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六章【道標】
6-2 家族
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ーーキンッ、ガキンッーー!
草原に鉄と鉄とがぶつかり合う音、剣声が響いていた。
「じゃあ、アドル。今日はオレに一回でも攻撃を当てれたらお前の勝ちだ」
クリュミケールは笑いながら軽々と剣を振って言い、
「よーし!今日こそやるぞー!」
アドルは両手に二双の剣を持ち、意気込むように気合いを入れた。
今までもこうして稽古ーー剣の手合わせを何度かしてきたが、一度もクリュミケールに勝ったことがない。ましてや、クリュミケールに傷一つ負わせたことすらないのだ。
だから、今日こそはと、地面を蹴り、片方の切っ先を真っ直ぐに向けながら走るが、ブンッーージャキンッーー!!
無情にも、剣を振るう音と、弾かれる音が同時に鳴る。
「あー!剣がっ!!」
アドルは叫び、右手から離れ、くるくると宙を舞う己が剣を見上げ、それは空しくも地面に横たわるように落ちた。
「ううっ!でもっ、もう一本あるもんね!」
アドルはそう言い、左手に握ったもう片方の剣に視線を向けたところで、いつの間にか目の前に立っていたクリュミケールにひょいっとそれを取り上げられる。
「はい、終わり。今日もオレの勝ちだね」
クリュミケールはニヤリと笑った。
「ああああ!!ずるーーーい!!」
アドルは悔しそうに叫び、勢い良く草原に寝転がる。空を仰ぐと、綺麗な青が広がっていた。今日は、良い天気だ。
そんなアドルを見て、クリュミケールは小さく笑い、
「いつまでも‥‥こんな日が続いたらいいな」
アドルと同じように、空を見上げて呟く。そんなクリュミケールをアドルは不思議そうに見た。アドルの視線に気づき、
「さてと。そろそろ朝飯の時間だな。アスヤさんが待ってる」
クリュミケールはニコッと笑って言った。
ーーファイス大陸にある小さな村、ニキータ。
クリュミケールとアドルはこの村で過ごしていた。
「母さん!ただいまー」
アドルが家のドアを開けながら帰宅の挨拶をし、
「お帰りなさい。二人共、また朝から剣の稽古?」
アドルと同じ青い短い髪をした女性ーー彼の母親であるアスヤが言った。
「そうなんですよー、アスヤさん。朝っぱらからアドルはやる気満々で、こっちは叩き起こされて‥‥」
クリュミケールが呆れ気味に言えば、
「あらあら。ありがとうね、いつもアドルの相手をしてくれて。それから‥‥私のことは母と呼んでくれていいといつも言っているでしょう?」
そう、微笑みながらアスヤが言うので、
「でっ、でもっ‥‥なんか、慣れなくて‥‥」
と、クリュミケールは顔を赤くしながら視線を泳がせる。
「あはは!クリュミケールさん照れてるー!おれ達、家族じゃないか!遠慮しすぎだよ!」
アドルが笑いながら言い、クリュミケールは目を細め、その笑顔を眩しそうに見つめた。
◆◆◆◆◆
朝食を終えた後、
「アドル。今日は大切な話があるのだけれど‥‥」
アスヤが少しだけ深刻な顔をして言うので、アドルの隣に座っていたクリュミケールは、
「オレは席を外した方がいいですか?」
その深刻な様子にそう聞くと、
「いえ、大丈夫よ。話というのはね、ファイス王国に行って届けてほしいものがあるのよ」
「届けてほしいもの?」
アドルは首を傾げる。
「ええ。アドル‥‥あなたのお父さんはね、ファイス王国の貴族の生まれだったの。けどあの人は地位も身分も捨てて、この村を選んだわ」
「ええっ!?父さんが!?」
初めて聞く話にアドルは目を丸くした。
「それ以来あの人はファイス王国には一度も帰っていないの。今でもあの人のご家族は国で暮らしていると思うわ‥‥だからこれを‥‥」
アスヤは引き出しから小さな箱を取り出し、
「お父さんの遺品よ。これを届けてほしいの。お父さんの名前を出せば、お父さんの家は簡単に見つかると思うわ」
「父さんの‥‥うん、わかった!明日にでも届けに行ってくる!」
アドルは笑顔で頷く。
「ありがとう、アドル。本当は母さんも行きたいのだけれど‥‥」
そう言って表情を暗くしたアスヤを見て、アドルは口ごもった。
「仕方ないですよ、アスヤさんは体の調子が今あまりよくないんですから」
口ごもってしまったアドルの代わりにクリユミケールが言葉を続ける。
アスヤは最近になってから、体調不良により寝込むことが多くなっていた。
「でも、ファイス国はここからだと三、四日はかかるな‥‥オレも一緒に行くよ、アドル」
「えっ?クリュミケールさん、いいの?」
アドルが困ったように聞くと、クリュミケールはこくりと頷く。
そうして、二人は早速、明日の支度を始めていた。
「あら、こんなに薬草を買ってどうするの?どこか行くの?」
クリュミケールがカゴ一杯に薬草を詰めている為、道具屋の若い女性店員がそう聞けば、
「明日からアドルとファイス国まで遠出するんだ。道中危険だろうからさ」
クリュミケールはそう答える。
薬草は一見ただの葉っぱだが、傷付いた時に口に含むと体力が少し戻ったり、傷の治りも良くなる。それに、携帯食料にもなる。
「そうなんだ。最近、外は物騒だから気を付けてね。アドル君もクリュミケール君も大切な私達の家族なんだから!」
店員は微笑んで言った。
ニキータは小さい村の為、村人同士の交流は深い。村人全員が家族と言ってもおかしくはないのだ。
薬草を買い終え、アドルの家に戻る途中で、
(家族、か)
ふと見上げた真昼の空は、純粋に青く、美しかった。
だが、いつだって、心の中に闇が渦巻くような感覚がある。
それは、罪悪感だとか、そんなーー‥‥。
それぞれの支度が終わった頃には、空に星が輝いていた。
「あれ?母さん、クリュミケールさんは?」
家にクリュミケールがいないことに気づいたアドルはアスヤに尋ねる。
「クリュミケールならさっき、また外に出たわよ」
「まだ支度してるのかな?クリュミケールさん、心配性だからなぁ。おれ、ちょっと捜してくるよ」
だが、クリュミケールの行きそうな所なんて、アドルにはすぐ予想がついた。
それはたぶん、村が一面見渡せる場所。
そこにはやはり、クリュミケールがいた。草原に腰を下ろし、村を眺めている。
「クリュミケールさん。何してるの?」
その声にクリュミケールは振り向き、呆れるように肩を竦めた。
村付近にある小高い丘。そこには美しい光景が広がっている。
「ここに来ると、懐かしいよね。出会った頃もよく、一緒にここに来たし」
アドルはそう言って、クリュミケールの隣に座り込んだ。
「おれは小さかったからよく覚えてないけど、クリュミケールさん、確か傷だらけでこの村に来たんだっけ?」
「‥‥ああ。お前の父さんに運ばれてここに来たんだよ。お前の父さんは命の恩人だ」
クリュミケールはそう言って目を閉じる。
「そっか‥‥父さん、去年まではここにいたのにね‥‥」
「‥‥」
「父さんは‥‥魔物からおれを庇って死んだ。それから母さんの体調も悪くなって‥‥おれが‥‥おれが、弱いから‥‥何も、出来ないから‥‥」
アドルは俯き、拳を強く握る。
「アドル。お前のせいじゃない。お前の父さんはお前を守った、家族を守った。お前は、愛されていたから。でも‥‥」
クリュミケールはぽんぽんっとアドルの頭に手を置き、
「お前が自分を責めているのなら、オレも同罪だ。あの時、オレも他の魔物を相手して、アドル達の側にいれなかった。だから、同じだよ。オレ達は‥‥無力だった。だからこそ、強くなりたいーーそう思うのは、アドルだけじゃないよ」
その言葉に、泣いているのだろうか。俯いたままのアドルは鼻を啜っていた。
「それに、アドル。これからは絶対にオレがなんとかしてやるから。あの時みたいな思いはしない、させない。オレがお前を守る。お前はオレの友達だから」
「‥‥違うよ、クリュミケールさん」
アドルがそう言うので、
「え、違う!?友達じゃないの!?」
クリュミケールが本気で慌てているので、その反応にアドルは笑い、
「おれ達は‥‥家族で、親友ーーでしょ?」
顔を上げたアドルは、にっこりと笑っていた。
草原に鉄と鉄とがぶつかり合う音、剣声が響いていた。
「じゃあ、アドル。今日はオレに一回でも攻撃を当てれたらお前の勝ちだ」
クリュミケールは笑いながら軽々と剣を振って言い、
「よーし!今日こそやるぞー!」
アドルは両手に二双の剣を持ち、意気込むように気合いを入れた。
今までもこうして稽古ーー剣の手合わせを何度かしてきたが、一度もクリュミケールに勝ったことがない。ましてや、クリュミケールに傷一つ負わせたことすらないのだ。
だから、今日こそはと、地面を蹴り、片方の切っ先を真っ直ぐに向けながら走るが、ブンッーージャキンッーー!!
無情にも、剣を振るう音と、弾かれる音が同時に鳴る。
「あー!剣がっ!!」
アドルは叫び、右手から離れ、くるくると宙を舞う己が剣を見上げ、それは空しくも地面に横たわるように落ちた。
「ううっ!でもっ、もう一本あるもんね!」
アドルはそう言い、左手に握ったもう片方の剣に視線を向けたところで、いつの間にか目の前に立っていたクリュミケールにひょいっとそれを取り上げられる。
「はい、終わり。今日もオレの勝ちだね」
クリュミケールはニヤリと笑った。
「ああああ!!ずるーーーい!!」
アドルは悔しそうに叫び、勢い良く草原に寝転がる。空を仰ぐと、綺麗な青が広がっていた。今日は、良い天気だ。
そんなアドルを見て、クリュミケールは小さく笑い、
「いつまでも‥‥こんな日が続いたらいいな」
アドルと同じように、空を見上げて呟く。そんなクリュミケールをアドルは不思議そうに見た。アドルの視線に気づき、
「さてと。そろそろ朝飯の時間だな。アスヤさんが待ってる」
クリュミケールはニコッと笑って言った。
ーーファイス大陸にある小さな村、ニキータ。
クリュミケールとアドルはこの村で過ごしていた。
「母さん!ただいまー」
アドルが家のドアを開けながら帰宅の挨拶をし、
「お帰りなさい。二人共、また朝から剣の稽古?」
アドルと同じ青い短い髪をした女性ーー彼の母親であるアスヤが言った。
「そうなんですよー、アスヤさん。朝っぱらからアドルはやる気満々で、こっちは叩き起こされて‥‥」
クリュミケールが呆れ気味に言えば、
「あらあら。ありがとうね、いつもアドルの相手をしてくれて。それから‥‥私のことは母と呼んでくれていいといつも言っているでしょう?」
そう、微笑みながらアスヤが言うので、
「でっ、でもっ‥‥なんか、慣れなくて‥‥」
と、クリュミケールは顔を赤くしながら視線を泳がせる。
「あはは!クリュミケールさん照れてるー!おれ達、家族じゃないか!遠慮しすぎだよ!」
アドルが笑いながら言い、クリュミケールは目を細め、その笑顔を眩しそうに見つめた。
◆◆◆◆◆
朝食を終えた後、
「アドル。今日は大切な話があるのだけれど‥‥」
アスヤが少しだけ深刻な顔をして言うので、アドルの隣に座っていたクリュミケールは、
「オレは席を外した方がいいですか?」
その深刻な様子にそう聞くと、
「いえ、大丈夫よ。話というのはね、ファイス王国に行って届けてほしいものがあるのよ」
「届けてほしいもの?」
アドルは首を傾げる。
「ええ。アドル‥‥あなたのお父さんはね、ファイス王国の貴族の生まれだったの。けどあの人は地位も身分も捨てて、この村を選んだわ」
「ええっ!?父さんが!?」
初めて聞く話にアドルは目を丸くした。
「それ以来あの人はファイス王国には一度も帰っていないの。今でもあの人のご家族は国で暮らしていると思うわ‥‥だからこれを‥‥」
アスヤは引き出しから小さな箱を取り出し、
「お父さんの遺品よ。これを届けてほしいの。お父さんの名前を出せば、お父さんの家は簡単に見つかると思うわ」
「父さんの‥‥うん、わかった!明日にでも届けに行ってくる!」
アドルは笑顔で頷く。
「ありがとう、アドル。本当は母さんも行きたいのだけれど‥‥」
そう言って表情を暗くしたアスヤを見て、アドルは口ごもった。
「仕方ないですよ、アスヤさんは体の調子が今あまりよくないんですから」
口ごもってしまったアドルの代わりにクリユミケールが言葉を続ける。
アスヤは最近になってから、体調不良により寝込むことが多くなっていた。
「でも、ファイス国はここからだと三、四日はかかるな‥‥オレも一緒に行くよ、アドル」
「えっ?クリュミケールさん、いいの?」
アドルが困ったように聞くと、クリュミケールはこくりと頷く。
そうして、二人は早速、明日の支度を始めていた。
「あら、こんなに薬草を買ってどうするの?どこか行くの?」
クリュミケールがカゴ一杯に薬草を詰めている為、道具屋の若い女性店員がそう聞けば、
「明日からアドルとファイス国まで遠出するんだ。道中危険だろうからさ」
クリュミケールはそう答える。
薬草は一見ただの葉っぱだが、傷付いた時に口に含むと体力が少し戻ったり、傷の治りも良くなる。それに、携帯食料にもなる。
「そうなんだ。最近、外は物騒だから気を付けてね。アドル君もクリュミケール君も大切な私達の家族なんだから!」
店員は微笑んで言った。
ニキータは小さい村の為、村人同士の交流は深い。村人全員が家族と言ってもおかしくはないのだ。
薬草を買い終え、アドルの家に戻る途中で、
(家族、か)
ふと見上げた真昼の空は、純粋に青く、美しかった。
だが、いつだって、心の中に闇が渦巻くような感覚がある。
それは、罪悪感だとか、そんなーー‥‥。
それぞれの支度が終わった頃には、空に星が輝いていた。
「あれ?母さん、クリュミケールさんは?」
家にクリュミケールがいないことに気づいたアドルはアスヤに尋ねる。
「クリュミケールならさっき、また外に出たわよ」
「まだ支度してるのかな?クリュミケールさん、心配性だからなぁ。おれ、ちょっと捜してくるよ」
だが、クリュミケールの行きそうな所なんて、アドルにはすぐ予想がついた。
それはたぶん、村が一面見渡せる場所。
そこにはやはり、クリュミケールがいた。草原に腰を下ろし、村を眺めている。
「クリュミケールさん。何してるの?」
その声にクリュミケールは振り向き、呆れるように肩を竦めた。
村付近にある小高い丘。そこには美しい光景が広がっている。
「ここに来ると、懐かしいよね。出会った頃もよく、一緒にここに来たし」
アドルはそう言って、クリュミケールの隣に座り込んだ。
「おれは小さかったからよく覚えてないけど、クリュミケールさん、確か傷だらけでこの村に来たんだっけ?」
「‥‥ああ。お前の父さんに運ばれてここに来たんだよ。お前の父さんは命の恩人だ」
クリュミケールはそう言って目を閉じる。
「そっか‥‥父さん、去年まではここにいたのにね‥‥」
「‥‥」
「父さんは‥‥魔物からおれを庇って死んだ。それから母さんの体調も悪くなって‥‥おれが‥‥おれが、弱いから‥‥何も、出来ないから‥‥」
アドルは俯き、拳を強く握る。
「アドル。お前のせいじゃない。お前の父さんはお前を守った、家族を守った。お前は、愛されていたから。でも‥‥」
クリュミケールはぽんぽんっとアドルの頭に手を置き、
「お前が自分を責めているのなら、オレも同罪だ。あの時、オレも他の魔物を相手して、アドル達の側にいれなかった。だから、同じだよ。オレ達は‥‥無力だった。だからこそ、強くなりたいーーそう思うのは、アドルだけじゃないよ」
その言葉に、泣いているのだろうか。俯いたままのアドルは鼻を啜っていた。
「それに、アドル。これからは絶対にオレがなんとかしてやるから。あの時みたいな思いはしない、させない。オレがお前を守る。お前はオレの友達だから」
「‥‥違うよ、クリュミケールさん」
アドルがそう言うので、
「え、違う!?友達じゃないの!?」
クリュミケールが本気で慌てているので、その反応にアドルは笑い、
「おれ達は‥‥家族で、親友ーーでしょ?」
顔を上げたアドルは、にっこりと笑っていた。
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