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青の章
02.呟き
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トウコとリョウがなんとか人混みを抜け店に着いた時には、既にマリーは店の前で待っていた。
「遅いわよ!」
開口一番そう言ったマリーに、「悪い。大通りの人混みに捕まってしまった。」とトウコが言い訳すると、「ちゃんと私教えてあげたでしょう?大通りは大変なことになるから避けなさいって!」と、更に怒られてしまった。
恐らくわざとなのだろうが、空気を読まずに腰が痛いから治癒を掛けて欲しいとリョウが言い、
「この猿!ふざけんじゃないわよっ!」
とマリーに腰を蹴られた。
店に入ると喧騒とともにむっとする酒のにおいと煙草の煙が3人を包む。組合員が多く利用する店で、この日も組合員で賑わっていた。ほぼ満席の店内を見渡していると3人に声がかけられた。
「リョウさん!」
「トウコさんにマリーさんも!こちらです!」
声の方を見ると、隅の方の奥のテーブルからヨシとリカが大きく手を振っていた。3人が手を振り返しそちらに歩みを進めると、声につられて店の入り口を見た多くの客がぎょっとした顔をしてすぐに目を逸らし、わずかだが数組のテーブルからは親し気な声が掛けられる。親し気に声をかけてきた組合員たちにマリーが言葉を返しながら3人が店内を進んでいると、1組のテーブルの組合員であろう男たち4人がトウコを凝視する。
蔑む視線や野卑た視線を意に介した風でもなくトウコが店内を進んでいると、「色無しがこんなとこに来るな。とっとと出ていけ。」という声が投げかけられた。
一瞬にして静まり返った店内でトウコはそちらを一瞥するがすぐに目を逸らし、手を振った体勢のまま固まってしまったリカとヨシの方へ進む。
すぐさま「おい!やめろ!あいつらイカれ屋どもだぞ!」とトウコを罵倒した客に、他のテーブルから声がかけられる。
それを聞きとがめたマリーが疲れた声で、「待って・・・・イカれ屋ってなんなの・・・破壊屋の次はイカれ屋…。」と呟く。
「そいつらこないだも女に絡んだバカを炭にしちまったんだぞ!お前らも殺されるぞ!」
「炭にしたのは私たちじゃなくて組合長よ・・・どういうことよ・・・」
「うるせえ!!この街じゃ色無しが堂々と酒飲みにくんのか!?信じられねえ!」
「お前らここに来たばっかか?その女は特別だ。いいからそいつらには絡むな。」
トウコらに親し気に声をかけてきた組合員が取りなそうとするも、男たちは聞く耳は持たない。
「色無しがいたんじゃ酒がまずくなるだろ!とっとと出て行きやがれ!」
その言葉に、酷薄な笑顔を張り付かせて短剣を抜こうとしたリョウの右手をトウコが掴んで止める。その時、店の奥から出てきた大柄な体にエプロンを付け、顔に大きな傷のある男が良く通る声で言った。
「色無しだろうが何だろうがアイツは俺の店の客だ。酒がまずくなるならお前らが出ていけ。トウコ、リョウ。今度暴れたらもううちの店には入れないからな。マリー、ちゃんと2人を抑えとけ。」
「マスター酷いな。私は暴れたことはないし、今だって何もしてないだろう?」
「お前の男がやったことは連帯責任だ。今もすぐに殺りそうな顔してるぞ。」
「リョウ、この店は私が入れる数少ない店だ。おまけにマスターの飯は絶品だろう?私はここを出禁になりたくないから我慢しろ。」
トウコに窘められたリョウは舌打ちを1つして右手を短剣から離した。
トウコからマスターと呼ばれたこの店のオーナー兼シェフがその様子を見て小さく頷き、トウコに絡んだテーブルを見ると、
「もう一度言うが、酒がまずくなるならお前らが出ていけ。面倒だからこの店の中ではこいつらには絡むな。店の外では知らん。好きにしろ。」と言い、そのまま厨房へ戻ろうとするが、足を止めると背を向けたまま言葉を続けた。
「トウコ、今日もうまい飯を作ってやるからたらふく食って行けよ。」
固まったままのヨシとリカのテーブルへ着き、奥のソファへリョウが足を組んで座り、ふんぞり返った姿勢のまま絡んできた男たちへ心底馬鹿にした視線を向けると、男たちは舌打ちをしながら立ち上がり、忌々しい顔はそのままに店を出て行った。
途端、店の中が安堵で包まれる。
「いい加減にしろ馬鹿」
トウコがリョウの頭をはたきながらリョウの隣に腰掛ける。マリーはヨシの隣の椅子に腰かけた。
「遅れた挙句にこの騒ぎで悪いね。今日は私の奢りらしいから好きに頼むといいよ。」
トウコの言葉にヨシとリカが顔を綻ばせ、ようやく慰労会が始まった。
「リョウさんとトウコさんってどこで出会ったんですか?」
アルコールで顔を赤くしたリカの言葉にマリーが顔を顰める。
「聞かない方がいいわよ…。」
「俺がこの街に来てすぐトウコを見かけたんだよ。で、声かけたら殺されかけた。」
リョウの言葉にリカが大笑いし、トウコが「リョウ、お前省略しすぎだろう。」と苦情を言う。
「突然3区だったか?で声を掛けられてね。無視してるのにしつこくしつこく付きまとって来るから鬱陶しくなってさ。ぼこぼこにしたら懲りるかなと思ったら、反対に切り刻まれたな。」
再度リカが大笑いし、「俺も散々殴られて骨折られたぞ。」とリョウが言い返すと、ヨシが「…あれ?おかしいな、その光景を10日くらい前にも見た気がする。」と遠い目をする。
「当時、トウコと2人で借りてたアパートに突然トウコが血まみれの姿で、同じく血まみれの知らない男と帰って来たのよ?帰ってくるなり治癒してくれって。慌てて治癒してあげたらそのまま2人でトウコの部屋に入って次の日まで出てこないんだから!」
笑い過ぎで涙まで流してるリカが、「運命の出会いですね!」と喜んでいる。
そこでヨシが何かに気付いたような顔をするとリョウに尋ねる。
「リョウさんってこの街出身じゃなんですね。どこなんですか?」
その問いに、トウコの髪を弄っていたリョウの指が一瞬止まる。
「忘れた。」
そう返すと、リョウはすぐにまたトウコの髪を指に絡ませた。
「私もマリーも出身は別の街さ。とは言っても、私もどこの生まれかは知らないけどね。」
「そうなんですね。変な事を聞いてすみません。僕とリカはこの街生まれです。まあ2人して捨て子なんで孤児院で育ったんですけど。」
「良くある話だな。」とトウコが言うと、ヨシも苦笑しながら「はい、よくある話です。」と肯定した。
「そういえば、さっきトウコに絡んできた男たちもそうだけど、見ない顔の組合員が増えたわね。別の街から入ってきたのが増えてるのかしら。」
「今回の第4都市の視察団にくっついて、結構な数が入ったみたいです。」
マリーの問いにヨシとリカが肯定の頷きを返した。
都市と都市の間には幹線道路が敷かれている。しかし、基本的に都市間にはその他の町や村はは存在しない。第16都市と死の森の間に休憩のためだけの小規模な集落が存在したように、同じような休憩目的の集落があるのみだ。
都市間の移動はどこも魔導車で1~2日ほどの時間がかかり、馬車だともちろんそれ以上の日数を要する。魔物が跋扈するこの世界において都市間の移動はそうそう気軽に行えるものではなかった。
今回の第4都市からの軍の視察団のように、それなりの規模の軍が都市間を移動する際に、その後ろに都市を移りたい人間がコバンザメのようにくっついて、一緒になって移動するのは当たり前に行われる光景だった。
軍という暴力装置について行けば、比較的安全に都市間の移動ができるからだ。
トウコたちのいる第16都市は辺境でまた死の森にも近いことから、力を生業にしている組合員向けの仕事が多く、そして稼げる。しかし、一般の人々が移住するには特別魅力的な場所ではない。そのため、今回の軍の移動ではそれなりの数の組合員がこの街に流入したようだ。
「知らない顔が増えると絡まれるのよねぇ…」
マリーがぼやくとヨシとリカが先ほどの光景を思い出して苦笑いになる。
「はぁ面倒だわ。」
リョウもまた誰にも聞こえないほど小さく舌打ちし、「面倒だ。」と呟いたのを、リョウに髪を弄られながらトウコは聞いていた。
「遅いわよ!」
開口一番そう言ったマリーに、「悪い。大通りの人混みに捕まってしまった。」とトウコが言い訳すると、「ちゃんと私教えてあげたでしょう?大通りは大変なことになるから避けなさいって!」と、更に怒られてしまった。
恐らくわざとなのだろうが、空気を読まずに腰が痛いから治癒を掛けて欲しいとリョウが言い、
「この猿!ふざけんじゃないわよっ!」
とマリーに腰を蹴られた。
店に入ると喧騒とともにむっとする酒のにおいと煙草の煙が3人を包む。組合員が多く利用する店で、この日も組合員で賑わっていた。ほぼ満席の店内を見渡していると3人に声がかけられた。
「リョウさん!」
「トウコさんにマリーさんも!こちらです!」
声の方を見ると、隅の方の奥のテーブルからヨシとリカが大きく手を振っていた。3人が手を振り返しそちらに歩みを進めると、声につられて店の入り口を見た多くの客がぎょっとした顔をしてすぐに目を逸らし、わずかだが数組のテーブルからは親し気な声が掛けられる。親し気に声をかけてきた組合員たちにマリーが言葉を返しながら3人が店内を進んでいると、1組のテーブルの組合員であろう男たち4人がトウコを凝視する。
蔑む視線や野卑た視線を意に介した風でもなくトウコが店内を進んでいると、「色無しがこんなとこに来るな。とっとと出ていけ。」という声が投げかけられた。
一瞬にして静まり返った店内でトウコはそちらを一瞥するがすぐに目を逸らし、手を振った体勢のまま固まってしまったリカとヨシの方へ進む。
すぐさま「おい!やめろ!あいつらイカれ屋どもだぞ!」とトウコを罵倒した客に、他のテーブルから声がかけられる。
それを聞きとがめたマリーが疲れた声で、「待って・・・・イカれ屋ってなんなの・・・破壊屋の次はイカれ屋…。」と呟く。
「そいつらこないだも女に絡んだバカを炭にしちまったんだぞ!お前らも殺されるぞ!」
「炭にしたのは私たちじゃなくて組合長よ・・・どういうことよ・・・」
「うるせえ!!この街じゃ色無しが堂々と酒飲みにくんのか!?信じられねえ!」
「お前らここに来たばっかか?その女は特別だ。いいからそいつらには絡むな。」
トウコらに親し気に声をかけてきた組合員が取りなそうとするも、男たちは聞く耳は持たない。
「色無しがいたんじゃ酒がまずくなるだろ!とっとと出て行きやがれ!」
その言葉に、酷薄な笑顔を張り付かせて短剣を抜こうとしたリョウの右手をトウコが掴んで止める。その時、店の奥から出てきた大柄な体にエプロンを付け、顔に大きな傷のある男が良く通る声で言った。
「色無しだろうが何だろうがアイツは俺の店の客だ。酒がまずくなるならお前らが出ていけ。トウコ、リョウ。今度暴れたらもううちの店には入れないからな。マリー、ちゃんと2人を抑えとけ。」
「マスター酷いな。私は暴れたことはないし、今だって何もしてないだろう?」
「お前の男がやったことは連帯責任だ。今もすぐに殺りそうな顔してるぞ。」
「リョウ、この店は私が入れる数少ない店だ。おまけにマスターの飯は絶品だろう?私はここを出禁になりたくないから我慢しろ。」
トウコに窘められたリョウは舌打ちを1つして右手を短剣から離した。
トウコからマスターと呼ばれたこの店のオーナー兼シェフがその様子を見て小さく頷き、トウコに絡んだテーブルを見ると、
「もう一度言うが、酒がまずくなるならお前らが出ていけ。面倒だからこの店の中ではこいつらには絡むな。店の外では知らん。好きにしろ。」と言い、そのまま厨房へ戻ろうとするが、足を止めると背を向けたまま言葉を続けた。
「トウコ、今日もうまい飯を作ってやるからたらふく食って行けよ。」
固まったままのヨシとリカのテーブルへ着き、奥のソファへリョウが足を組んで座り、ふんぞり返った姿勢のまま絡んできた男たちへ心底馬鹿にした視線を向けると、男たちは舌打ちをしながら立ち上がり、忌々しい顔はそのままに店を出て行った。
途端、店の中が安堵で包まれる。
「いい加減にしろ馬鹿」
トウコがリョウの頭をはたきながらリョウの隣に腰掛ける。マリーはヨシの隣の椅子に腰かけた。
「遅れた挙句にこの騒ぎで悪いね。今日は私の奢りらしいから好きに頼むといいよ。」
トウコの言葉にヨシとリカが顔を綻ばせ、ようやく慰労会が始まった。
「リョウさんとトウコさんってどこで出会ったんですか?」
アルコールで顔を赤くしたリカの言葉にマリーが顔を顰める。
「聞かない方がいいわよ…。」
「俺がこの街に来てすぐトウコを見かけたんだよ。で、声かけたら殺されかけた。」
リョウの言葉にリカが大笑いし、トウコが「リョウ、お前省略しすぎだろう。」と苦情を言う。
「突然3区だったか?で声を掛けられてね。無視してるのにしつこくしつこく付きまとって来るから鬱陶しくなってさ。ぼこぼこにしたら懲りるかなと思ったら、反対に切り刻まれたな。」
再度リカが大笑いし、「俺も散々殴られて骨折られたぞ。」とリョウが言い返すと、ヨシが「…あれ?おかしいな、その光景を10日くらい前にも見た気がする。」と遠い目をする。
「当時、トウコと2人で借りてたアパートに突然トウコが血まみれの姿で、同じく血まみれの知らない男と帰って来たのよ?帰ってくるなり治癒してくれって。慌てて治癒してあげたらそのまま2人でトウコの部屋に入って次の日まで出てこないんだから!」
笑い過ぎで涙まで流してるリカが、「運命の出会いですね!」と喜んでいる。
そこでヨシが何かに気付いたような顔をするとリョウに尋ねる。
「リョウさんってこの街出身じゃなんですね。どこなんですか?」
その問いに、トウコの髪を弄っていたリョウの指が一瞬止まる。
「忘れた。」
そう返すと、リョウはすぐにまたトウコの髪を指に絡ませた。
「私もマリーも出身は別の街さ。とは言っても、私もどこの生まれかは知らないけどね。」
「そうなんですね。変な事を聞いてすみません。僕とリカはこの街生まれです。まあ2人して捨て子なんで孤児院で育ったんですけど。」
「良くある話だな。」とトウコが言うと、ヨシも苦笑しながら「はい、よくある話です。」と肯定した。
「そういえば、さっきトウコに絡んできた男たちもそうだけど、見ない顔の組合員が増えたわね。別の街から入ってきたのが増えてるのかしら。」
「今回の第4都市の視察団にくっついて、結構な数が入ったみたいです。」
マリーの問いにヨシとリカが肯定の頷きを返した。
都市と都市の間には幹線道路が敷かれている。しかし、基本的に都市間にはその他の町や村はは存在しない。第16都市と死の森の間に休憩のためだけの小規模な集落が存在したように、同じような休憩目的の集落があるのみだ。
都市間の移動はどこも魔導車で1~2日ほどの時間がかかり、馬車だともちろんそれ以上の日数を要する。魔物が跋扈するこの世界において都市間の移動はそうそう気軽に行えるものではなかった。
今回の第4都市からの軍の視察団のように、それなりの規模の軍が都市間を移動する際に、その後ろに都市を移りたい人間がコバンザメのようにくっついて、一緒になって移動するのは当たり前に行われる光景だった。
軍という暴力装置について行けば、比較的安全に都市間の移動ができるからだ。
トウコたちのいる第16都市は辺境でまた死の森にも近いことから、力を生業にしている組合員向けの仕事が多く、そして稼げる。しかし、一般の人々が移住するには特別魅力的な場所ではない。そのため、今回の軍の移動ではそれなりの数の組合員がこの街に流入したようだ。
「知らない顔が増えると絡まれるのよねぇ…」
マリーがぼやくとヨシとリカが先ほどの光景を思い出して苦笑いになる。
「はぁ面倒だわ。」
リョウもまた誰にも聞こえないほど小さく舌打ちし、「面倒だ。」と呟いたのを、リョウに髪を弄られながらトウコは聞いていた。
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