昔々の幼なじみの

山法師

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17 ヨウシアの独白2

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 一縷の希望が、叶わないと安心していた望みが、心を埋め尽くした。

「見ないように、すればするほど見てしまうんだ。情けない」

 名を呼ばれた。最早忘れかけていたその響き。君の声は、とても甘い。
 交わした約束は、忘れた事なんて一度としてない。
 君は、君との約束は。……有り得ないからこそ、あんなにも煌めいていたのに。
 もしかしたらと、砂粒ほどでも可能性を願ってしまった。
 それは目が眩んで、身を灼かれる──荒唐無稽な夢。

(僕は、人ではない。何者でもない)

 あやふやな化け物と、そう思う自分自身が化け物なのだ。その化け物は今、粉々に砕けそうになっている。

「……でも、ダメなんだ」

 それは、何の解決にもなりはしない。

「いつまでもこうしていたから、君が来てしまったのかな」

 覗き込みながら、問いかける。答えは返ってこない。それに寂しさを覚え、そんな自分に呆れかえる。
 自分が眠らせたクセに、と、皮肉げに、歪な口がより歪んだ。
 何のために眠らせたのか。何のために奥底に、今まさに閉じ込めているのか。

(僕のためだ)

 己の弱さを、卑しさを、これでもかと身に受けた。勝手に。
 そう、勝手に。
 そして今、同じ様に勝手に、自分のために君を帰す。

「アルマ、……」

 離したくない。手放したくない。……君は所有物じゃない。
 胸が張り裂けそうで、頭がどうにかなりそうで。なのに、どこか心の片隅で、とても冷静に自分を見つめる【誰か】がいる。
 誰かじゃない。分かっている。いつまでもそのままに泣いていたから、こんな事になっている。

『ずっと好きだし、忘れた事もないし』

 何故、そんな風に言ってくれるの。別の意味でも泣きたくなる。

『私が今、怖いのはね』

 自分の姿に、結局怯えてくれなかった。それだけでも、充分だと思えたのに。

『君が、その存在が。この世界から消え去る事』

 そんな事、言われてしまったら。

(もう、どうしようもないじゃないか)

 あんなにも恐ろしくて、苦しくて申し訳なくて怒りが湧いて恥ずかしくて心細かったのに。
 なのに、安心してしまったんだ。

「本当、馬鹿だね」

 これで最後と言い聞かせて、額を合わせた。
 最後、最期だろうか。
 街の皆にも、申し訳が立たない。けれど、これでやっと、『王』に成れる。皆が王を待ちわびている。

「…………アルマ…………」

 自分の影が落ちたその顔を見つめ、思う。
 暗くとも、君は美しい。何処に居たってそうだろう。
 でも。


(木漏れ日の下で笑う君が、やっぱり一番美しい)


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