異世界帰りのゲーマー

たまご

文字の大きさ
上 下
19 / 73
やってきた憂鬱

トンビが鷹を産んだらしい

しおりを挟む

 いやぁ、アレはないでしょ

 色々と燃え尽きた俺はリビングに降りてきた
 VRデバイスを外したタイミングで母さんから呼ばれたからだ

 今日の我が家はカレーのようだ
 鈴木家は結構な頻度でカレーが出る
 以前になんでカレーばっかりなの?と聞いたら、作り置きが出来て楽だから言われたのを覚えている
 好きだからいいんだけどさ

 食卓へ行くと家族全員揃っていた
 父さん、母さん、姉と妹
 久しぶりに会うが全然変わっていないな
 
 それはそうか
 自分だけ10年分、歳をとったイメージがあるがそんなことは無いんだから

 「一郎、牛乳持ってきて」

 姉に言われて牛乳を持っていく

 「一郎が素直に言う事聞くなんて珍しいわね」

 「一郎兄ちゃん、頭でも打ったの?」

 失礼な事を言っているのは姉である咲《さき》と妹の光《ひかり》だ

 こう言ってはアレだが姉妹の容姿は優れている方だと思う
 家族だからか魅力なんて全く感じないが同世代には人気があるらしい

 それに俺と違って非常に社交的で友人もたくさんいる

 社交性については母さん似だな
 二人とも容姿については普通の両親のいいとこ取りをしたようだ
 俺なんてモブパーツを組み合わせた容姿なのに

 
 「今朝からちょっと変なのよね」

 母さんと姉妹はわいわい喋りながら食卓を囲んでいる
 父さんに関しては黙々と晩酌していた

 鈴木家は
 母さん>姉妹>超えられない壁>父さん>俺
 となっている

 悲しいかな家でも底辺でいる俺は黙々とカレーを食べるしかないのだ

 カレー美味しい

 
 「ねぇねぇ、一郎兄ちゃん」

 「なんだ?光」

 母さん達との会話の途中で話しかけてくるとは珍しい

 「一郎兄ちゃんってさディファレント・ワールドやってるんだよね」

 「おう、さっきまでやってたぞ。というかVRデバイス持ってて、やってないやつの方が少ないだろ」

 15歳以上という制限はあるが老若男女問わず人気のあるゲームだ
 15歳未満の子供にも外部配信で人気のあるジャンルで、あらゆる企業の案件等が後を絶たないので知らない人間は少ない

 
 「わたし来週誕生日だからディファレント・ワールド始めようと思ってるんだ」

 「なっ」

 俺は父さんを見る

 父さんは頑なに俺の方を見ようとはしない
 父さんは姉妹に甘いので妹にVRデバイスを買い与えるのだろう
 姉さんの時も一言頼まれただけで買ってあげてたからな

 「お父さんはしばらくお小遣い無しよー」

 どうやら妹のVRデバイス代は父さんのポケットマネーから出るらしい
 あきらかに父さんはへこんでいる

 ご愁傷様です

 姉妹に甘すぎるのは良くないが、自己責任ということで納得した










 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

生産職から始まる初めてのVRMMO

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:3,439

アイテムボックスを極めた廃ゲーマー、異世界に転生して無双する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:2,378

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:220pt お気に入り:2,409

魔法世界の幼女に転生した僕は拗らせ百合少女達に溺愛されています!?

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:70

処理中です...