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映画2

グッバイ・レーニン

　アレックスは、母親を騙していたつもりだったが、騙されていたのは、自分だった。

　事の起こりは、東ドイツで、社会主義運動に熱心なアレックスの母親が、心臓発作で倒れる事から始まる。
　母親は、病院で昏睡状態に陥るが、その間に、ベルリンの壁が壊され、西ドイツと東ドイツは一つになった。レーニン像が撤去され、コカコーラの看板が街に掲げられる。

　アレックスは、母親が目覚めた時、急激な変化にショックを受けないか心配し、あの手この手で、冷戦の終わりを悟らせないようにする。
　だが、実は、アレックスの母親は、全てを知っていた。別の嘘を隠すために、騙されたふりをしていた。

　母親が隠す嘘とは、アレックスの父親に関するものだった。
　女と西ドイツへ逃げたと言っていたが、それは嘘で、先に西ドイツへ亡命し、家族を迎え入れる準備をしていたのが真相だった。
　アレックスの母親は、亡命する勇気が出せず、自己正当化するために嘘をついていた。
　壁が崩壊したいま、真実が暴かれるのを恐れた。だが、東ベルリンの虚像の象徴だったレーニンの巨像が壊されたように、母の虚像も壊される。