイ………

とにかく逃げないと。
逃げなきゃ逃げないと。逃げられない。逃げなきゃいけない。逃げるしかない。逃げなきゃ。とにかく出口に……
出口って…………………ドコニ?
あれ?分からない、わからない、ワカラナイ、わからない、分からない、ワカラナイ、ワカラナイ、わからない、分からない、ドコ?
逃げなきゃいけないことは[わかっているだろう?


[進むしかない]

[逃げられない]

(矛盾してる?)

[お前はこの先を]

[逃げるしかない]

[知っていただろう?]

[わかっていたろ?]

[お前は、この先を]

[逃げることなど許されはしない]

[知っているのだから]

(誰に?)

[わかっているだろう?]

(わからない)

[逃げられない]

(ドコ?)

[進むしかない]

(逃げなきゃいけない)

[そんなのは誰も気に留めんぞ?]

[お前が存在する処は何処なのだろうな?]


いや、いやだ……いやっっっ!!!いやいやいやいやいや!!!
死にたくない!!!!いやだいやいやいやいやいやいやだいやだやめてください!
やめて。いやいやいやいやいやいやだいやだ……

ずるっ、びちゃ。ずる、ペタ、べちゃ。ジリジリ。


いやですいやいやだ私はこんなことなど望んでおりません……お慈悲を……どうかおじひっ……?!

[いい]

ずる、ペタ、べちゃ。ジジジ………ジジ……ジリッ。
え?

[お前の]

……?

……それだけは、それだけは。
[貰おう]


[力を借り受ける形になるが]

[灯]

……ジジジ……ジリッ………ジ…………。

灯が揺らめく。

そして女性は端にたどり着くことなく、誰の下につくことも無く、啼く。






















夜が訪れる時。夜が訪れる時。明けない夜は訪れた。ほうら。無様にそこで啼いてろ。
アンタをみていてくださるから、ただ。
命を下さい、ってか?
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