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第一話 女神による盤上の世界フィドヘル
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明かりの落とされた社内には、僕の眼前にだけ光は灯る。二十のデスクが並ぶオフィスは昼間の喧騒を忘れてしまうくらいに静まり返っていた。
疲れ切った体はスーツによってかろうじて形を成している。ぐったりとデスクにもたれながら表示される図表に目を通す。顧客の情報に目を通して効率的な商談を行うために準備を欠かさない。
仕事をうまくこなすには、仕事のための仕事が必要だ。努力をしなければならない。
他の同僚が定時で帰ろうとも、努力だけは続ける。結果が伴わなくとも努力はいつか自分を救ってくれる。ずっと、ずっと変わらない。幼い時からずっと報われずとも救いを乞うている。
今日も誰もいなくなったオフィスでひとり、画面を見つめ続けている。
ふいに肩に手が置かれるのを感じた。振り向き見上げると、禿げ上がった頭にでっぷりとした腹部。おおよそ鍛えることなどまるでしていない緩みきった肉体で、上司が僕を見下げていた。
「高橋 浩也くん。今日も熱心に頑張っているね」
言葉とは裏腹に上司の言葉は冷たい温度をまとっている。いつのも苦言だろう。結果を伴わず愚直に、作業を続けている僕を上司が鬱陶しく感じていることを知っている。
「えぇ。明日の商談に備えて準備を・・・」
画面から目を離さずに答えると、わざとらしく聞こえるため息が聞こえる。
「あのなぁ。まぁとりあえず・・・こっちを向こうか」
上司の言葉に従い、僕は椅子を回転させて上司と向き直る。口元を歪めた上司は眉間にシワを寄せて腰に手を当てた。
「毎日毎日さ。はっきり言って迷惑なんだよ。そんなに頑張っている姿を見せられてはさ。まるで俺たちが努力していないように見えないか? そんなことは考えたことないか?」
ないよな。と肩を落とす上司に僕はすみません。と頭を下げる。何に対して謝っているのかは自分でもわからない。
「謝っていればいいと思っているだろう? それにしてもこんなに努力して業績は下から数えた方が早い。努力だけでは評価されない。むしろ努力をしていて報われないのだから、才能がないんじゃないか?」
才能。その言葉を僕は飲み込む。鉛のように重たい言葉が胃の奥底に沈み込むのを感じた。とにかくもう帰れ。と上司は踵を返す。
これもいつものことだから仕方がない。僕は身支度を整えて会社の外に出る。
賑やかな往来は深夜へ近づき静まり返る。車道を通る車はヘッドライトで川を作り、歩道には何人かの男女が歩いていた。信号機が赤色であることを確認し、横断歩道の前で立ち止まる。
才能。という言葉をつぶやいてみる。幼い頃から呪いのように付きまとってくる言葉。
遠い昔は努力さえしていれば、報われる日がくると信じていた。誰よりも勉学に励み、体を鍛え、自分が最も優れていると示したかった。
今でも変わることはないが、疑ってはいる。僕の人生は報われず、ただ目の前に転がる膨大な課題を解き続け、誤り、頭を下げ成すべくことすら知らないまま息絶えるのだと。
人生に意味などないのだ。努力も才能のうちだというのは成功者の言葉である。
愚直さに続けているだけで結果が伴わなければ、いつしか努力とすら認めてもらえなくなる。愚かで、不器用な厄介者。それが僕であることはずっと前に気がついた。
幼い頃から同じだった。両親や周囲の期待に応えたかった。漫画やゲーム、テレビの話題で盛り上がるクラスメートを尻目に、与えられた宿題を必要以上に続けた。寝る間を割いて勉学に励み、体だけは鍛え続けた。
努力をし誠実であること。いつか報われる日を信じて続ける。理想である自分を描き続ける。それが僕であった。僕であるために、僕が僕を肯定できる唯一の理由だ。
ただ期待を裏切り続けた僕にいつしか両親は優しい目のまま死刑を宣告する。
「浩也はただ正直に生きていればいいの。頑張りすぎないでね。無駄なことはしなくて大丈夫なの」
自分の生を否定されても僕は自分を変えることができなかった。自分は自分を否定したくなかった。
幼い頃に聴いた母の言葉が、今では僕に対する呪いに感じる。努力しても報われないのはわかっていて、努力しなければ僕は僕自身を否定してしまうから。
このまま目の前に立ちふさがる現実から、逃げるように努力を続けなければならない。
ジムに行くには遅すぎるか。
見上げる信号機はまだ赤色を示していた。留まることを知らない車は車道を流れていく。しかし音が聞こえなかった。僕の背筋に冷たい汗が流れる。世界が色味を落とし影は光を飲み込んで、世界が夜より深い闇に包まれていく。
同時に、ふわりと花の匂いがした。むせかえるような甘い香り。ラベンダーを煮詰めたような華々しくも毒々しい香りだ。
「痛みは一瞬。あとは気持ちがいいよ。ようこそ。盤上の世界『フィドヘル』へ」
耳元で声がした。辺りを見渡しても僕以外の姿はない。いや、僕以外の姿が失われている。
いけない。過度なストレスは体に異常を示す。幻聴が聞こえるなどまともな状態ではない。
病院に行かなければ。明日の商談に間に合わない。
焦って足を踏み出した時、眼前は光に包まれた。よかった。と肩の力を抜いた時、視界を覆う光が車のヘッドライトだということに気がついた。
人生の最期はこんなものか。我ながら下らない人生だった。
混乱も脳裏を駆け巡る走馬灯もない。あっけない、くだらない。何も残せない人生だった。せめて誰かに肯定してもらいたかった。生きていてもよいと。自分は間違っていなかったと。
僕は瞳を閉じる。強い衝撃と共に体が宙に浮くのがわかった。視界は赤く染まっていく。死を覚悟し弛緩した肉体。しかしいつまで経っても地面に叩きつけられることはなかった。
それほど高く飛ばされてしまったのかと目を開くと、僕の体が浮いていた。目の前には星空が見える。
大小の光を反射するガラス玉と同じ大きさの星々が、海ほたるの漂う海さながらに広がっていた。地面は深い海底に沈んでしまったと思えるほどの黒に染まっている。
再び目を閉じようとすると、体が緩やかに落下を初めて反転し、足が地面に着いた。いや地面ではない。星空の上に立っていた。
視線を正面へ向けると、広い円卓が見えた。星々の光に反射して輪郭だけが浮かび上がった。象牙色の磨かれた固い石の円卓を中央に、向かい合う白と黒が見えた。
足を踏み出していないのにもかかわらず、僕の体は円卓へと引き寄せられる。
焦点が徐々に星空に慣れてくると、白と黒でしか見えなかった輪郭がはっきりとした。
「本当によかったの? なんとも取り柄のなさそうな人だけど。こう・・・もっと将
来有望な少年少女や、百戦錬磨の無骨な紳士みたいな人がよかったんじゃない? センスがないね。相変わらずに、変態だ」
白い女性は円卓に頬杖を付きながら言った。編み込まれた長い白銀色の髪が、腰掛ける透明な椅子から地面へ流れる。髪の色と同じまつげは頬に影を落とし、彫刻のような横顔に僕は思わず息を飲んだ。真珠が並び色味を変える白銀で装飾されたドレスは足元を隠す。
頭を飾るティアラにはコントラストを変える真珠がはめ込まれていた。多くの白で染められた女性はあくびをかみ殺す。
「いいではないか。それはお主の好みだろう? こやつはなんとも無様に苦労してくれそうではないか。私の選んだ彼女は本当に楽しませてくれる」
センスがない。と口をとがらせる白い女性に、黒い女性は歪な笑みを浮かべた。
綺麗に整えられた白い女性に対して、黒い女性の髪は寝起きだと言わんばかりに毛先は方々へ自由に伸びている。長い前髪は瞳を隠し、間からは黒く染められた目元が見えた。病的なまでに華奢な手足は黒いドレスに包まれて星々の光を反射している。
胸元は開き白い肩から袖にかけて、カラスの羽を模した装飾がなされている。
「ここはどこだ? あなたたちは?」
僕がやっとのことで口を開くと、ふたりは互いに顔を見合わせ、高らかに笑う。
「ほぅら。やっぱり察しが悪い。普通ならあなたたちが女神さまですか? 今から僕は夢物語のような世界に旅立つのですか? なんて言うんじゃない? 今まで招かれた人と同じように」
「だからおもしろいのだろう? 知らない。まるで現代で生まれた異端。世界に置いていかれた人間。妾が黒で彩る世界にふさわしい」
言っていることに理解が及ばない。眉間にシワを寄せてると、黒い女性は席を立つ。そして音もなく僕の後ろに立つと、顎先を僕の肩に乗せた。黒いドレスとは対照的に白い両手が僕を包む。
「白の女神。だからこそ妾は、黒の女神たる妾は彼を選んだのだよ。一度きりの転生の秘宝で彼女が望み、妾が選んだ。彼女の驚く顔が浮かぶ」
趣味が悪い。と白い女神と呼ばれた女性はそっぽを向いた。肩に乗る黒い女神の顎先は氷のように冷たい。硬い髪が僕の頬を撫でくすぐったかった。耳元で黒い女神のささやくような声がする。
「察しの悪いお主に黒い女神が直々に教えてやろう。すべては教えてやれぬがな。残念ながらお主は死んだ。鋼鉄の塊に跳ね飛ばされて、地面に叩きつけられ死んだ。正しくは殺された。苦しむ間もなかっただろう? そして妾がお主の魂をすくい上げた。妾たちの世界に招くためにな。ガラスの盤上を白で染めるか、それとも黒で塗りつぶすか。それだけの世界に投じられた小石だよ」
黒い女神は右手を伸ばす。指先は円卓の中央を示し、円卓を覆い尽くすような羊皮紙が浮かび上がる。中央に記された湖の中央には岩壁に包まれた都市が浮かび上がった。都市の奥には白い四つの塔に囲まれた城がある。北欧に見られる建築よりもずっと巨大に見える。都市を囲む湖の外には深い森が浮かび上がり、幾つかの村が見えた。まるで絵本のような小さな世界だった。
「これはほんの世界の一端だ。それでもお主にとっては世界のすべてだ」
僕は言葉を出せない。考えをまとめるのに必死だった。女神が言うに、僕はすでに命を失い、代わりに違う世界で生きるというらしい。馬鹿らしい話だ。
どこかの寝物語によくある話。それでも寄りかかる黒の魔女から伝わる冷たい温度が、これが現実だと伝えている。
「もちろん。タダで次の世界に向かわせることなんてしない。妾が、妾たちが女神の協定に従い力をお主に与えよう。妾たちからの贈り物だ。思い浮かまま望む力を言葉にしてみろ? 今この瞬間からお主は力を得る。白の女神の祝福か、はたまた黒の女神の呪いか。まぁ。選ぶのは妾たちだがね」
「それが・・・何になるんだ?」
「なんにでもなる。思いのままだ。すべてを切り裂く剣、もしくは事象の変化を拒絶する盾、未来すら見通す叡智だって得ることができる」
「冗談みたいな力だな。なぜ力が必要になるんだ? 力を得てもギフトとやらが自分に与えられたとどうして確認ができる? 岩でも砕くか? そう簡単に人は変わらないだろう?」
「なんか面倒くさいね。確認しなくてもステータスでわかる。フィドヘルに呼ばれた転生し者に与えられる共通の力。勝手に自分で確認したらいいでしょう? あなたが望むなら白の女神のギフト・・・あんたが理解できるように言うと、才能を与えてやってもいい」
能力が数値で表せてしまう。それは今まで幾度も味わってきた。結果は数値だ。どんなに努力をしたとしても、目の前に現れる数字で人は判断される。
人より劣っているか。人より優れているか。過程が考慮されることはない。
判断基準は感情を伴わない、無機質な数字。何度も絶望し膝を折った無慈悲な線の羅列。なぜ死んでからも、下らない数値なんて見なければならないのだ。
それに祝福か呪いだと? 才能を選び次なる世界で生きろというのか。ならば今までの僕の努力はなんだったというのだ。こんなにも容易く才能を与えられて、のうのうと生きて行けというのか。僕は今まで紡いできた自分の努力だけは無駄にしたくはない。
目も眩むような悪魔のささやき。自分を否定してまで僕は生きたくない。
「嫌だな。僕はいらない、ギフトも。ステータスもいらない」
白の女神が頬から手を離して目を丸めるのが見えた。耳元では黒い女神がクスクスと笑い続けている。
「人を数値で判断するなんて必要ない。先入観は目を曇らせる。ギフトとやらもいらない。人智を超える力など不幸を招くだけだ。まだわからないことばかりだが・・・その盤上でしかない世界で生きて行けというのならば、次の命はありがたく受け取る。一度は失った命だから。まだ実感はないけれど」
あのねぇ。と白の女神は額をコツコツと人差し指で叩いている。女神も困ることがあるのだと、おかしい。ひどく眉間にシワを寄せ不機嫌に口元を歪ませた白の女神が立ち上がり、腰に手を当て僕へ人差し指を向ける。
「この世界はあなたが今までいた世界とは違うの。人語を喋る獣たち、異形の姿をした妖や精霊たちが闊歩する世界。そしてあなたよりずっと素直な転生者たち。そんな世界でギフトも無しに? 無能なままで生きるというの?」
「今までと変わらない。やることも変わらない。努力を続けるだけだ。才能なんて必要ない。自分で掴み取る」
何を?と聞かれてもきっと答えられない。僕の心中を見透かしてか、白い女神は睨みつけるばかりで、言葉を続けることはしなかった。
意地になっている。ふたりの女神からなされた提案が、あまりにも今までの自分を否定するように感じたから。泣き叫ぶほどに僕が望んだ、人にはない才能だったから。
笑いをかみ殺していた黒の魔女は、耐えきれずに高らかに笑った。僕から両手を離して、天を仰ぎながら狂気じみた笑い声を上げる。
「やはりお主もそうだったか。やはり人はうんざりするほど馬鹿らしい。かつて私が呪った女と同じではないか。姿形や言葉の彩りは違えどちゃんと呪いを与えるにはふさわしい。長く永遠に停滞を始めた世界を進めるには相応しい」
ただこじらせているだけでしょう。と白の女神は肩の力を抜く。僕が黒い女神を振り返ると両手をだらりと垂らして、黒の魔女は口角を上げる。夜空に浮かぶ真っ赤な三日月のような、赤い唇でかたどられた唇。
「私はパス。やっぱりコイツはあんたにあげる。もう十分に手駒は揃っているから。面倒くさいヤツはお断り。人であっても、人じゃないみたい」
「目的はなんだ? どうして・・・人を殺してまで盤上に呼ぶ?」
「言っただろう? 盤面を染めるためだと。白か黒。どちらかで染まった時、妾たちの目的は終わる。神々の遊びが終焉を迎える。ようやく。果てなく憂いに満ちた世界が終わる」
ひきつるような奇妙な笑みで黒の魔女は笑い続ける。両手を広げてくるくると頭上を見上げて回り続けた。
「お主が選ばないというのなら、妾が一方的に与えよう。白の女神は人を愛する。人を祝福し魔を打ち払う力を与える。黒の女神は人を呪う。呪詛を与えて魔を生み出す。互いに共通するのは異世界から人を呼べるという力。呪われた力だ。妾はそっちのやかましい女と違い、人が好かん。ゆえに少女へ与えた。一度だけな。願うことを許した。そうして妾たちは拮抗する世界を互いに染め続ける。女神の器を超えぬ範囲でしか、妾たちは祝福も呪詛も与えられないが、人の境界を越える力だ」
天を仰ぎ続ける黒の女神は両手を広げたまま僕に抱き付いた。僕は黒の女神に溶けていく。肉体の境など存在しないかのように。
「もう勝手にしなさい。今ごろあんたが新しい転生者を呼んでも盤面は変わらない。それもこんな無能な変態の男を!」
白の女神の声は黒い女神に注がれる。体の中で先ほどまで聞いていた黒い女神の声がした。
「もう妾は飽いておったのだ。妾の力はお主を守るだろう。お主の体に妾の体が溶け込むほどにお主は力を増すだろう。呪え。呪え。自分を呪え。終わらぬ舞に身を委ねよ。世界を知れば、自ずと帰る方法がわかるだろう。選択だけは平等に与えられる」
黒い女神の体は僕の中へと溶けていく。体の芯から温度が抜け落ちていく感覚を覚える。同時に強い眠気も襲ってきた。白の女神が叫んでいる。音は聞こえても言葉は脳裏に響かない。
そして僕は目を閉じた。冷たく指先までしびれる感覚は、紛れもなく死であった。
明かりの落とされた社内には、僕の眼前にだけ光は灯る。二十のデスクが並ぶオフィスは昼間の喧騒を忘れてしまうくらいに静まり返っていた。
疲れ切った体はスーツによってかろうじて形を成している。ぐったりとデスクにもたれながら表示される図表に目を通す。顧客の情報に目を通して効率的な商談を行うために準備を欠かさない。
仕事をうまくこなすには、仕事のための仕事が必要だ。努力をしなければならない。
他の同僚が定時で帰ろうとも、努力だけは続ける。結果が伴わなくとも努力はいつか自分を救ってくれる。ずっと、ずっと変わらない。幼い時からずっと報われずとも救いを乞うている。
今日も誰もいなくなったオフィスでひとり、画面を見つめ続けている。
ふいに肩に手が置かれるのを感じた。振り向き見上げると、禿げ上がった頭にでっぷりとした腹部。おおよそ鍛えることなどまるでしていない緩みきった肉体で、上司が僕を見下げていた。
「高橋 浩也くん。今日も熱心に頑張っているね」
言葉とは裏腹に上司の言葉は冷たい温度をまとっている。いつのも苦言だろう。結果を伴わず愚直に、作業を続けている僕を上司が鬱陶しく感じていることを知っている。
「えぇ。明日の商談に備えて準備を・・・」
画面から目を離さずに答えると、わざとらしく聞こえるため息が聞こえる。
「あのなぁ。まぁとりあえず・・・こっちを向こうか」
上司の言葉に従い、僕は椅子を回転させて上司と向き直る。口元を歪めた上司は眉間にシワを寄せて腰に手を当てた。
「毎日毎日さ。はっきり言って迷惑なんだよ。そんなに頑張っている姿を見せられてはさ。まるで俺たちが努力していないように見えないか? そんなことは考えたことないか?」
ないよな。と肩を落とす上司に僕はすみません。と頭を下げる。何に対して謝っているのかは自分でもわからない。
「謝っていればいいと思っているだろう? それにしてもこんなに努力して業績は下から数えた方が早い。努力だけでは評価されない。むしろ努力をしていて報われないのだから、才能がないんじゃないか?」
才能。その言葉を僕は飲み込む。鉛のように重たい言葉が胃の奥底に沈み込むのを感じた。とにかくもう帰れ。と上司は踵を返す。
これもいつものことだから仕方がない。僕は身支度を整えて会社の外に出る。
賑やかな往来は深夜へ近づき静まり返る。車道を通る車はヘッドライトで川を作り、歩道には何人かの男女が歩いていた。信号機が赤色であることを確認し、横断歩道の前で立ち止まる。
才能。という言葉をつぶやいてみる。幼い頃から呪いのように付きまとってくる言葉。
遠い昔は努力さえしていれば、報われる日がくると信じていた。誰よりも勉学に励み、体を鍛え、自分が最も優れていると示したかった。
今でも変わることはないが、疑ってはいる。僕の人生は報われず、ただ目の前に転がる膨大な課題を解き続け、誤り、頭を下げ成すべくことすら知らないまま息絶えるのだと。
人生に意味などないのだ。努力も才能のうちだというのは成功者の言葉である。
愚直さに続けているだけで結果が伴わなければ、いつしか努力とすら認めてもらえなくなる。愚かで、不器用な厄介者。それが僕であることはずっと前に気がついた。
幼い頃から同じだった。両親や周囲の期待に応えたかった。漫画やゲーム、テレビの話題で盛り上がるクラスメートを尻目に、与えられた宿題を必要以上に続けた。寝る間を割いて勉学に励み、体だけは鍛え続けた。
努力をし誠実であること。いつか報われる日を信じて続ける。理想である自分を描き続ける。それが僕であった。僕であるために、僕が僕を肯定できる唯一の理由だ。
ただ期待を裏切り続けた僕にいつしか両親は優しい目のまま死刑を宣告する。
「浩也はただ正直に生きていればいいの。頑張りすぎないでね。無駄なことはしなくて大丈夫なの」
自分の生を否定されても僕は自分を変えることができなかった。自分は自分を否定したくなかった。
幼い頃に聴いた母の言葉が、今では僕に対する呪いに感じる。努力しても報われないのはわかっていて、努力しなければ僕は僕自身を否定してしまうから。
このまま目の前に立ちふさがる現実から、逃げるように努力を続けなければならない。
ジムに行くには遅すぎるか。
見上げる信号機はまだ赤色を示していた。留まることを知らない車は車道を流れていく。しかし音が聞こえなかった。僕の背筋に冷たい汗が流れる。世界が色味を落とし影は光を飲み込んで、世界が夜より深い闇に包まれていく。
同時に、ふわりと花の匂いがした。むせかえるような甘い香り。ラベンダーを煮詰めたような華々しくも毒々しい香りだ。
「痛みは一瞬。あとは気持ちがいいよ。ようこそ。盤上の世界『フィドヘル』へ」
耳元で声がした。辺りを見渡しても僕以外の姿はない。いや、僕以外の姿が失われている。
いけない。過度なストレスは体に異常を示す。幻聴が聞こえるなどまともな状態ではない。
病院に行かなければ。明日の商談に間に合わない。
焦って足を踏み出した時、眼前は光に包まれた。よかった。と肩の力を抜いた時、視界を覆う光が車のヘッドライトだということに気がついた。
人生の最期はこんなものか。我ながら下らない人生だった。
混乱も脳裏を駆け巡る走馬灯もない。あっけない、くだらない。何も残せない人生だった。せめて誰かに肯定してもらいたかった。生きていてもよいと。自分は間違っていなかったと。
僕は瞳を閉じる。強い衝撃と共に体が宙に浮くのがわかった。視界は赤く染まっていく。死を覚悟し弛緩した肉体。しかしいつまで経っても地面に叩きつけられることはなかった。
それほど高く飛ばされてしまったのかと目を開くと、僕の体が浮いていた。目の前には星空が見える。
大小の光を反射するガラス玉と同じ大きさの星々が、海ほたるの漂う海さながらに広がっていた。地面は深い海底に沈んでしまったと思えるほどの黒に染まっている。
再び目を閉じようとすると、体が緩やかに落下を初めて反転し、足が地面に着いた。いや地面ではない。星空の上に立っていた。
視線を正面へ向けると、広い円卓が見えた。星々の光に反射して輪郭だけが浮かび上がった。象牙色の磨かれた固い石の円卓を中央に、向かい合う白と黒が見えた。
足を踏み出していないのにもかかわらず、僕の体は円卓へと引き寄せられる。
焦点が徐々に星空に慣れてくると、白と黒でしか見えなかった輪郭がはっきりとした。
「本当によかったの? なんとも取り柄のなさそうな人だけど。こう・・・もっと将
来有望な少年少女や、百戦錬磨の無骨な紳士みたいな人がよかったんじゃない? センスがないね。相変わらずに、変態だ」
白い女性は円卓に頬杖を付きながら言った。編み込まれた長い白銀色の髪が、腰掛ける透明な椅子から地面へ流れる。髪の色と同じまつげは頬に影を落とし、彫刻のような横顔に僕は思わず息を飲んだ。真珠が並び色味を変える白銀で装飾されたドレスは足元を隠す。
頭を飾るティアラにはコントラストを変える真珠がはめ込まれていた。多くの白で染められた女性はあくびをかみ殺す。
「いいではないか。それはお主の好みだろう? こやつはなんとも無様に苦労してくれそうではないか。私の選んだ彼女は本当に楽しませてくれる」
センスがない。と口をとがらせる白い女性に、黒い女性は歪な笑みを浮かべた。
綺麗に整えられた白い女性に対して、黒い女性の髪は寝起きだと言わんばかりに毛先は方々へ自由に伸びている。長い前髪は瞳を隠し、間からは黒く染められた目元が見えた。病的なまでに華奢な手足は黒いドレスに包まれて星々の光を反射している。
胸元は開き白い肩から袖にかけて、カラスの羽を模した装飾がなされている。
「ここはどこだ? あなたたちは?」
僕がやっとのことで口を開くと、ふたりは互いに顔を見合わせ、高らかに笑う。
「ほぅら。やっぱり察しが悪い。普通ならあなたたちが女神さまですか? 今から僕は夢物語のような世界に旅立つのですか? なんて言うんじゃない? 今まで招かれた人と同じように」
「だからおもしろいのだろう? 知らない。まるで現代で生まれた異端。世界に置いていかれた人間。妾が黒で彩る世界にふさわしい」
言っていることに理解が及ばない。眉間にシワを寄せてると、黒い女性は席を立つ。そして音もなく僕の後ろに立つと、顎先を僕の肩に乗せた。黒いドレスとは対照的に白い両手が僕を包む。
「白の女神。だからこそ妾は、黒の女神たる妾は彼を選んだのだよ。一度きりの転生の秘宝で彼女が望み、妾が選んだ。彼女の驚く顔が浮かぶ」
趣味が悪い。と白い女神と呼ばれた女性はそっぽを向いた。肩に乗る黒い女神の顎先は氷のように冷たい。硬い髪が僕の頬を撫でくすぐったかった。耳元で黒い女神のささやくような声がする。
「察しの悪いお主に黒い女神が直々に教えてやろう。すべては教えてやれぬがな。残念ながらお主は死んだ。鋼鉄の塊に跳ね飛ばされて、地面に叩きつけられ死んだ。正しくは殺された。苦しむ間もなかっただろう? そして妾がお主の魂をすくい上げた。妾たちの世界に招くためにな。ガラスの盤上を白で染めるか、それとも黒で塗りつぶすか。それだけの世界に投じられた小石だよ」
黒い女神は右手を伸ばす。指先は円卓の中央を示し、円卓を覆い尽くすような羊皮紙が浮かび上がる。中央に記された湖の中央には岩壁に包まれた都市が浮かび上がった。都市の奥には白い四つの塔に囲まれた城がある。北欧に見られる建築よりもずっと巨大に見える。都市を囲む湖の外には深い森が浮かび上がり、幾つかの村が見えた。まるで絵本のような小さな世界だった。
「これはほんの世界の一端だ。それでもお主にとっては世界のすべてだ」
僕は言葉を出せない。考えをまとめるのに必死だった。女神が言うに、僕はすでに命を失い、代わりに違う世界で生きるというらしい。馬鹿らしい話だ。
どこかの寝物語によくある話。それでも寄りかかる黒の魔女から伝わる冷たい温度が、これが現実だと伝えている。
「もちろん。タダで次の世界に向かわせることなんてしない。妾が、妾たちが女神の協定に従い力をお主に与えよう。妾たちからの贈り物だ。思い浮かまま望む力を言葉にしてみろ? 今この瞬間からお主は力を得る。白の女神の祝福か、はたまた黒の女神の呪いか。まぁ。選ぶのは妾たちだがね」
「それが・・・何になるんだ?」
「なんにでもなる。思いのままだ。すべてを切り裂く剣、もしくは事象の変化を拒絶する盾、未来すら見通す叡智だって得ることができる」
「冗談みたいな力だな。なぜ力が必要になるんだ? 力を得てもギフトとやらが自分に与えられたとどうして確認ができる? 岩でも砕くか? そう簡単に人は変わらないだろう?」
「なんか面倒くさいね。確認しなくてもステータスでわかる。フィドヘルに呼ばれた転生し者に与えられる共通の力。勝手に自分で確認したらいいでしょう? あなたが望むなら白の女神のギフト・・・あんたが理解できるように言うと、才能を与えてやってもいい」
能力が数値で表せてしまう。それは今まで幾度も味わってきた。結果は数値だ。どんなに努力をしたとしても、目の前に現れる数字で人は判断される。
人より劣っているか。人より優れているか。過程が考慮されることはない。
判断基準は感情を伴わない、無機質な数字。何度も絶望し膝を折った無慈悲な線の羅列。なぜ死んでからも、下らない数値なんて見なければならないのだ。
それに祝福か呪いだと? 才能を選び次なる世界で生きろというのか。ならば今までの僕の努力はなんだったというのだ。こんなにも容易く才能を与えられて、のうのうと生きて行けというのか。僕は今まで紡いできた自分の努力だけは無駄にしたくはない。
目も眩むような悪魔のささやき。自分を否定してまで僕は生きたくない。
「嫌だな。僕はいらない、ギフトも。ステータスもいらない」
白の女神が頬から手を離して目を丸めるのが見えた。耳元では黒い女神がクスクスと笑い続けている。
「人を数値で判断するなんて必要ない。先入観は目を曇らせる。ギフトとやらもいらない。人智を超える力など不幸を招くだけだ。まだわからないことばかりだが・・・その盤上でしかない世界で生きて行けというのならば、次の命はありがたく受け取る。一度は失った命だから。まだ実感はないけれど」
あのねぇ。と白の女神は額をコツコツと人差し指で叩いている。女神も困ることがあるのだと、おかしい。ひどく眉間にシワを寄せ不機嫌に口元を歪ませた白の女神が立ち上がり、腰に手を当て僕へ人差し指を向ける。
「この世界はあなたが今までいた世界とは違うの。人語を喋る獣たち、異形の姿をした妖や精霊たちが闊歩する世界。そしてあなたよりずっと素直な転生者たち。そんな世界でギフトも無しに? 無能なままで生きるというの?」
「今までと変わらない。やることも変わらない。努力を続けるだけだ。才能なんて必要ない。自分で掴み取る」
何を?と聞かれてもきっと答えられない。僕の心中を見透かしてか、白い女神は睨みつけるばかりで、言葉を続けることはしなかった。
意地になっている。ふたりの女神からなされた提案が、あまりにも今までの自分を否定するように感じたから。泣き叫ぶほどに僕が望んだ、人にはない才能だったから。
笑いをかみ殺していた黒の魔女は、耐えきれずに高らかに笑った。僕から両手を離して、天を仰ぎながら狂気じみた笑い声を上げる。
「やはりお主もそうだったか。やはり人はうんざりするほど馬鹿らしい。かつて私が呪った女と同じではないか。姿形や言葉の彩りは違えどちゃんと呪いを与えるにはふさわしい。長く永遠に停滞を始めた世界を進めるには相応しい」
ただこじらせているだけでしょう。と白の女神は肩の力を抜く。僕が黒い女神を振り返ると両手をだらりと垂らして、黒の魔女は口角を上げる。夜空に浮かぶ真っ赤な三日月のような、赤い唇でかたどられた唇。
「私はパス。やっぱりコイツはあんたにあげる。もう十分に手駒は揃っているから。面倒くさいヤツはお断り。人であっても、人じゃないみたい」
「目的はなんだ? どうして・・・人を殺してまで盤上に呼ぶ?」
「言っただろう? 盤面を染めるためだと。白か黒。どちらかで染まった時、妾たちの目的は終わる。神々の遊びが終焉を迎える。ようやく。果てなく憂いに満ちた世界が終わる」
ひきつるような奇妙な笑みで黒の魔女は笑い続ける。両手を広げてくるくると頭上を見上げて回り続けた。
「お主が選ばないというのなら、妾が一方的に与えよう。白の女神は人を愛する。人を祝福し魔を打ち払う力を与える。黒の女神は人を呪う。呪詛を与えて魔を生み出す。互いに共通するのは異世界から人を呼べるという力。呪われた力だ。妾はそっちのやかましい女と違い、人が好かん。ゆえに少女へ与えた。一度だけな。願うことを許した。そうして妾たちは拮抗する世界を互いに染め続ける。女神の器を超えぬ範囲でしか、妾たちは祝福も呪詛も与えられないが、人の境界を越える力だ」
天を仰ぎ続ける黒の女神は両手を広げたまま僕に抱き付いた。僕は黒の女神に溶けていく。肉体の境など存在しないかのように。
「もう勝手にしなさい。今ごろあんたが新しい転生者を呼んでも盤面は変わらない。それもこんな無能な変態の男を!」
白の女神の声は黒い女神に注がれる。体の中で先ほどまで聞いていた黒い女神の声がした。
「もう妾は飽いておったのだ。妾の力はお主を守るだろう。お主の体に妾の体が溶け込むほどにお主は力を増すだろう。呪え。呪え。自分を呪え。終わらぬ舞に身を委ねよ。世界を知れば、自ずと帰る方法がわかるだろう。選択だけは平等に与えられる」
黒い女神の体は僕の中へと溶けていく。体の芯から温度が抜け落ちていく感覚を覚える。同時に強い眠気も襲ってきた。白の女神が叫んでいる。音は聞こえても言葉は脳裏に響かない。
そして僕は目を閉じた。冷たく指先までしびれる感覚は、紛れもなく死であった。
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【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
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僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界転生~チート魔法でスローライフ
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