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33 好きだよ
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「うん、はい、そう」
そう来たか。ほう、そう来たか。
「うん」
笑んだその顔に、どうしてかなんとも照れくさくなってしまい。
「ッ!」
くそ、顔を逸らしてしまった。
「もう一度言おうか?」
「急に余裕出すの止めなさい」
何か、何か言い返せないか。
「……ヨウシアだって綺麗だし、格好いいし、えー髪が柔らかくてふわふわで気持ちよかったし、目も透き通って綺麗だし、あ、結構手が大きいなってこの前思っ「分かった降参止めて」……」
顔に手をやり、うなだれるヨウシアを見て思った。
勝った、と。
「でも綺麗なのはそうだよね。あ、今もだけど」
「……何の話」
「ほら、みんな、それこそ村中の人がさ『可愛いねえ綺麗だねえ将来色男になるよお』って、言ってたなって」
色男。なるほどこれが色男か。
「何に対して頷いてるの」
「私の中の知識が増えた」
「……そう」
呆れた顔になるなよ。
「それで」
口を拭ったヨウシアは、改まったように姿勢を正して。
「うん?」
「二つ隣の村の話だけど」
「…………。そうだった!」
料理に夢中になって頭から抜けてた!
「……気持ちは分かるけど、結構な問題なんだからね?」
「う……」
厳しめに言われ、視線が落ちる。
するとお料理が目に入る。
「っ……ぐ」
負けてなるものか。
背筋をまっすぐに伸ばす。
「……うん、もう少ししたら席を外そうか」
落ち着こうと、ちょっとだけジュースを飲んでいたら、そんな事を言われた。
「え? でも」
「ここでする話でもないし。君が疲れている事は皆が知っているから、問題はないよ」
そもそもこんな祝賀とか、するつもりは無かったんだけど。
困ったように微笑んで、ヨウシアは言う。
「え? そうなの?」
「そりゃだって、……僕は、」
一瞬でそのカオは沈み、伏せられてしまう。
「……」
私はグラスを置いて、動きを止めたその右腕を撫でた。
「暗い顔しないで、ほら。君のためのパーティーでしょ?」
主役だよ。
「皆、君を想ってコレを用意したんでしょ? なら、楽しまなきゃ!」
「…………そう、だね」
上げられた顔は少しくしゃっとした表情で、迷うように瞳が揺れる。
「……ヨウシア」
元気になってくれないなぁ。どうすれば良いかなぁ……あ。
「好きだよ」
「……、は?!」
なんだか周りが騒がしくなった気がする。
けどそれより、ヨウシアの顔が面白くて目が離せない。
「元気になった?」
「は、あ……あぁ……」
また変わった。
ほっとしたみたいな、少し淋しそうな顔になる。
「あ、あの角もね、形も色も綺麗でつやつやすべすべしてて好きだよ」
「っ……なんで、追加してくるんだ」
今度はちょっと怒った顔。
なんかとっても楽しい。
「言い忘れてたなって」
それにふわふわしてき、た……?
「あっそう……」
あー周りは皆お酒呑んじゃって。だから騒がしくなったのかぁ。
「みんな楽しそうだねえ」
あー、一気飲みは危ないよー。
「とっても嬉しかったんだねえ、ヨウシアがちゃんとヨウシアでさぁ……また……」
「アルマ?」
あれ……? なんだろう……?
「こんなさあ……わたしもほんと、どうなるかとおもったけど……ヨウシアは、……」
少し、眠くなって、きた……?
「おうさまだけど、ヨウシアだし、すきなのに、…………あんなんなってたら……何も、しないなんて……さあ…………」
どんどん、どんどん、眠たくなって。
「…………アルマ、も──────…………」
ヨウシア、なにか言ってる?
「んぅ?」
俯きかけてた顔を、そっちに向けようとして。
「ぁ」
かくっと身体が傾いだ。それを、誰かが受け止めて──
そう来たか。ほう、そう来たか。
「うん」
笑んだその顔に、どうしてかなんとも照れくさくなってしまい。
「ッ!」
くそ、顔を逸らしてしまった。
「もう一度言おうか?」
「急に余裕出すの止めなさい」
何か、何か言い返せないか。
「……ヨウシアだって綺麗だし、格好いいし、えー髪が柔らかくてふわふわで気持ちよかったし、目も透き通って綺麗だし、あ、結構手が大きいなってこの前思っ「分かった降参止めて」……」
顔に手をやり、うなだれるヨウシアを見て思った。
勝った、と。
「でも綺麗なのはそうだよね。あ、今もだけど」
「……何の話」
「ほら、みんな、それこそ村中の人がさ『可愛いねえ綺麗だねえ将来色男になるよお』って、言ってたなって」
色男。なるほどこれが色男か。
「何に対して頷いてるの」
「私の中の知識が増えた」
「……そう」
呆れた顔になるなよ。
「それで」
口を拭ったヨウシアは、改まったように姿勢を正して。
「うん?」
「二つ隣の村の話だけど」
「…………。そうだった!」
料理に夢中になって頭から抜けてた!
「……気持ちは分かるけど、結構な問題なんだからね?」
「う……」
厳しめに言われ、視線が落ちる。
するとお料理が目に入る。
「っ……ぐ」
負けてなるものか。
背筋をまっすぐに伸ばす。
「……うん、もう少ししたら席を外そうか」
落ち着こうと、ちょっとだけジュースを飲んでいたら、そんな事を言われた。
「え? でも」
「ここでする話でもないし。君が疲れている事は皆が知っているから、問題はないよ」
そもそもこんな祝賀とか、するつもりは無かったんだけど。
困ったように微笑んで、ヨウシアは言う。
「え? そうなの?」
「そりゃだって、……僕は、」
一瞬でそのカオは沈み、伏せられてしまう。
「……」
私はグラスを置いて、動きを止めたその右腕を撫でた。
「暗い顔しないで、ほら。君のためのパーティーでしょ?」
主役だよ。
「皆、君を想ってコレを用意したんでしょ? なら、楽しまなきゃ!」
「…………そう、だね」
上げられた顔は少しくしゃっとした表情で、迷うように瞳が揺れる。
「……ヨウシア」
元気になってくれないなぁ。どうすれば良いかなぁ……あ。
「好きだよ」
「……、は?!」
なんだか周りが騒がしくなった気がする。
けどそれより、ヨウシアの顔が面白くて目が離せない。
「元気になった?」
「は、あ……あぁ……」
また変わった。
ほっとしたみたいな、少し淋しそうな顔になる。
「あ、あの角もね、形も色も綺麗でつやつやすべすべしてて好きだよ」
「っ……なんで、追加してくるんだ」
今度はちょっと怒った顔。
なんかとっても楽しい。
「言い忘れてたなって」
それにふわふわしてき、た……?
「あっそう……」
あー周りは皆お酒呑んじゃって。だから騒がしくなったのかぁ。
「みんな楽しそうだねえ」
あー、一気飲みは危ないよー。
「とっても嬉しかったんだねえ、ヨウシアがちゃんとヨウシアでさぁ……また……」
「アルマ?」
あれ……? なんだろう……?
「こんなさあ……わたしもほんと、どうなるかとおもったけど……ヨウシアは、……」
少し、眠くなって、きた……?
「おうさまだけど、ヨウシアだし、すきなのに、…………あんなんなってたら……何も、しないなんて……さあ…………」
どんどん、どんどん、眠たくなって。
「…………アルマ、も──────…………」
ヨウシア、なにか言ってる?
「んぅ?」
俯きかけてた顔を、そっちに向けようとして。
「ぁ」
かくっと身体が傾いだ。それを、誰かが受け止めて──
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