13 / 100
黒の章
13.別の男
しおりを挟む
組合長室を出たあの後、遺跡調査の準備とトウコの部屋の片づけや扉の修理に3人は追われ、出発する前日の昼に全てが終わった。
その日の夜、トウコは1人で自宅のリビングのソファに寝転び本を読んでいた。
マリーは「最近いい感じの人とデートなの。」と夕方から出かけていき、リョウもどこかへ行っていた。
そこへマリーが帰ってくる。
「ただいま。」
「おかえり。早いね。もっと遅くなるかと思った。」
「本当はお泊りしたいとこだけど、明日から遺跡でしょう。泣く泣く帰ってきたわ。…リョウは?トウコ1人なの?」
「マリーが出掛けた後にリョウも出て行ったよ。大方どこかで飲んでるんじゃないか。」
「そう・・・。ねえ、コーヒー淹れるけどトウコも飲む?」
「うん。飲む。ありがとう。」
マリーの雰囲気から、自分に何か話したいことでもあるのだろうと当たりをつけたトウコは、特にコーヒーが欲しかったわけではないが読んでいた本を置いて体を起こした。
マリーが淹れたコーヒーをしばらく2人で静かに飲んでいたが、おもろにマリーがカップを置いて口を開いた。
「・・ねえ、トウコ。ちょっとアナタに聞きたいことがあるんだけど。」
「どうしたのさ、改まっちゃって。」
トウコが少し苦笑しながら言うと、マリーは少し躊躇った後にトウコの目を真っ直ぐに見つめて聞いた。
「アナタ、リョウ以外に男がいるの?」
マリーが何を言っているのか一瞬分からなかったトウコだったが、今度こそ本当に苦笑すると、
「そんなのいるわけがないだろう?色無しで忌み子、おまけにリョウの手垢の付いた女に手を出す男がこの街にいるもんか。」
と呆れたように言った。
「んもう!自分をそんな風に言うもんじゃないわよ!…うん、でも私も別の男がいるなんて思ってたわけじゃないんだけどね…」
「何さ。そう思う何かがあったんだろう?」
「…本当は口止めされたんだけど。」
「誰に?」
「…リョウに。」
「リョウ?」
再度躊躇いを見せたマリーだったが、大きく息を吐くと口を開いた。
「この間、リョウが突然キレたでしょう?あの理由をリョウに問い質したのよ。どうせトウコはこのまま無かったことにするだろうと思って。」
「…ああ。うん。無かったことというかもう忘れかけてた。」
「んもう!そうしたらアイツしぶしぶ教えてくれたのよ。あの日、寝てるトウコが呟いたんだって。リョウ以外の別の男の名前を!」
マリーの言葉に少し目を瞠ったトウコだったが、そのまま右手を顎に当てて何かを考えこむ様子を見せた。
それにマリーは気づかず、
「名前なんだったかしら…カ…カイ…んー確か3文字だったと思うんだけど…」
と続けていたが、トウコの様子に気付き叫んだ。
「ちょっと!何なのトウコ!アナタ本当に心当たりがあるの!?いやだ、やめてちょうだい!リョウと別れるなら私の預かり知らいないところでやってよね!もういっそのこと死の森にでも行ってそこで別れ話を切り出すのがこの街の平和のためよ!」
青い顔で叫ぶマリーを見たトウコが手を振りながら答える。
「ああ、違う違う。すまない。そうじゃなくて、あの日は起きた瞬間からアレだったからすっかり忘れていたけど、そういえばあの日は起きる直前まで夢を見ていたなと思い出していたんだ。」
「…夢?この間は確か殺される夢を見たんだったかしら?」
「うん。今度の夢はそういった類のものではなくて…どちらかというと明るい感じの夢で・・知らない男がいたような気がしてね。」
「夢の中に別の男が出てきて、その名前をトウコが呟いたって…別の男がいるよりマシだけど、どっちにしろリョウが喜ぶ結果じゃないことは確かね。」
トウコの言葉にマリーは顔を顰めながら言うと、「確かにね。」とトウコも苦笑しながら同意する。
「すまないね、心配かけて。リョウには私から話しておくよ。」
「本当よ!まったく。…怒らせないように話しなさいよ?この間のようなことは2度とごめんなんだから!」
「難題だな。善処するさ。」
苦笑しながらトウコは立ち上がり、「じゃ、今日はもう寝るよ。おやすみ。」と言って、自室へと戻っていた。
―その日の深夜。
1人寝ていたトウコは人の気配に目を覚ました。体を少し起こしてドアの方を見ると、タオルで髪を拭きながらトウコの部屋に入ってきたリョウと目が合う。
リョウはシャワーを浴びたばかりのようで下は履いているが上半身は裸だ。リョウは無言でタオルを床に放り投げると、トウコに覆いかぶさって深く口付け、トウコはリョウの褐色の背中に腕を回した。
少なくない時間が経過した後、リョウが深く息を吐いてトウコの首筋に顔をうずめる。そのまましばらくじっとしていたリョウだったが、気だるげに体を起こし、未だ荒い息を吐いてうつ伏せているトウコの隣に座った。
リョウが無言で紫煙をくゆらせながら、ミミズ腫れのように醜く引き攣っている、幼いころ魔物の爪にやられたトウコの背中の傷を指で撫でると、トウコはくすぐったそうに少し笑って体をよじった。
うつ伏せたまま枕を抱き抱えるようにして、顔だけリョウに向けたトウコが言う。
「嫁に行けない体だ。」
リョウが鼻で笑いながら、
「貰ってやるつってんだろ。行く気もない癖に。俺はいつでも大歓迎だぞ。」
と言うと、
「行く気がないって分かってるじゃないか。」
とトウコは可笑しそうに応じながら、リョウが吸っていた煙草を奪い取って一口吸うと、またリョウの口に煙草を戻した。
「この間どこかの阿呆が私を襲った朝、また夢を見ていたんだ。」
「どこの阿呆だそいつは。」
「リョウってやつでね。」
「俺かよ。」
「お前だよ。」
「…悪かったな。あんときゃどうかしてた。」
「それはもういいさ。気にしてもいないし、まだリョウには負けないって分かったからね。」
「じゃあ、何で蒸し返すようなことを…マリーか。」
トウコの言葉に少し顔を顰めながら呟いたリョウだったが、途中で思い当たったらしく今度は盛大に顔を顰めて舌打ちする。
「マリーは心配してくれてるんだ。怒るんじゃないよ。」
トウコが左手を伸ばしてリョウの左手を握りながら言うと、リョウは無言でトウコの手を握り返した。
「で?夢がなんだって?その夢に出てきた男の名前を呟いたってとこか?」
リョウの言葉にトウコは少し驚きながら「察しがいいじゃないか。」と返す。
そのまま、「確か私が全裸で抱き付いたら冷静になるんだったか?」とおどけながら言うと、「そんときゃよろしく頼む。」と面白くなさそうな顔で応じたリョウが、トウコの方に体を向け、頭に左腕をついて寝転がった。
トウコもリョウの方に体を向けて2人向き合うような形になると、リョウの筋肉の付いた腕を指で撫でながら夢について語った。
―夢だし、阿呆に叩き起こされたからね。朧げにしか覚えていないんだけど。はは。そんな顔するなよ。阿呆と言われても仕方がないだろう?え?わかったよ。もう言わないから髪を引っ張るんじゃないよ。
で、夢の中で私はどこの誰とも分からない男と、満点の星空の下を歩いているんだ。そこは紫の小さな花が咲き乱れている草原のような場所で、星が出ているから夜のはずなのに、あたりはぼんやりと明るくてね。この世の物とは思えないほど綺麗な場所だったよ。
どんな男だったかって?
それがまた覚えていないのさ。ごまかしてなんかいないよ。仕方ないだろう?
だけど、恐らくそいつは剣士だと思うよ。腰に長剣を差していたからね。妙に立派な剣だった気がするな…。
え?ああ、ごめん。ちょっと思い出してたんだ。そいつは剣だけじゃなくて、立派な鎧も身に着けてたような気がする。うん、そうだな。鎧なんていつの時代なんだろうな。まあ所詮夢なんだ、気にするだけ損ってもんさ。
は?いつかその場所を探しに行こうって?ははは。なんだい、意外とロマンチストなところがあるんだね。驚いたよ。ああ、もうだから髪を引っ張るなって。悪かったよ。
…そろそろ寝ないと、明日寝坊したらマリーから死ぬほど小言を言われる羽目になるよ。おやすみ、リョウ。
「おやすみ」と囁いたリョウに抱きしめられたトウコは
「…あんな場所がこの世界のどこかにあるなら、いつか行ってみたい気もするな」
そう呟いて目を閉じた。
その日の夜、トウコは1人で自宅のリビングのソファに寝転び本を読んでいた。
マリーは「最近いい感じの人とデートなの。」と夕方から出かけていき、リョウもどこかへ行っていた。
そこへマリーが帰ってくる。
「ただいま。」
「おかえり。早いね。もっと遅くなるかと思った。」
「本当はお泊りしたいとこだけど、明日から遺跡でしょう。泣く泣く帰ってきたわ。…リョウは?トウコ1人なの?」
「マリーが出掛けた後にリョウも出て行ったよ。大方どこかで飲んでるんじゃないか。」
「そう・・・。ねえ、コーヒー淹れるけどトウコも飲む?」
「うん。飲む。ありがとう。」
マリーの雰囲気から、自分に何か話したいことでもあるのだろうと当たりをつけたトウコは、特にコーヒーが欲しかったわけではないが読んでいた本を置いて体を起こした。
マリーが淹れたコーヒーをしばらく2人で静かに飲んでいたが、おもろにマリーがカップを置いて口を開いた。
「・・ねえ、トウコ。ちょっとアナタに聞きたいことがあるんだけど。」
「どうしたのさ、改まっちゃって。」
トウコが少し苦笑しながら言うと、マリーは少し躊躇った後にトウコの目を真っ直ぐに見つめて聞いた。
「アナタ、リョウ以外に男がいるの?」
マリーが何を言っているのか一瞬分からなかったトウコだったが、今度こそ本当に苦笑すると、
「そんなのいるわけがないだろう?色無しで忌み子、おまけにリョウの手垢の付いた女に手を出す男がこの街にいるもんか。」
と呆れたように言った。
「んもう!自分をそんな風に言うもんじゃないわよ!…うん、でも私も別の男がいるなんて思ってたわけじゃないんだけどね…」
「何さ。そう思う何かがあったんだろう?」
「…本当は口止めされたんだけど。」
「誰に?」
「…リョウに。」
「リョウ?」
再度躊躇いを見せたマリーだったが、大きく息を吐くと口を開いた。
「この間、リョウが突然キレたでしょう?あの理由をリョウに問い質したのよ。どうせトウコはこのまま無かったことにするだろうと思って。」
「…ああ。うん。無かったことというかもう忘れかけてた。」
「んもう!そうしたらアイツしぶしぶ教えてくれたのよ。あの日、寝てるトウコが呟いたんだって。リョウ以外の別の男の名前を!」
マリーの言葉に少し目を瞠ったトウコだったが、そのまま右手を顎に当てて何かを考えこむ様子を見せた。
それにマリーは気づかず、
「名前なんだったかしら…カ…カイ…んー確か3文字だったと思うんだけど…」
と続けていたが、トウコの様子に気付き叫んだ。
「ちょっと!何なのトウコ!アナタ本当に心当たりがあるの!?いやだ、やめてちょうだい!リョウと別れるなら私の預かり知らいないところでやってよね!もういっそのこと死の森にでも行ってそこで別れ話を切り出すのがこの街の平和のためよ!」
青い顔で叫ぶマリーを見たトウコが手を振りながら答える。
「ああ、違う違う。すまない。そうじゃなくて、あの日は起きた瞬間からアレだったからすっかり忘れていたけど、そういえばあの日は起きる直前まで夢を見ていたなと思い出していたんだ。」
「…夢?この間は確か殺される夢を見たんだったかしら?」
「うん。今度の夢はそういった類のものではなくて…どちらかというと明るい感じの夢で・・知らない男がいたような気がしてね。」
「夢の中に別の男が出てきて、その名前をトウコが呟いたって…別の男がいるよりマシだけど、どっちにしろリョウが喜ぶ結果じゃないことは確かね。」
トウコの言葉にマリーは顔を顰めながら言うと、「確かにね。」とトウコも苦笑しながら同意する。
「すまないね、心配かけて。リョウには私から話しておくよ。」
「本当よ!まったく。…怒らせないように話しなさいよ?この間のようなことは2度とごめんなんだから!」
「難題だな。善処するさ。」
苦笑しながらトウコは立ち上がり、「じゃ、今日はもう寝るよ。おやすみ。」と言って、自室へと戻っていた。
―その日の深夜。
1人寝ていたトウコは人の気配に目を覚ました。体を少し起こしてドアの方を見ると、タオルで髪を拭きながらトウコの部屋に入ってきたリョウと目が合う。
リョウはシャワーを浴びたばかりのようで下は履いているが上半身は裸だ。リョウは無言でタオルを床に放り投げると、トウコに覆いかぶさって深く口付け、トウコはリョウの褐色の背中に腕を回した。
少なくない時間が経過した後、リョウが深く息を吐いてトウコの首筋に顔をうずめる。そのまましばらくじっとしていたリョウだったが、気だるげに体を起こし、未だ荒い息を吐いてうつ伏せているトウコの隣に座った。
リョウが無言で紫煙をくゆらせながら、ミミズ腫れのように醜く引き攣っている、幼いころ魔物の爪にやられたトウコの背中の傷を指で撫でると、トウコはくすぐったそうに少し笑って体をよじった。
うつ伏せたまま枕を抱き抱えるようにして、顔だけリョウに向けたトウコが言う。
「嫁に行けない体だ。」
リョウが鼻で笑いながら、
「貰ってやるつってんだろ。行く気もない癖に。俺はいつでも大歓迎だぞ。」
と言うと、
「行く気がないって分かってるじゃないか。」
とトウコは可笑しそうに応じながら、リョウが吸っていた煙草を奪い取って一口吸うと、またリョウの口に煙草を戻した。
「この間どこかの阿呆が私を襲った朝、また夢を見ていたんだ。」
「どこの阿呆だそいつは。」
「リョウってやつでね。」
「俺かよ。」
「お前だよ。」
「…悪かったな。あんときゃどうかしてた。」
「それはもういいさ。気にしてもいないし、まだリョウには負けないって分かったからね。」
「じゃあ、何で蒸し返すようなことを…マリーか。」
トウコの言葉に少し顔を顰めながら呟いたリョウだったが、途中で思い当たったらしく今度は盛大に顔を顰めて舌打ちする。
「マリーは心配してくれてるんだ。怒るんじゃないよ。」
トウコが左手を伸ばしてリョウの左手を握りながら言うと、リョウは無言でトウコの手を握り返した。
「で?夢がなんだって?その夢に出てきた男の名前を呟いたってとこか?」
リョウの言葉にトウコは少し驚きながら「察しがいいじゃないか。」と返す。
そのまま、「確か私が全裸で抱き付いたら冷静になるんだったか?」とおどけながら言うと、「そんときゃよろしく頼む。」と面白くなさそうな顔で応じたリョウが、トウコの方に体を向け、頭に左腕をついて寝転がった。
トウコもリョウの方に体を向けて2人向き合うような形になると、リョウの筋肉の付いた腕を指で撫でながら夢について語った。
―夢だし、阿呆に叩き起こされたからね。朧げにしか覚えていないんだけど。はは。そんな顔するなよ。阿呆と言われても仕方がないだろう?え?わかったよ。もう言わないから髪を引っ張るんじゃないよ。
で、夢の中で私はどこの誰とも分からない男と、満点の星空の下を歩いているんだ。そこは紫の小さな花が咲き乱れている草原のような場所で、星が出ているから夜のはずなのに、あたりはぼんやりと明るくてね。この世の物とは思えないほど綺麗な場所だったよ。
どんな男だったかって?
それがまた覚えていないのさ。ごまかしてなんかいないよ。仕方ないだろう?
だけど、恐らくそいつは剣士だと思うよ。腰に長剣を差していたからね。妙に立派な剣だった気がするな…。
え?ああ、ごめん。ちょっと思い出してたんだ。そいつは剣だけじゃなくて、立派な鎧も身に着けてたような気がする。うん、そうだな。鎧なんていつの時代なんだろうな。まあ所詮夢なんだ、気にするだけ損ってもんさ。
は?いつかその場所を探しに行こうって?ははは。なんだい、意外とロマンチストなところがあるんだね。驚いたよ。ああ、もうだから髪を引っ張るなって。悪かったよ。
…そろそろ寝ないと、明日寝坊したらマリーから死ぬほど小言を言われる羽目になるよ。おやすみ、リョウ。
「おやすみ」と囁いたリョウに抱きしめられたトウコは
「…あんな場所がこの世界のどこかにあるなら、いつか行ってみたい気もするな」
そう呟いて目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる