映画を一分で読む。

映画2

ウォルター少年と夏の休日

　年老いたライオンは、笑っているようにも、眠っているようにも見えたが、実際は老衰で亡くなっていた。大好きな少年を守って本望なのは、その顔で分かる。ライオンの下には、少年の母親のヒモがいた。話は、数ヶ月前に遡る。

　少年は、母親に連れられ、大伯父の家を訪ねていた。大伯父は、男二人で、田舎の一軒家に住んでいた。母親の魂胆は、バレバレだった。少年が、ヒモ男との生活で邪魔になったので、置き去りにするつもりだった。母親は、資格を取るためと称して、少年を大伯父の家へ置いて行った。動揺する少年に、大伯父Ａが言う。

「男には、地図が必要だ」

　少年は、意味不明だったが、意味不明なまま痺れた。これぞロックンロールだろう。田舎で、ロックと出会ってしまった。

　二人の大伯父と、少年の生活が始まった。二人の大伯父は、見た目よりも面倒見の良い人たちだった。
　大伯父Ａは、セールスマンをライフル銃で追い払う。実は、大伯父は資産家だと思われていて、この光景は日常茶飯事だった。少年は、大伯父に言う。

「お金は、持っているだけじゃ価値がないよ」

　大伯父は、少年の言葉に納得して、ライオンとプロペラ機を購入する。実際、二人は金持ちだった。若い頃、アラビアで大暴れして、大金を得て、王族の好敵手から姫を奪って逃げたと言う武勇伝を持っていた。大伯父Ａと姫とは、悲恋に終わったらしい。

　さて、購入したライオンとプロペラ機だが、ライオンは、狩の獲物としては元気がなく、プロペラ機は、操縦免許がなかった。

　それから数日後の夜、少年の前にヒモ男が現れた。母親は、少年を置き去りにしただけじゃなく、ある指令を与えていた。それは、大伯父の隠し金のありかを探す事だった。ヒモ男は、少年に詰め寄り、暴行を加える。少年にお世話して貰っていたライオンは、最後の力を振り絞って、ヒモ男を病院送りにする。

　そんな騒動もあり、少年は、自分の地図を持った。母親と決別し、大伯父の世話になる事を決める。大伯父には、自分が成人するまでは、無茶をしない事を約束させた。

　時が流れ、大人になった少年は、大伯父の訃報を聞く。プロペラ機で事故を起こしたのだった。葬儀には、アラブの王族の孫が参列し、ウォルターを驚かせた。アラビアンナイトみたいな話は、本当だったのだ。