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映画2

戦火の馬

　第一次世界大戦、イギリス軍とドイツ軍が睨み合う真ん中の緩衝地帯に、両軍を阻む鉄条網が有った。そこに、数日前から、一頭の馬が絡まっていて、動けなくなっていた。両軍とも、可哀想な馬が気になっていたが、助けようとすれば、敵に撃たれてしまう。ある日、イギリス陣営から、一人の兵士が、馬を助ける事を決意し、緩衝地帯へ向かった。幸いな事に、ドイツ軍は攻撃して来なかった。
　イギリス兵は、鉄条網から馬を解放しようとするが、荊棘がついた太いワイヤーに苦戦する。馬の体は、あちこちから出血し、救出を急ぐ必要があった。
　イギリス兵が一生懸命に作業していると、目の前にドイツ兵が居た。イギリス兵は、緊張するが、ドイツ兵に敵意はなく、ペンチを持っていた。その後、敵同士での共同作業が続く。二人は協力して、馬を鉄条網から解放した。
　さて、救出した馬だが、どちらの陣営へ連れ帰るかで、二人は揉めた。

「この馬を見ろよ。イギリスの馬だぜ」

　イギリス兵が言えば、ドイツ兵も言い返す。

「この馬のピンチを救ったのは、俺のペンチだぜ」

　お互いに言い張り、戦争の火種になりそうだったが、元々は、善意で集まったような二人だから、銃弾ではなく、コイントスで所有権を争った。結果、馬はイギリス陣営へ連れ帰る事になった。

　馬にとって、それは良い事だった。何故なら、馬はドイツ軍から逃げて来たからだった。元々は、イギリスの農家に買われ、騎兵馬として徴収されるが、ドイツ軍に略奪され、大砲を引かされる事になる。過酷な労働で、他の馬が倒れる中、その馬は耐え抜き、脱走のチャンスを掴んだ。それと言うのも、最初の飼い主だった少年に会うためだった。

　一方、飼い主の少年も、従軍中に馬を探していた。心身ともに傷ついた馬と少年は、戦争の終わりと共に再会する。共に故郷へ帰り、草原の夕日を眺めていた。