女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。

山法師

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23 敵わねぇよ ※

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 ハッ、ハッ、と荒い呼吸を整えようとしていたら、体を起こした圭介に、右の太ももを抱えるように持ち上げられた。

「……え……? け、すけ……?」
「さっき、調べたって言ってたけど、男同士のセックス、ちゃんと知ってる? そーちゃん」

 妙な体勢にされたまま聞かれ、体の力が抜けた状態ながら、なんとか頷く。

「い、一応……」
「そっか。ここに挿れんの、わかってるってことでいい?」

 聞かれながら、尻の割れ目に圭介の指が差し込まれ、穴をつつかれた。

「っ! わ、わかってる……つもり……」

 つもりというか、文字情報では知っているけど、その程度の知識なので声が小さくなってしまう。

「じゃあ、少し解そ」

 指を外しながら言う圭介へ、受け身になるしかない奏夜は「わ、わかった」と答えるくらいしかできない。

「少しってか、結構解さないといけないらしいけど」

 圭介の言葉が終わると同時に、穴の付近にぬるりとした感触が広がった。

「ひぇっ?!」

 素っ頓狂な声を上げながら圭介へ顔を向けて、目を見開く。

「ああ、ごめん。ローションつけたんだけど驚いた?」

 小さく笑いながら言う圭介へ、なんと返せばいいかわからない。
 下腹部にある大きく立派なそれは、腹にくっつきそうなほど上を向いている。先走りに濡れ、血管が浮き出ている太くて長いそれを、自分はちゃんと受け入れられるんだろうか。

(てか、ヤバくないのか? キツイんじゃないのか、その状態)
「──っ!」

 指摘しかけた口は、中に入ってきた圭介の指の感触を受け、瞬間的に閉じてしまった。目も、同じようにつぶってしまう。

「ゆっくりやってくから。あんまり苦しくないように」

 ぬるりとしたもの、ローションを注ぎ込むように足される感覚と、少しずつ奥まで入ってくる指。
 圧迫感というほどのものは感じないが、異物感はある。

「わ、かった」

 なんとか答えて、小さく頷く。
 圭介のことも心配は心配だけど、その余裕はなくなってしまった。

「っ……んっ……」

 中を探るような指の動きに、体がピクリと反応し、声が漏れる。

「……やべぇな、これ。理性と本能の戦いだ」

 声を押し殺すように言われて、今の自分はまた圭介を煽っているらしいと理解した。
 煽っているつもりがないから、何が圭介の本能を刺激しているかわからなくて、対処に困る。
 わかったとしても、対処に困る気もするが。

(けど)

 圭介のものを受け入れる準備をしているのだと思うと、全く嫌な気分にならないから、俺ってチョロい奴だな、なんて思ってしまう。

「──あっ?!」

 そんなことをしみじみ考えていた思考は、奥に入ってきた指にある一点を突かれた途端、彼方へと消えた。
 急に来た未知の刺激に、奏夜の体が跳ねるように動く。

「今の場所?」

 確認するように聞かれながら指を動かされて、的確に突かれる。

「えっ?! あっ! やぁっ……?!」

 今日何度思ったかわからないが、奏夜はまた訳のわからない気持ちよさに翻弄されて、困惑しながら体をよじらせ、喘いでしまう。

「中にあんの。気持ちいいとこ。ここなんだ?」
「わかっ、んなっ、ぁあっ……! ゃ、あ、ぁっ!」
「そーちゃんがエロ可愛くて昇天しそう」

 昇天すんな、と言いたいが、口から出る声は高く震える嬌声だけ。
 いつからか、中にある指は増やされていて、何かを弄ぶように蠢く。
 抜き挿しするような動きまで加わって、さらなる快感が奏夜を襲う。ベッドのシーツを握りしめている奏夜は、まるで刺激を自ら求めるように、指の動きに合わせて腰を動かしてしまっていた。
 そして、自分をこの状況に追い込んでいるのは圭介だというのに、その圭介へ助けを求めるように名前を呼ぶ。

「あっ! けぇすけ……! やぁっ! もっ、ヤバぃ……! けぇすけっ、けぇすけぇ!」
「……俺も、ヤバい。挿れても大丈夫?」

 耐えるような声音で言われて、駄目だというほうが無理がある。

「はやっ、挿れっ、もぅっ……はやっ……!」

 早く挿れて。気持ち良すぎてもうどうにかなっちゃうから。

「わかった」
「ぁ、あ」

 指をゆっくり抜かれる動作さえ、快感に繋がる。
 体をふるりと震わせた奏夜へ、手早くゴムを着けた圭介が聞いてきた。

「そーちゃん、前向きがいい? 後ろからがいい?」
「……意味が、わかんない……」

 抜け切らない快感でぼうっとした頭のまま、奏夜は率直な感想を述べる。
 セックス、という行為なんて、男女のそれ、ノーマルだろう顔を突き合わせるようなものしか知らない。それもふんわりした知識としてだ。
 男同士のやり方をもっとちゃんと調べておくんだった、と、今更に思う。

「あー、えーと、挿れられる側の姿勢の話。顔見える前向きか、楽だって言われる背中から抱かれるみたいな姿勢か。わかる?」

 圭介の説明で、なんとなく理解する。
 初心者の自分は、楽な姿勢と言われる後ろからを選んだほうがいいんだろうけど。

「顔……見て……シたい……」

 圭介の顔を見ていたい。安心するだろうから。
 そんな思いで言えば、「んっぐ……!」と圭介のほうから、何かを堪えるような、変な声が聞こえてきた。

「……よし、そんじゃ、前向きでしようか」

 圭介へ顔を向ける前に、足を大きく開かれて、圭介の硬くて大きなそれが充てがわれたのがわかった。
 前かがみになってくれた圭介のおかげで、やっと近くで顔が見れる。

「け、すけ……」

 伸ばした手を左手で握ってくれて、安心感に顔がほころんだ。

「……うん、ヤバい。もう無理」
「──っ!!」

 真顔になった圭介の言葉に首を傾げる間もなく、押し入られる。
 けれど、貫く、というほどの勢いはない。異物感を超えた圧迫感は指の比ではないが、辛く思うほどでもない。
 それでも少し息を詰めたら、すぐにそれを察したらしい圭介が、気遣うように声をかけてくれた。

「そーちゃん、息、ちゃんとできてる? 苦しくない?」

 動きが止まった圭介へ、握っている左手を両手で包み込み、なるべく安心してもらおうと笑顔を向ける。

「っ……大、丈夫……だから……遠慮とか……すんな……、っ?!」

 中で、入りきっていないだろう圭介のそれが、さらに大きくなった感覚がもたらされる。

 これ以上デカくなんのかよお前すげぇな?!

 舌に乗りかけた言葉は、辛そうに息を吐く圭介を見たら、飲み込まざるを得なかった。

「遠慮、しなくて大丈夫?」

 圭介は今、耐えているんだ。もっと欲しいという思いと、自分の体へ負担をかけたくないという思いの狭間で。
 それに気づいてしまった奏夜は、腹をくくった。

「圭介」

 気遣わしげで、辛そうな、そして物欲しそうな表情をしている圭介の顔をしっかり見つめ、決意を込めて。

「本当に遠慮すんな。俺、苦しくても、辛くても、圭介なら大丈夫だから」

 言えば、圭介はこちらの様子を探るように目を細め、次にゆったりとした──ともすれば恍惚とも言えそうな笑顔になる。

「……あぁ、もう。敵わねぇよ」

 低く掠れた声で、ぽつりとこぼして。

「手加減、できなくなるから」

 深く、貫かれる。
 何度も、何度も、何度も。

「あっ……! あぁ……! あぁアッ……!」

 抜き挿しされる度に中の『気持ちいい場所』を擦られて、奏夜は圭介の左手を握りしめ、体を反らしながら喘いだ。

 そーちゃん。可愛いよ、そーちゃん。大好きだよ、そーちゃん。愛してるよ、そーちゃん。そーちゃん、そーちゃん、そーちゃん。

 耳に届く、獣を思わせる低い唸り声のようなそれらも、奏夜の体を熱くさせていく。
 少し苦しい、けど、苦しさなんかどうでもよくなってしまうほどに、気持ちいい。
 圭介に快感をもたらしているのが自分で、自分に快感をもたらしているのが圭介で、そんな状況に溺れていく。

「けぇ、すけぇ……! おれっ、も──」

 大好き。

 ひときわ深く貫かれ、圭介のそれが中で蠢いたのがわかった。
 深い場所で動きを止めた圭介のそれが、ドク、ドク、と脈打ちながら熱を吐き出していくのがゴム越しに伝わってくる。再び勃ち上がっていた奏夜のものも、それに呼応するように熱を外へ放った。

「──そーちゃん」

 荒い呼吸を整えようとしていると、甘い声で呼ばれる。奏夜がそれに応える前に、繋がったままの体勢で、圭介がゆっくり覆い被さってきた。

「ん……」

 唇を塞がれ、目を閉じる。
 壊れ物を扱うような動きで背中とベッドの間に腕を差し入れてきた圭介に抱きしめられ、奏夜も圭介の背中へ腕を回した。
 汗ばんだ、熱い体。
 触れた肌から伝わる心臓の音と、確かに感じられる互いの体温。
 生きていると、実感する。
 安心する、自分の居場所。

「……そーちゃん」

 唇が触れ合う距離で、密やかに名前を呼ばれる。
 目を開ければ、柔らかく目を細める圭介が見えた。

「俺、今、幸せだけど、そーちゃんは?」

 聞かれて、思わず笑ってしまう。
 当たり前すぎる、とても大切な質問。

「俺も幸せだよ、圭介」


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