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映画2

ジェボーダンの獣

「啓蒙思想の毒は、あの獣でも止められなかった」

　ジェヴォーダン地方の領主は、進軍して来る松明の波を見て、そう思っていた。
　話は、何年も前に遡る。

　十八世紀、フランスのジェヴォーダン地方で事件が起きた。大勢の村人が、正体不明の獣に食べられ、亡くなる。
　国王、ルイ十五世は、事件解決のため、現地にフロンサックを中心とした討伐隊を送る。

　フロンサックは、猟師と協力して、獣に罠を仕掛けるが、全くかからず、犠牲者が増えるばかりで、獣のねぐらを突き止める事もできないありさまだった。

　だが、それもそのはずで、獣の正体は、貴族が飼育しているライオンだった。
　フロンサックは、相棒を失いながらも、獣と貴族を倒し、事件を解決した。
　貴族の目的は、啓蒙思想の影響で、神や王権神授説を否定し始めた民衆への戒めだった。
　ジェヴォーダンの獣は、王権制度の最後の咆哮になる。