今妖諸話「やまのなか余禄」

加味不左司

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今妖諸話「やまのなか余禄」(前篇)

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右を見ても森の中。左を見ても森の中。
前も後ろも見渡す限りの木、木、木。

青年の周りは木しかなく、初夏の日差しは枝葉に遮られ
薄暗い足元が青年の不安を恐怖を掻き立てる。

と、言うことはなかった。

「くっそ、親父たちは、俺がいつも暇だとか思っていないか」
「何かといえば人に仕事を押し付けやがって。」

ブツブツ不満を吐きながらも、
しっかりとた足取りで草木を掻き分け進んでいく。

だが行けども行けども、目的の相手は見つからない。

結構、歩いているのに。こんなに探し回っているのに。

募る焦りと疲労が怒りと疑念を膨らませる。

「くっそー。ホントに入ってきているんだろうな。不法侵入者は!?」

青年は山中で「ある存在」を捜し求めて彷徨っていた。

実家の神社の神域にあたるこの裏山に入りこんだ招かれざるものを。




その日、青年は大学へ登校していた。

青年は今年大学へ入学した。

文系なので授業のスケジュールは理系に比べそこまでタイトでないとはいえ、
必修科目が多い1年生ゆえ結構授業が詰まった時間割を組んでいる。

その上、サークル活動もやっている関係上、そんなに暇な時間はない。

「と、いうことなんだけどね、お袋」
結構冷酷な口調で言い返す青年。

彼の手の中にはスマホ。電話してきたのは青年の母上殿。

「まあ、お母さんはそんな冷たい子に育てたおぼえはありませんことよ」
語尾に「おほほほほ」とでも追加しそうなわざとらしい口調で反論してくる母上殿。

「『おぼえはありませんことよ。』じゃねーだろ。まだこっちは授業中だぞ」
やや切れ気味に言い換えす息子。

「呼び出し音を3分以上も鳴らすわ、こっちが電話切ったらまたすぐ架けてくるわ、
少しは電話の常識的な対応を覚えんかい!」

「そんなこといっても、お母さんが機械にはとことん弱いの知ってるでしょ」

「いや、これ、マナーの問題だから。機械に弱い強いは関係ないから」
言い訳にならない母親の言い訳をばっさりと切り捨てる息子。

「もー。冷たいんだから、……おとうさーん、翔ちゃんが冷たいのよー!」
と、ここでイキナリ電話の相手が父親にバトンタッチ。

「……授業中すまんが、かなり急を要する事態だ」
重厚な声音で用件を切り出した父親に、
今回もこのまま説得されてしまう流れを想像した青年であった。




山中の道なき道を進みながら、青年は父親の説明を回想する。

「俺と母さんはこれからどうしてもはずせない用事で
数日家を空けるのは知っているよな」

「ああ」
厳しい声音で電話口から話しかける父親に、短く肯定の言葉を返す息子。

「だが、間が悪いことに、今さっき家の神域の結界に反応があった」
「ん!?」

青年は父の言葉に自分の家の特殊な事情を思い出す。

彼の家は古くから続く神社である。
山中の森に囲まれた場所に本殿があり、麓からは歩いて15分。
鬱蒼とした木々の合間を参道が続く、
正しく神域といった趣のある場所である。

そして、実際の所この鎮守の森には、正真正銘、
結界が張ってあるのだった。

そもそも、結界とは外部から部外者が入ってこないようにするため、
または、内部から中のモノが出て行かない様にするため、
あるいは両方をあわせた目的を持っているものだが、
青年の実家のそれは外部進入を防ぐ目的が強い。

それは青年の実家が過去に妖怪退治を生業にしていた事と関係しており、
時に争わなければならない相手からの防御機能の一つなのだった。

今日、すでに両親は趣旨がえの結果、妖怪退治はしていないが、
人の生きる長さと妖怪のそれとのズレを考えて、防衛策としての結界は
昔のままに稼動している。

それが破られたということをこの事態は告げていたのだった。

「かなりやばい事態なのか?」
「反応が少しおかしいところもあるんで、実際に見てきて欲しいんだ」
「おかしい?」
「人と妖怪の反応が混ざっているというか、重なっているというか、
……どうも奇妙なことになっているようだ」

父の疑念の言葉を脳裏で反芻しながら青年が目指すのは結界のほつれ。
ナニモノかが入ったきた痕跡が残っているはずの場所。

父の言うとおり自らの目で見てみることから始めようと青年は決断していた。




結界の破れたところは難なく見つかった。

「これは……結構、無理やり破ったような」

青年の口から思わずそんな言葉が零れ落ちてしまうほどの惨状が
そこにあった。

青年が見つけたその一角だけごっそりと霊的な守りが失われていて、
かなり強力な妖力をぶつけてこじ開けた跡が残っていた。

「だが、それにしては……」

ただ、木々の枝や地に生い茂った草には大きな獣が通った跡はついてなく、
もし、結界を見たり感じたりすることが出来ない者がこの場を見ても
何ら変哲もない森が広がっているように見えただろう。

……いずれにしろ、場所が悪い。

結界の破れは遊歩道のすぐそばにあった。
今の状態だとこの位置からただの動物も結果内に入り放題だろうし、
少し離れたところに小道が本道から枝分かれしているもの見て取れる。

多分普段は結界のせいでこの小道は隠されているのだろう。
だが今、この小道は社の鎮守の森の中へ招かれざるものさえも誘っている。

まずはこの入り口から何が入っていったのか確かめなければならない。

青年は携帯電話を取り出して目的の相手に電話する。
「もしもし、姉貴、ちょっと頼みたい事があるんだが」




「……あのさ、私も、暇ってワケじゃないんだけどぉ」
不満たらたらで青年に苦情を言う小柄で童顔の若い女性。

「悪いな、姉貴。文句は親父とお袋に言ってくれ」
おざなりに姉をいなす青年。

「謝罪に心が篭っていない……」
弟に白眼を向ける女性は、仕方がないという様にあきらめの溜息をついた。
溜息とともに頷いた彼女の長めのポニーテールがさらりと揺れた。

薄緑のワンピースに低いヒールのサンダルという彼女の装いは
春の盛りに相応しくはあるが、
今いる場所を考えると少し軽装過ぎるとも言えた。

ただ、実年齢よりかなり若く見える、
そう、人によっては二十歳過ぎの彼女を女子中学生と見間違える、
その容貌には実に良く似合っていた。

二人がいるのは、山中の道の真ん中。
青年が見つけた結界の破れがそばにある、まさしくその場所だった。

「いや、でも、ホント結構早く来てくれて助かったよ、姉貴」
とってつけたように再度礼を述べる青年。

「そりゃ、LINEでなく、直接電話してくるんだもの。何かと思ったわよ」
「俺からのLINEじゃ、すぐに読まないだろ、姉貴は」
「ま、ね。アンタからじゃ、即時対応の必要性は認めないわね」
「これも見ても、そう思う?」

青年が指差す先は結界のほつれ。その奥には暗い森が続いている。

「まあ、あんまりいい塩梅じゃないわねぇ」
やれやれという感じで彼女は同意する。

そして、
「では、始めましょうか」
と、持っていた大きな袋から緑色の円盤を取り出す。
「なんというか、何時見ても、それって博物館に飾っているのが
相応しいよなあ。考古学の出土品として」
「そりゃ、銅鏡だものね。鏡面部は磨き上げているけど、
裏面は緑青で覆われているし」

彼女が持っているのは直径30センチはあろうかという銅鏡だった。

二人が会話で交わしたようにそれは歴史を感じさせる一品でありながら、
そこはかとなく現役で使われている感じも漂っているのだった。

そして、それは現在でも二人の実家の神社で確かに使用されているもので、
鏡面部が磨き上げられていることが何よりその証拠なのだった。

「しかし、アンタもさ、これの使い方、早く覚えないさいよ」
半眼で睨む姉への返事に青年はウンザリした口調で言い返す。
「なんか、相性が悪くってさ。よく失敗するんだよね。これ」
「まったく、もう」
弟の言い訳に再度溜息をつきつつ彼女は準備を始める。
鏡面を結界の破れに向け銅鏡を両手で持つ。

神社に伝わるこの鏡は神秘の力に満ちている。
力を込めてそれを使えば土地の記憶を呼び起こす。

だが、青年はこの力を使うのが不得手だった。
もっとも美味くこの力を使えるのは青年の母だったが、
いまは不在で助力は望めない。

そこで、次なる使い手なる姉に縋ったのだった。

彼女の唇から小さく紡ぎ出されだす言葉。
それはこの銅鏡の真なる力を導き出す言葉。
鏡を向けたその先の大地の記憶を呼び起こす呪文。

そして、彼女が言葉を唱え終えた瞬間、その地は刹那の輝きに満たされた。

力は満ちた。

その力は二人の脳裏に古ぼけた映画のようなモノクロの映像を映し出す。

そして二人は見た。
一匹の妖怪が結界をこじ開けて森の中へ押し入って行くさまと、
少し経った後に少年が一人、道を誤って進んでいくところを。

「何か、ややこしい事になっているようね……」
神秘の力を解き放ち、元の鈍い緑色の金属に戻った銅鏡に視線を向けながら
溜息交じりに呟く姉を横目に、青年は思わず渋い表情を浮かべる。

「なあ、姉貴。手伝ってもらうってわけには……」
「悪いけど、マジで無理。これからどうしても外せない用事があるのよ。
間に合うかは、飛んで帰ってギリギリってところ」
厳しい表情で返事を返す女性。

青年は考えた。
どう見ても森の中に、妖怪と人間の少年が全くの関連性なしに
入り込んでしまっている。

こちらは一人で両方探さないといけないから、
両者がおのおの別のところをうろついていれば、かなり時間がかかりそうだし、
もし、両者がどこかでばったり出会ってしまえば、それはそれで面倒だ。

「面倒なのはわかるけど、ぐずぐずしている暇はないと思うよ」
面倒さに辟易した感情が弟の表情に刻まれたのを読み取ったのか、
彼の内心に同意を示しつつ現実を突きつける姉。

「妖怪のほうは結界があるのに気がついた上で無理やり突破しているのだから、
確信を持って不法侵入しているわ。
うちらが出て行ってと要求しても素直に聞くかどうか。
勝手にここを住処にするつもりって事も十分考えられる」

「人間の子供のほうは明らかに遭難者よ。
捜索隊がウチの森に入る前にさっさと助けたほうがいいわ。
このまま行方不明が長引くと、絶対、氏子さんたちから『子供が鎮守の森に
入り込んだかもしれないので、捜索に協力してください』って依頼が来るわ」

「この森には、ほんとの神域のほかに、住処を追われたりワケありの妖怪を
受け入れているエリアもあるから、強力な結界を張っているって理由もあるし、
あんまり人間を入れるのはまずいってアンタも知ってるでしょ」

「そんな、全部言わなくても、わかってるって」
姉の正論にムスリと受け答えをする青年。

「でも、まあ一人でこの懸案を片付けるのなら、私より翔のほうが適任よ」
「なんでさ?」
イキナリ話の中身が変わった姉の言葉に怪訝な表情を向ける青年。

「あんた、この前お祖父ちゃんに雷を操る術を学んだでしょ。
筋がいいってお祖父ちゃん褒めてたじゃない」
「ああ、確かにそうだけど、今の状況の何の繋がりが……」

ますます怪訝そうに尋ねる青年に、彼の姉は「おや、気付いていないのか?」
というような表情を一瞬浮かべた後、得意げな表情を向けて問い掛ける。
「あの術は『カミナリオヤジのゲンコツ』でしょ」
「ああ」

すると、まるで謎掛けをするスフィンクスのように得意げに
彼女はこういったのだった。
「さて、『カミナリオヤジのゲンコツ』が落ちるのはどういう時でしょう?」

六-壱

結界の中に一歩足を踏み入れた青年は、
振り向いて背後に佇む姉に視線を向ける。

その視線を受けた女性はニヤリと人の悪そうな笑みを浮かべ、
手をヒラヒラを振る。

「姉貴、わかっていると思うが、結界の修理は頼むぞ」
「はいはい、早く行ってらっしゃい。アンタが奥に進まないと、
こっちが結果術の掛け直しが出来ないじゃない。ほら、さっさと、行った行った」

姉の結構ぞんざいな言い草に気分を害しながらも
青年は鬱蒼とした森の中に足を進める。
その直後、彼の背後で結界術を掛けなおす気配が感じられた。

再び、後ろを振り返ると一仕事終えた彼の姉が、
ちょうど軽やかな跳躍とともに空へ飛翔したところだった。

文字通り飛んで帰った、そんな姉を見て、暇じゃないと本人が言ってたけど、
ホントに忙しかったのかと埒も無い事を思いながら
森の深いところを目指す青年だった。

青年が目指したのは、まず森に迷い込んだ少年を見つけ出すこと。
「ヤツより、先に見つけないとまずいかもしれないからな」
一人ごちる青年。

青年の言うヤツとは、この結界を破って進入した妖怪のこと。
この場に無断で入り込んだぐらいだから
結構な乱暴ものじゃないかとは推測していたが、
先ほどの鏡のおかげで判明した正体が青年を更なる不安に掻き立てる。

「肉食で、しかも人肉OKな種族とか、最悪だ」

さっき姉とも話したとおり、
ウチの神社は氏子さんを通じて人の世とのつながりも保っているから、
森の中で事件があったとかなれば、最悪公権力たる警察の介入を受ける。

この結果の中で現場検証なんかされたら、
結界内に棲んでいる妖怪の連中が人間に何をするか見当もつかない。
そうなれば、絶対余計なトラブルが生まれるだろう。
よく事情を知らない退魔士とか、森の中にズカズカと乗り込んできそうだ。

混乱に満ちた未来予想図を思い浮かべて眉をしかめる青年。
「くそ、早く少年を保護して、それから妖怪の説得をしないと」

とはいえ森の中は広く、少年と妖怪の気配はなかなか捕まらない。

思わずこの仕事を押し付けた両親へ悪態をつく
「くっそ、親父たちは、俺がいつも暇だとか思っていないか」
「何かといえば人に仕事を押し付けやがって」

ブツブツ不満を吐きながらも、
しっかりとた足取りで草木を掻き分け進んでいく。

だが行けども行けども、目的の相手は見つからない。

結構、歩いているのに。こんなに探し回っているのに。

募る焦りと疲労が怒りと疑念を膨らませる。

「くっそー。ホントに入ってきているんだろうな。不法侵入者は!?」

思わず衝いてでた声に、自らの焦りを自覚する。
「……いや、焦ったって、何にも解決しないぞ」

青年は一旦立ち止まり、しばしの間呼吸を整える。

「さて……」
青年は考える。このまま闇雲に歩き回るだけでは埒が明かない。

今ここで自分が出来るすべは二つ。
まず、天狗の術としての飛翔。
これは山中の木々の間をすり抜けながら高速移動するもの可能だ。

「……が、高速移動中に、ゆっくり動いていたり、
静止していたりするものを見つけ出すのって苦手なんだよな、俺」

修行中の身ゆえ、進行方向の障害物を避けるのは出来るが、
移動中の視野が狭いので高速偵察のような事はまだ出来ない。
「お袋なら問題なく出来るが、俺は、まだまだなんだよな」

ということで、この方法は却下。
まあ、問題なく出来るなら最初からやっているなあと内心でぼやく青年。

「と、すれば……」
残った方法は、父親から教わっている退魔の術で、ということになるが……。

「こっちは、天狗の術に比べるとひどい腕前なんだよなあ」
思わず愚痴がでてしまう青年だったが、

「とも、言ってられないか」
と、ポケットからおもむろに数枚の紙を取り出して口元で
ゴニョゴニョと何か呟いたかとおもうと、
その短冊状の紙を「エイや」とばかり放り投げる。
と、それらは折り紙の鶴の形に早代わり。そして四方へ飛んでいく。

それを見ながら
「ん、今回は成功したな、……あとは、果報は寝て待て。と行けばいいが」
と祈るように呟く青年だった。

それは、式神の術と呼ばれる陰陽の業の一つだった。
青年はこの紙で出来た僕を操り捜索範囲を広げたのだった。

幸運なことに、しばし待つこと数十分、早くも朗報が一枚の折鶴から伝わってきた。

少年発見の報せ。

まずは重畳、と安堵する青年。
そして、式神の指し示す方向へ足を運ぶ。
暫くすると、泣きじゃくる子供の声が聞こえ、
岩に腰掛けてうなだれている迷子の少年の姿を見出す。

少年は泣く事にさえ疲れてしまったのか、
嗚咽がだんだんと小さなものになっていく。

その様子から、疲れこそ見えるものの、
少年は大きな怪我などもしていないようで、一安心といったところか。

だったら、さっさと保護しよう。
そう決めるや否や青年は、
岩に腰掛けてうなだれている少年の前まで進んで声をかけた。

「で、君はなんでこんなところに?」

                               (後編に続く)
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