前世で伝説の暗殺者だった俺、異世界でもしっかりと無双する〜俺の暗殺術が異世界で通用しすぎる件について〜

ハナマル

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4. 決闘と昇格

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 俺は今、強面のおっさんににらまれている。何かやらかしたのだろうか。



「マスター、そんなに威嚇しないでください!!」

 受付嬢の言葉にギルドマスターはその表情を崩す。



「威嚇などしておらんわ。失礼な。」



 そしてまた、俺の顔をのぞく。このおっさん、俺のことを測っているようだ。

「…さて、シオン君。隣に座るセリーナ君は、君がゴブリンを12匹、ブラッド・タイガーを4匹倒したと主張している。はっきり言って疑わしい。セリーナ君のことは信頼している。ただ、客観的に考えて、冒険者登録をしたばかりの少年にそんなことができるとは思えないのだ。」



 ふむ。仕方あるまい。常人に理解できる俺ではないからな。

 ギルドマスターはまた口を開く。

「ただ、嘘だと決めつけるのも立場上よくないのでな。君の実力を測らせてもらうことにする。…ルカ、特別試験の準備だ。」



 この受付嬢、ルカという名前だったのか。いや、それよりも特別試験とは何だろう。



「ギルドマスターっ!アレは思いつきで行うようなものではありません。Aランク冒険者と、さらには闘技場の使用許可が必要なのですよ」



 ふむ。察するにAランク冒険者に実力を測られる、ということか。だが、Aランク冒険者など忙しいだろ。すぐに用意できるのだろうか。



 するとギルドマスターはこう答えた。

「闘技場はマスターとしての権限で許可を出させるから心配するな。…そして、相手は」



 その顔は、まさか…



「この儂だ!」



 ルカのあきれ顔が目に映る。このおっさん、いつもこうなのだろう。ルカさんも苦労するな。









 ――夕暮れ。俺は闘技場に立っていた。目の前にはあのおっさん。この人、まじで出てきたのか。



 観客席にはすさまじい数の人が並ぶ。…ほとんど私闘なのだが、どこから噂を拾うのだろう。…てかセリーナもいるな。暇なのか?



 試験のルールはいたって簡単だった。木刀での決闘。どちらかが降参するまで戦い続けるだけだ。戦いが終わると試験官(今回はおっさん)に結果を判定されるらしい。…ちなみに、決闘の勝敗と試験の合否は関係ないとのこと。




 ――「はじめっ!!」

 ルカさんの声とともに試験がスタートした。



 とりあえず様子を見る。と、おっさんが飛び掛かってきた。何の工夫もない、ただの振り下ろし。

(…舐められてるな)

 木刀で受けようと思った。が、瞬間、嫌な気がしたので、すんでのところで回避する。すると、剣先が地面に触れた。



 ボコッ



 …地面がえぐれたぞ。ありえるか?ほんとに木刀か?




 その後もおっさんが木刀を振り、俺がそれをかわす展開が続く。



 2分ほど続いただろうか。ふいにおっさんが剣を止め、口を開いた。



「なぜ攻撃してこない?」



 …確かに俺は今まで一回も攻撃していない。それにはもちろんしっかりとした理由がある。

「殺してしまうのでな。」



「……。ふっ。生意気な小僧だ」

 おっさんは笑った。



「儂は木刀じゃ死なぬ。思いっきり打ってこい」

 おっさんの太刀筋が、先ほどまでとは比べ物にならないほど鋭くなる。なんだ、おっさん手を抜いてたのか。…というか、これは少しまずいな。



 キンッ!



 かわし切れなくなり、ついに木刀で受けてしまった。途端、おっさんが畳みかけてくる。…重っ。このヒト本当に人間か?



 ――キンッ! キンッ! キンッ!



 しばらく受け続けるが、…これは腕が持たない。



 ……仕方ない。やるしかないか。



 その思った瞬間だった。



「…降参だ。」

 ギルドマスターはそう言い放つ。



 観客、ルカさんは茫然としている。いや、俺もだ。おっさんの突然の負け宣言に思考が追いつかない。



「試験結果は言うまでもないだろう。彼の今日の実績を認めるとともに、冒険者シオンはAランクに昇格とする。…以上だ。解散」



 淡々と試験結果を述べるとおっさんは去っていった。なんだというのだ。まったく。





 試験後、ルカさん発案で飯に行くことになった。俺、ルカさん、そしてセリーナの3人でだ。会話に花が咲く中で、やはり、話題は今日の試験のことになった。



「どうしてギルドマスターは降参したのでしょうか」

 ルカさんは疑問を口に出した。その目線で、俺に種明かしを求めているのが分かる。



「…さあ」

 そう答えると、ルカさんは頬を膨らます。いや、本当に俺もわからないんだよ…。



 セリーナは満足げに言う。

「ギルドマスターは、シオンの強さに気づいたんだよ」



「と、言うと?」

 …。ルカさんそんなに深堀りしないであげてくれ。



「…それはわからないけど」

 ほらボロがでた。



 俺はため息をつきながら、あることを考える。



(もしやアレに気づいたのか?いや、それはないか。)



 結局、宿屋に帰れたのは、深夜であった。













 今思い出しても、身の毛がよだつ。“あの瞬間”、儂は恐れたのだ。





「マスター、お紅茶でも入れましょうか?」

 儂にそう問いかけるのは、古くからギルドに努める職員、マーチ。



「あぁ、コーヒーを頼む。…今夜は眠れそうにないので、仕事でもと思ってね」




 コーヒーを注ぎながら、マーチは物思いにふける。

「天下のSランク冒険者様が、今や事務職とはねぇ」

 彼女は小声でつぶやいた。



「……昔の話だよ」



 そう。儂はSランク冒険者だった。この世に、自分と並ぶものはいても超えるものはいないと、そう思っていた。先ほどまでは。




 刀で受けさせ、畳みかけた。“あの瞬間”まで、完全に俺に有利な状況だったのである。…彼は何もしていない。強いて言えば、殺気を放っただけだ。それだけ......なのに、ただの木刀の決闘で、“死”を予感させられた。




 ...そういえばあの男と戦っている時、やけに懐かしい感じがしなぁ。




 (...お前は達者でやっとるか、アラン)




 マスターが、シオンがアランの息子だと知るのは、次の日のことであった。




 

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