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映画2

ジャンヌ・ダルク

「私は神の太鼓だ。フランスを救え。侵略者を倒せと鳴り響いている。私の兵士たちよ、あの城を落として、イングランド人を海の向こうへ追い返すのだ」

　ジャンヌダルクは、フランス軍の陣営で騒ぎ出した。時刻は、まだ早朝で、寝ている者も多かった。事の起こりは、ジャンヌが、城に立て篭もるイングランド兵に、下ネタで侮辱され、ぶち切れた事に始まる。ジャンヌは、兵士に移動式の攻城櫓を押させ、城に突撃した。しかも、本来の使い方とは逆向きで押し立てる。

「誰か、フランスの雌犬に、櫓の使い方を教えてやれ」
　
　イングランド兵が城壁の上で笑うが、櫓が迫って来ると青ざめた。倒れた櫓が、堀と城を繋ぐ橋になった。しかも、櫓の先端が、城門を破壊している。櫓を伝わって、フランス兵が攻め込んで来た。オルレアンの乙女、聖ジャンヌの狂信者は、奇声を上げて城内に雪崩れ込む。弓矢も、溶かした鉛も、バネ仕掛けで飛び出す槍も、ジャンヌの信徒たちを止められない。敵味方が血のシャワーを浴び、真っ赤に染まる。当たるを幸い凶器を振り回し、武器を失っても素手で挑む。城は、狂気の地獄と化した。

　十五世紀英仏百年戦争の後期、神のお告げを聞いたと言い張る少女は、民衆のカリスマになり、王太子シャルルをその気にさせ、フランス軍を勝利へ導いた。だが、フランス国王に就任した、シャルル七世の嫉妬を買ってしまう。シャルルの母が言う。

「あの、神に選ばれた娘には、もっと試練が必要ですわ」

　ジャンヌダルクは、敵に囚われ、フランス国王に見捨てられ、イングランド人によって、異端審問を受ける。
　ジャンヌは、全てを奪われ、ただの小娘になると、泣いて許しを乞う。牢獄で今までの行いを反省し、神に祈って生きたいと言う。
　審問官は、ジャンヌに同情し、以後、男の格好をしなければ、許す事を決める。
　しかし、夜中にイングランドの兵士が、ジャンヌの牢獄に押し入り、彼女のドレスを剥ぎ取り、男の服を置いて行く。
　ジャンヌは、仕方なく服を着るが、それが間違いだった。素っ裸でいるべきだった。若い娘の羞恥心が、仇になった。審問官は、がっかりする。

　１４３１年、ジャンヌダルクは、異端の罪で、生きたまま焼かれた。
　オルレアンの乙女は、魔女として亡くなった。