第二王女と次期公爵の仲は冷え切っている

山法師

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 より目を丸くしたシャーロットは、焦った。
 焦りながらセオドアへ『ジュリアンはちゃんとした側近だ』と伝えていた時より焦った。

「ダメだよ?! それ雷電砲撃の魔法陣でしょ?! ダメだよアメリア?!」

 ジュリアンへ片手を向けて、その片手の手のひらに、どう見ても『雷電砲撃の魔法陣』と分かる魔法陣を構築しているアメリアへ、制止の声を張り上げる。

 雷電砲撃の魔法陣を、しかも少ない魔力で高威力を引き出すためなのか、極小で精密な魔法陣を恐ろしさを感じる無表情で構築していたアメリアは、

「構築中止! 解体開始!」

 シャーロットの声を受け、即座に魔法陣を解体させて片手も下げた。

「失礼いたしました」

 淡々と、謝罪の言葉と謝罪の礼をしたアメリアに「あたしじゃなくて、ジュリアンにちゃんと謝ってね」と言ってから、シャーロットはセオドアへ向き直る。

「すみません、アメリアが。あとでもう一回、ちゃんと言っておきます。お詫びもあとでちゃんとしたのを送ります」

 シャーロットは申し訳なく思いながら、セオドアへと謝罪した。

 アメリアを含め、自分の侍女たちやメイドたちは、なんでか時々ああいったことをする。
 なんでと聞いても「やられる前にやるべきかと思ったので」とよく分からない説明をされるので、叱るくらいしかできない。

 生い立ちや今までの境遇だったりの関係で、彼女たちが身に付けた『処世術』なのかもと思えてしまうから、叱るのも弱めになってしまう。
 ああいったこと以外は、みんなちゃんとしてるんだけどなぁと思ってから、シャーロットは思い出した。

「そういえば、ジュリアン、セオ様にも殺されそうとか言ってましたけど、そんなことないですよね? あ、いつもは冗談とかで言い合ったりしてるんですか?」

 軍の人間は仲間うちで「殺すぞ」とか「死にたいのかお前」とか、軽口を叩くように言っていた。
 自分は一応でも「王女」だからなのか、言われたことはないが。

 だから、セオドアとジュリアンも軽口を叩くこともあるのかも知れない。二人は旧知の仲であるらしいし。

 思いながらの問いかけに、いつの間にか悔しそうなカオで自分の側近を見ていたらしいセオドアは、

「……いや……そういったことは、あまり……」

 と、カオと同じく悔しそうな声で返してきた。

「……僕も、ジュリアンは側近として、……まあ、ちゃんとやってくれていると、思っている」

 悔しそうな声で言ったセオドアは、短く、気持ち重そうなため息らしき息を吐く。
 それから空のカップを乗せたソーサーを片手で持ち、シャーロットへ顔を向けて。

「経緯を聞きに行こうか、シャル」

 愛おしそうに言われたシャーロットは、また混乱する。
 混乱のまま、セオドアにエスコートされるようにしてテーブルへ向かうことになり、シャーロットは輪をかけて混乱する羽目になった。

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