偶然のフェレテリア。－ゲヘナー

せめてもの救い。－暇もなく与えられなかったですねー

魔物はとある人物に声をかけていた。

『暗茨の王』、これでいいな？

気配のみが感じられるため、喋れない状況に自らを追い込んだことがうかがい知れる。

私の同胞がこれをしてくれたようでな、貴公もこれまでの経緯を聞く限り辛酸をなめてきたようだ。

凄絶な笑みを浮かべ、もはや毒のある笑みや冷笑としか形容ができない表情をしているであろうことが。

後ろ姿から推測できる、しかしながら実のところどうなのかそれは誰にも分からない。

――それこそ、魔物か神々にしか。

あるいは、仕組んだ友人か。

ははッ、ありきたりな演出だと詰まらんのでな、赦せよ。我が友人の系譜を持つ娘よ。

うーむ、このままではわしが上に特大の雷を落とされそうだの、しからば！！

そういうのよそでやって下さ―い、御方にフェレテリアの監督を任されたのはあなたではないくせに。

しかし！

くどいぞ、下賎の睨視。

むう、おぬしに言われとうないわ！

名指しで告げてくれるとは案外はっちゃけてきたのではないか、下賎にふさわしいぞ？

なにを！

その通りだ、木偶の坊を放逐し神々の。

怒りを買った挙句、忌み嫌う吸血鬼の手によりいたぶられこのようなところに幽閉されたお前に。